おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
薬学博士渡辺武著『漢方が救う人体危機』
現代医療の誤りを正す
第2章 漢方はどう診断するか
肝臓の解毒作用と利尿作用
p153マグネシウムやカルシウムが欠けた塩は薬効が乏しい!
人間の五臓六腑というのは、心臓にしろ、肝臓にしろ、胃腸にしろ、腎臓にしろ、互いに相関関係にあります。
腸に汚物がたまれば肝臓に負担がかかるし、腎臓が働かなくなれば心臓に負担がかかります。
われわれの器官臓腑はそれぞれ共同社会の一員であり、五臓六腑にそれぞれ序列があるのです。
心臓は左にあって、各器官に血液を一定の方向に循環させています。
口から食物が入るとまず胃に入り、腸では水で出すものは腎臓に、栄養として貯蔵するものは肝臓に送ります。
そして残りを大便にして排泄します。
肝臓は栄養を血液にして回します。
これを逆にするわけにはいきません。
漢方には、すでに述べたように、「酸・苦・甘・辛・鹹(かん)」の薬味による分類があります。
この五つを結んだ五角形は、その序列、相関関係を表したものです。
五角形『五味調和の説明』は、ちょうどアメリカのペンタゴン(国防総省庁舎)みたいなもので、共同作戦ができる態勢はどこから病(やまい)がやってきても隙がないという形です。
酸は肝臓をすっぱい薬で、苦は心臓、小腸、循環器をにがい薬で、甘は胃、脾臓、口唇を甘い薬で、辛は肺や鼻、大腸、皮膚をからい薬で、鹹は腎臓、膀胱、骨髄を塩っ辛い薬で、それぞれ守っているのです。
なお、鹹は塩っ辛い薬で水気を出し、腎臓を動かします。
皮膚から汗も出すので、心臓に負担がかかります。
塩は、ひと昔前は自然塩『伝統海塩(ゴールド海の精)の定義』(俗にいう天塩)で塩化マグネシウムが入っていて、ミネラルやカルシウムがあり、骨を守る役割をもっていました。
塩にある〝ニガリ〟は、苦くて心臓の薬の肩代わりもしていました。
漢方でいうところの、鹹の薬なのでした。
ところが、最近の塩は、成分が変わってしまいました。
岩塩や粗塩をイオン交換で精製して、塩化ナトリウムだけが九九.九パーセントを占める塩になっています。
ニガリのない塩、マグネシウムのない塩になってしまい、自然塩の効力を失ってしまったのです。
昔の結晶の大きい塩のほうが、甘みがあって丸みがあり、かつ薬効も大きかったのです。
文明の進歩――多量に塩を生産できるということは、ここでも人間を自然から遠ざけています。日本の場合、塩は専売品で国が昔の塩を食べられないようにしていたのです。
(平成九年四月一日廃止となる)。
いままでの塩は、薬効も乏しくて味も悪いのだから、漢方からみても、とても鹹の薬とはいいがたかったわけです。
薬味とは、薬の味と書きますが、人間が食べて、塩辛くてもまろやかである味が、薬としても効力があるということです。
これは、中国の漢の時代から、酸っぱいものは肝臓の薬とか、甘いものは胃の薬というように、人間の味覚という体験を通して、五角形のペンタゴン=五行説がつくられてきました。
そもそも漢方薬とは、人間が食べる食物からはじまったのです。
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