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16歳の少年が麻薬事件で取り調べ中に窓から飛び降り自殺

2017-02-22 23:23:22 | 社会
Genova県のLavaganという街で、16歳の少年が麻薬で自殺した。
そして昨日街の教会で葬式が行われたという記事。写真を見ると、街中の人々とも思われる人たちが教会の中、外に集まっている。さて、なにがあったのだろう。

Il corriere della sera 2017/2/16より


I funerali del 16enne suicida per l’hashish: era stata la madre a chiamare la Guardia di Finanza

16歳の少年が麻薬事件で自殺した。財務警察に電話をしてきたのは少年の母だった。
教会でその母は財務警察に対し、息子を失った事を受け入れられず、しかし、息子の薬物依存にあらゆる手段で戦ってきた親の悲しみをきいてくれたことを感謝した。財務警察も「ご両親の対応は私たちにとって勇気づけるものです」と語った。

彼らはあなた方に、タバコを吸うのは普通のこと、人と恋愛で苦労するのも当たり前のこと、いつでも度を越してしまうのも普通のことと信じさせたいのだろう。だれかがあなた方を窒息させたいのだろう。

つらいが心を動かす言葉だ。16歳の息子の母親が、葬式に集まってくれた若者たちに向けて語った言葉だ。麻薬を10グラム所持していたという理由で財務警察で取り調べ中に自殺した16歳の息子の母親の悲しみの叫びだ。
母親はまた財務警察に対して異例の言葉を語った。「財務警察には本当に感謝しています。息子を失うことを受け入れられず、手遅れになる前に薬物依存とあらゆる方法で闘った親の絶望の気持ちに耳を傾けてくれて感謝します。」
財務警察からも警察に助けを求めてきた母親の勇気に感謝する。実際彼らもご両親が一生懸命だったことで勇気付けられたのだと。「今朝、警察にやってきたのは少年の母親でした。彼女はもはやどうしていいのかわからなかったのです。少年に何度も麻薬をやめるようにいってきたのに、これ以上なにをすればいいのだと。」

しかしAntonella Riccardi(少年の義母)の言葉には悔いも恨みもありません。「わずかな罪や判断の誤りもありません。より一層この麻薬という悪との戦いに立ち向かう気持ちが湧いてきています。」

Com’è andata 
なにがあったのか

NISI(仮判決)でこの勇気ある家族について語った。「それは些細なことだった。少年の母親が警察にやってきて、息子がわずかだが麻薬を使っていると。そしておかしな状態で外出してしまうのではないかと。われわれもわずかな麻薬であれば、犯罪というほどでもなく、まぁ、よく説教すればいいだろうという判断だった。」「われわれは市民のための警察だ。実際同じようなケースに時々出くわすことがあります。今回も慎重に対応したつもりですが、本当に些細なことだったんです。」
L’appello
母の訴え

この母親の思いは警察に責任を問うことにはない。むしろ、若者たち、友人たち、学校の仲間たちに対する願いだ。「君たちは自分の人生の主人公になるのです。別な(straordinario)ことをしてください。携帯をやめて相手と目と目を見ながら話をしてください。Whatapp(SNS)で写真なんか送らないで。彼女に告白するのにメールなんかしないで、面と向かって彼女に君が好きだといえる勇気を持って欲しいの。」しかし、最後の言葉はやはり息子に対しての言葉だった。「そして最後に最愛の息子に言いたい。ずっとあなたが心の奥にもっていた心の隙間を埋めてあげることが出来なかった事を許しておくれ。いまは天国で本当のお母さんがあなたを迎えてくれていることと思います。そしてあなたの心が満たされていることを祈ります。」

«La domanda non è perché, ma come possiamo aiutarci»
問題は”なぜ”ではなく、”どうやって私たちが助け合うことができるか”です。

「逃げ場がないと思ったときには、助けを求めて欲しい。あなた方が知っていることを言う勇気を持って欲しい。私の息子については遅すぎるけど、あなたたちの多くにとって遅すぎないはずです。ぜひ口に出してほしいのです。」「われわれ親も、家族の中で解決することなんて出来ないこともあることを知るべきです。とりわけ世間体を気にして家族の内輪に閉じこもらないように。声を出すことは恥ずかしいことなんかじゃないです。みんなで協力しましょう。みんなで相談できるようなネットワークを作りましょう。」「いまは、なぜ起きたかを考えるのではなく、どうして私たちは悩んでいるのかこそ考えましょう。問題は”なぜ”ではなく、”どうやって私たちが助け合うことができるか”です。さぁ、皆さんの問題を出し合いましょう。」

«Legalizziamo»
麻薬の合法化について

16歳の少年の死はまた合法化の議論を呼び戻している。作家のRoberto SavianoはFacebookで、若者の自殺について、「この事件は危険性の少ない麻薬については合法化する必要があることを私たちに提起している。」と書いた。「国のマフィア対策の行政組織でさえ、他の行政官や警察組織と同様に、合法的麻薬に賛成していることに対して、彼らはしっかりと耳を傾けるべきだ。」と急進派も語る。「われわれ急進派が集め、議会に提出した麻薬の合法化のための6万人の署名を無視すべきでない。狂った麻薬禁止派によって失われたたくさんの命から目を背けてはならない。」



(原文)
http://www.corriere.it/cronache/17_febbraio_15/lavagna-funerali-sedicenne-hashish-madre-appello-61582bba-f398-11e6-a927-98376e914970.shtml