2021.7.18.付記
<< Il Giornaleは創刊:1974年、発行部数:61,424部、拠点:ミラノで、現在ベルルスコーニ一族の経営下にあるとのこと。論調:Conservatism(保守主義)、過激な記事内容で有名らしい。その過激な論調を好む読者もいるらしいが、しばしば差別的な記事やフェイクニュースを挙げて問題になっているらしい。>>
Il Giornale 21 giugno 2020
Gli strani rapporti con Maduro che adesso fanno tremare i 5S
ベネズエラのマドゥーロ大統領とM5Sの不思議な関係がいまM5Sを揺るがしている
ベネズエラのマドゥーロ政権とM5Sの関係に関する疑問が問題化している。2010年、ミラノにあるベネズエラ領事館を経由して、スーツケースに入った3.5百万ユーロがベネズエラ政府関係者からM5Sのグリッロとカーサレッジョの手に渡された事件が深刻化している。一連の出来事がベネズエラ政府とグリッログループの明らかな関係を示しているのだ。だが、最近は、国際的なレベルでより一層危険な体制であるベネズエラを隠すことなく支援してきたのだ。米国、コロンビア、亡命ベネズエラ人たちは、ベネズエラはnarco-Stato(非合法の薬物取引を主な経済活動とする国)であり、イラン、ヒズボラ、Farc(コロンビア革命軍)との固い関係に組み込まれた体制であると言っている。この点で、M5S への現金引き渡しに関わったベネズエラ人の事や、グリッログループが関係を継続していたマドゥーロの側近たちについて少し明らかにしておくのがいいだろう。
現金カバンゲート事件の関係者
スペインの日刊紙Abcの調査によれば、3.5百万ユーロは2010年、当時のチャベス政権下のベネズエラの外務大臣であるマドゥーロによって承認され、当時の内務大臣(現石油相)によって、行政予算から支出されたと考えられる。
金は外交官のカバンに入れられ、ミラノのベネズエラ領事館のGian Carlo Di Martinoにもたらされた。そして、ミラノの外交部で、ひとりの軍幹部がカバンを見つけ、当時の軍情報局トップのHugo Armando Carvajal Barriosに情報が伝えられた。しかし、このことがイタリアとベネズエラの外交上の問題に発展しかねないと、この問題は放っておくことが軍幹部に支持されたと思われる。この事件はAbc紙によって報道されたが、M5Sはそうした事実はないとしている。
この事件のキーパースンは、ベネズエラ軍の高官で、2004年7月から2011年12月まで軍情報局のトップを務め、2013年4月から2014年1月まで極めて目立ち、影響力も持っていたHugo Carvajal だ。彼は2012年2期の短い期間にSistema Integrado de Investigacion Penal副大臣に任命され、テロリズムに関する組織犯罪・経済犯罪に対する国家機関を創設し、トップを務めた。
しかし、2013年4月ベネズエラ政府は彼を翌年1月まで軍情報局のトップに据えた。その後、彼は退役する。
武器と麻薬の取引とベネズエラ領内でコロンビアの極右組織Farc(コロンビア革命軍)を保護したことでワシントンから訴えられ、Carvajal はマドゥーロに対する強力な敵対者となった。Carvajalはマドゥーロをベネズエラにおける人道危機の責任者として責めた。そしてジャン・グアイドを立法上の国家代表として支持した。
2019年4月、Carvajalはスペインで逮捕された。しかし、その6ケ月後、スペインの裁判所で米国から身柄の引き渡しの求めの採決中に姿をくらましてしまった。Carvajalがいまワシントンと協力関係にあるという見方は排除出来ない。そして彼が再び隠した役割ゆえに、もしもそうだとしたら、マドゥーロ体制にとっての厄介事はまだ始まったばかりと言うことになる。
モランの逮捕
