トシ[老化]をとらない漢方薬 藤平健 渡辺武
八味丸は服用時は十味丸である
- ハチミツと酒の効用
八味丸 蜂蜜酒
原典によった八味丸の構成パターンを、前項で製作したレーダーグラフでみますと、気剤・血剤・と脾胃剤それぞれ二〇%とそれに倍する四〇%の水剤から成り、温剤四八%(五十六%?)、寒剤二〇%の寒熱比となりますから。右上から左下にやや長い菱形の図型となります。表証や気毒症二〇%は、口渇・息苦しい、顔色が悪い、健忘症、眼がかすむ、不眠や神経症状、血毒証は動悸・動脈硬化・高血圧・低血圧・於血などが気毒症に並んで同率に発現しそれらを合わせた倍量の比率に排尿痛・排尿異常・むくみなどの水毒がある病像を持つことをあわしています。
手の静脈の怒脹や右に示した表証が多いことは、体表と上半身に血液が多く分布している生理状態を示すもので、当然裏(胃腸)や下半身の貧血や機能低下、排尿排便異常、下腹部麻痺、腰痛、脚弱、精力減退が、水滞による冷えも合わせて惹起されるので、桂枝・附子に酒の辛温剤四八%の配剤が必須条件となり、脾胃剤としては、山薬だけでは不足するので、ハチミツが配剤して、これを補う必要に迫られることになって来ます。
漢方薬の命題は身心のアンバランスの補正にありますし、上工は未病を治すといわれるように、漢方薬の要諦は、疾病の予防にありますから、次に当然おこり得るような他臓器への発病、この場合は脾胃の弱体化を護る用意が予め周到に計算に入っているのです。
下記(本は点線)で示したレーダーグラフは、蜂蜜と酒服を省いたもので、大略のパターンはくずれていませんが、表症・気毒症に対する気剤と、脾胃症に対応する脾胃剤がわずか十二・五%になって、確かに不足しているので、気滞症の解消には程遠く、脾胃はその負担に耐えられず、食慾不振や胃症状があらわれることを物語っています。
八味丸 蜂蜜酒無し
ハチミツと酒を考慮に入れないとき、八味丸の場合はレーダーグラフに異常な相違は認められませんが、六味丸のレーダーグラフは全く異常な類型を示しております。
六味丸蜂蜜酒無し
酒服と蜂蜜を併用しないときは、水滞が甚だしいのに、表証も冷えもなく、かわりに血滞があり、それに伴う炎症・熱症がある左上から右下に偏った異常のパターンで示されています。これに相似のパターンは古方では四逆散(しぎゃくさん)・葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)・黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)、後世方では、五淋散(ごりんさん)などが挙げられます。
いずれにしても、急性症状に短時日の服用で、長期服用するような類型の薬方でないことを物語っています。水滞があるのに炎症血症の存在のために排尿がそれに伴わず、かえって冷えがなく、その上、体表からの体液の発散が円滑に行われていないという特殊な病像です。
【効能・効果】効能
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
価格
30日分 810丸
1回9丸1日3回服用
6,800円