トシ[老化]をとらない漢方薬 藤平健 渡辺武
八味丸は服用時は十味丸である
- 八味丸は酒で飲むべし
八味丸や六味丸を構成する薬味は、方剤名に示されている通り、八味丸は八種、六味丸は八味丸から桂枝と附子を除いた六種ですが、丸剤にするとき煉蜜で製丸することが規定されていて、服用時は酒服するように原典では指示しているので、病患が八味丸や六味丸を服用するときは、実は十味または八味を飲んでいることになります。
六味丸は表症のない気剤を欠いた薬方で、小児に応用することが多かったので、冬期には酒服、一般には塩湯で服用する指示があります。
中国でも、日本でも江戸時代までは、八味丸も六味丸も練薬と称して、主薬の地黄は酒で修治した熟地黄と蜂蜜に他薬の粉末を練り込んで、丸薬としているので、酒服しなくてもも、酒が混入されていることになります、つまり蜂蜜は脾胃剤、酒は気剤で腸のくすりですから、胃腸を護る二種の薬物が用意されていたのに、多くの今日の日本の製剤や八味丸の煎剤はそれが欠けていることになります。
今日の日本の八味丸製剤は、酒で修治を施さない乾地黄の粉末が使用されている上に、蜂蜜の使用も欠いたものが多いので、脾胃剤と気剤の欠けた製品となります。
なお今日の水抽出のエキス剤では、同様な理由で原典の指示を無視したことになり、食欲不振や胃腸障害といった副作用おももたらすこともあります。
八味丸証は潜在的に脾胃証があり、地黄剤には、とくに食欲不振をおこす公算が多いので、こんな配慮が払われているのでしょう。
私(渡辺先生)の経験では、八味丸の構成漢薬の一つ、沢潟成分には、強力な抗脂肝作用があり、それは水製エキスには少なく、アルコールエキスに多いことを思い合わせると、八味丸や同じく沢潟を処方する当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・五苓散(ごれいさん)などの方剤だけが、丸剤または散剤で、煎剤とせず、そのまま服用するか、さらに酒服を指示している秘密がひそんでいるようです。
今日の八味丸製剤を有効に利用し、胃腸障害などの副作用を避けるために、私は酒にハチミツを溶かした蜂蜜酒で服用するか、酒服できない人には、ハチミツを溶かした生姜湯で飲むことをすすめて、数十年来、一人も食慾不振を訴える人がありません。
それをすら面倒だという人達には、クラシエ薬品 平胃散 へいいさんなり、クラシエ薬品 安中散 あんちゅうさんなりの漢方胃腸薬で服用させるのが賢明でしょう。
先般、厚生省(厚労省)から一般用漢方薬の薬害についての調査が公表され中に、とくに八味丸の胃腸障害が指摘されているのは、八味丸の漢方上の選定基準の知識の無い人々が、八味丸証の判定を誤った場合以外にも、潜在的に右に示したような、基本的な服用時の配慮が、等閑にされていることにあるといえます。
東洋薬行の八味地黄丸
分かりにくいかもしれません
ハチミツで丸薬としているので、丸薬どうしがくっ付いています。
【効能・効果】効能
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
価格
30日分 810丸
1回9丸1日3回服用
6,800円