6月13日、Capo Verdeでマドゥーロ体制のもうひとりのキーパースン、企業家のモランが逮捕された。彼は米国から資金環流の罪で訴えられていた。モランはイランへの旅行から戻り再入国するところだった。
FBIとDEAの追跡捜査によって1つの興味深い事実が分った。米国財務省のムニューチン長官は「マドゥーロ一味と一緒にモランが大規模に買収工作に関わっていることは明らか。政権支持の政党には蜜を反対者には罰を与える方法として食料を使うことで、ベネズエラの貧しい人々を懐柔した。」と語る。
ワシントン政府はまた、モランは得体の知れない組織やビジネス社会、家族を通じて、数億ドルという金を還流したと考えていた。
モランの妻、カミッラ・ファッブリは昨年脱税行為で訴えられた。カミッラはローマとミラノで生活していたが、現在はロシアに逃亡したと考えられている。彼女は月1800ユーロで犯罪に手を染めていたが、ついに国税庁の捜査の対象になった。コンドッティ通りに5百万ユーロのマンションを彼女名義で登記したことでそれがマドゥーロ政権の資金還流の一環だったと疑われ捜査されたのだった。
モランとワシントン政府の偶然の協力関係は、モランの元部下たちもこの協力関係に関わることになればベネズエラ政府にとってさらなる問題を引き起こすかもしれない。そして、今年の3月にベネズエラ政府の元高官Cliver Alcalà Cordonesも米国機関に引き渡された。この元高官はlos Solesのカルテルのため、またFarc(コロンビア革命軍)のために麻薬取引をしていると、ワシントン政府から訴えられていた。
M5Sとマドゥーロ一派との関係
だが、M5Sとマドゥーロ体制の人間との関係について再度考えて見るのは有益だ。なぜなら、ジャーナリストで戦争レポーターのFausto Biloslavoが指摘しているように、「グリッログループがベネズエラから金は受け取っていないと言い、それを疑う情報機関の報告書も虚偽だとしても、写真とM5Sとマドゥーロ政権との関係は紛れもない事実だ。」
2017年3月M5Sの3人(Manlio Di Stefano 、Vito Petrocelli 、Ornella Bertorotta)がチャベスの命日の機会にカラカスを訪れた。彼らはここでRaul Octavio Li Causi Perezと切っても切れない間柄となった。Perezはカリブ海周辺国との貿易を推進する立場でベネズエラ外務副大臣の立場であり、マドゥーロ政権の財政部門の幹部であり、西インド石油会社の社長であり、チャベス主義信奉のボリビア・アリアンツァ銀行の社長でもあった。
M5SのDi Stefanoは当時のベネズエラ外務大臣のDelcy Rodriguezとも関係が出来た。ロドリゲスは2018年6月にベネズエラ副大統領に任命された。その数ヶ月後、ロドリゲスはカナダ、メキシコ、コロンビア、EU、スイスに承認されたが、一方、米国は贈賄の罪で訴えていた。このような状況にもかかわらず、今年の1月にはロドリゲスはマドリッドの空港で、スペイン政府の運輸相José Luis Ábalos(スペイン社会党の目立つ存在)と会うことが出来た。この事実を表明しつつ、マドゥーロ大統領はロドリゲスは引き続き他の国々を訪問、ベネズエラの利益のための交渉を続けていると語った。
ジャーナリストのビルスラーボの説明によれば、この2月M5Sの国会議員の一団(この中にはEmilio Carelli, Alberto Airola、 Gianluca Ferraraが含まれる)はローマで欧州担当のベネズエラ副大臣イバン・ジルと共に写真に収まっている。外務省も会うことは望まず、このことがグリッロ派の議員の怒りを買っていた人物だ。ジルは、資本主義の国々で今構造変化が起きていることとして、欧州の大衆運動の中にある現状の複雑さと分裂を支援することを明確に語っていた。
並行して、M5Sのエミリア・ロマーニャ地方相談役Giovanni Faviaも登場する。2010年当時ベネズエラの外交官からメールでFaviaに接触があったとFaviaは語る。「メールで私をベネズエラ大使館に招待した。そして知りたいこと、M5Sとコンタクトを採りたいことが書いてあった。だけど私は外国政府からのそうした接触には決して受け付けなかった。」
結局、3.5百万ユーロの問題をそのままにして、ベネズエラ政府に対するM5Sの好意的な態度を曖昧なままにすることは出来ない。この事件はますます混迷を深める危機となるだろう。
(原文)
https://it.insideover.com/politica/tutti-i-rapporti-tra-movimento-5-stelle-e-gli-uomini-di-maduro.html?utm_source=ilGiornale&utm_medium=article&utm_campaign=article_redirect
<< Il Giornaleは創刊:1974年、発行部数:61,424部、拠点:ミラノで、現在ベルルスコーニ一族の経営下にあるとのこと。論調:Conservatism(保守主義)、過激な記事内容で有名らしい。その過激な論調を好む読者もいるらしいが、しばしば差別的な記事やフェイクニュースを挙げて問題になっているらしい。>>
Il Giornale 21 giugno 2020
Gli strani rapporti con Maduro che adesso fanno tremare i 5S
ベネズエラのマドゥーロ大統領とM5Sの不思議な関係がいまM5Sを揺るがしている
ベネズエラのマドゥーロ政権とM5Sの関係に関する疑問が問題化している。2010年、ミラノにあるベネズエラ領事館を経由して、スーツケースに入った3.5百万ユーロがベネズエラ政府関係者からM5Sのグリッロとカーサレッジョの手に渡された事件が深刻化している。一連の出来事がベネズエラ政府とグリッログループの明らかな関係を示しているのだ。だが、最近は、国際的なレベルでより一層危険な体制であるベネズエラを隠すことなく支援してきたのだ。米国、コロンビア、亡命ベネズエラ人たちは、ベネズエラはnarco-Stato(非合法の薬物取引を主な経済活動とする国)であり、イラン、ヒズボラ、Farc(コロンビア革命軍)との固い関係に組み込まれた体制であると言っている。この点で、M5S への現金引き渡しに関わったベネズエラ人の事や、グリッログループが関係を継続していたマドゥーロの側近たちについて少し明らかにしておくのがいいだろう。
現金カバンゲート事件の関係者
スペインの日刊紙Abcの調査によれば、3.5百万ユーロは2010年、当時のチャベス政権下のベネズエラの外務大臣であるマドゥーロによって承認され、当時の内務大臣(現石油相)によって、行政予算から支出されたと考えられる。
金は外交官のカバンに入れられ、ミラノのベネズエラ領事館のGian Carlo Di Martinoにもたらされた。そして、ミラノの外交部で、ひとりの軍幹部がカバンを見つけ、当時の軍情報局トップのHugo Armando Carvajal Barriosに情報が伝えられた。しかし、このことがイタリアとベネズエラの外交上の問題に発展しかねないと、この問題は放っておくことが軍幹部に支持されたと思われる。この事件はAbc紙によって報道されたが、M5Sはそうした事実はないとしている。
この事件のキーパースンは、ベネズエラ軍の高官で、2004年7月から2011年12月まで軍情報局のトップを務め、2013年4月から2014年1月まで極めて目立ち、影響力も持っていたHugo Carvajal だ。彼は2012年2期の短い期間にSistema Integrado de Investigacion Penal副大臣に任命され、テロリズムに関する組織犯罪・経済犯罪に対する国家機関を創設し、トップを務めた。
しかし、2013年4月ベネズエラ政府は彼を翌年1月まで軍情報局のトップに据えた。その後、彼は退役する。
武器と麻薬の取引とベネズエラ領内でコロンビアの極右組織Farc(コロンビア革命軍)を保護したことでワシントンから訴えられ、Carvajal はマドゥーロに対する強力な敵対者となった。Carvajalはマドゥーロをベネズエラにおける人道危機の責任者として責めた。そしてジャン・グアイドを立法上の国家代表として支持した。
2019年4月、Carvajalはスペインで逮捕された。しかし、その6ケ月後、スペインの裁判所で米国から身柄の引き渡しの求めの採決中に姿をくらましてしまった。Carvajalがいまワシントンと協力関係にあるという見方は排除出来ない。そして彼が再び隠した役割ゆえに、もしもそうだとしたら、マドゥーロ体制にとっての厄介事はまだ始まったばかりと言うことになる。
モランの逮捕
6月13日、Capo Verdeでマドゥーロ体制のもうひとりのキーパースン、企業家のモランが逮捕された。彼は米国から資金環流の罪で訴えられていた。モランはイランへの旅行から戻り再入国するところだった。
FBIとDEAの追跡捜査によって1つの興味深い事実が分った。米国財務省のムニューチン長官は「マドゥーロ一味と一緒にモランが大規模に買収工作に関わっていることは明らか。政権支持の政党には蜜を反対者には罰を与える方法として食料を使うことで、ベネズエラの貧しい人々を懐柔した。」と語る。
ワシントン政府はまた、モランは得体の知れない組織やビジネス社会、家族を通じて、数億ドルという金を還流したと考えていた。
モランの妻、カミッラ・ファッブリは昨年脱税行為で訴えられた。カミッラはローマとミラノで生活していたが、現在はロシアに逃亡したと考えられている。彼女は月1800ユーロで犯罪に手を染めていたが、ついに国税庁の捜査の対象になった。コンドッティ通りに5百万ユーロのマンションを彼女名義で登記したことでそれがマドゥーロ政権の資金還流の一環だったと疑われ捜査されたのだった。
モランとワシントン政府の偶然の協力関係は、モランの元部下たちもこの協力関係に関わることになればベネズエラ政府にとってさらなる問題を引き起こすかもしれない。そして、今年の3月にベネズエラ政府の元高官Cliver Alcalà Cordonesも米国機関に引き渡された。この元高官はlos Solesのカルテルのため、またFarc(コロンビア革命軍)のために麻薬取引をしていると、ワシントン政府から訴えられていた。
M5Sとマドゥーロ一派との関係
だが、M5Sとマドゥーロ体制の人間との関係について再度考えて見るのは有益だ。なぜなら、ジャーナリストで戦争レポーターのFausto Biloslavoが指摘しているように、「グリッログループがベネズエラから金は受け取っていないと言い、それを疑う情報機関の報告書も虚偽だとしても、写真とM5Sとマドゥーロ政権との関係は紛れもない事実だ。」
2017年3月M5Sの3人(Manlio Di Stefano 、Vito Petrocelli 、Ornella Bertorotta)がチャベスの命日の機会にカラカスを訪れた。彼らはここでRaul Octavio Li Causi Perezと切っても切れない間柄となった。Perezはカリブ海周辺国との貿易を推進する立場でベネズエラ外務副大臣の立場であり、マドゥーロ政権の財政部門の幹部であり、西インド石油会社の社長であり、チャベス主義信奉のボリビア・アリアンツァ銀行の社長でもあった。
M5SのDi Stefanoは当時のベネズエラ外務大臣のDelcy Rodriguezとも関係が出来た。ロドリゲスは2018年6月にベネズエラ副大統領に任命された。その数ヶ月後、ロドリゲスはカナダ、メキシコ、コロンビア、EU、スイスに承認されたが、一方、米国は贈賄の罪で訴えていた。このような状況にもかかわらず、今年の1月にはロドリゲスはマドリッドの空港で、スペイン政府の運輸相José Luis Ábalos(スペイン社会党の目立つ存在)と会うことが出来た。この事実を表明しつつ、マドゥーロ大統領はロドリゲスは引き続き他の国々を訪問、ベネズエラの利益のための交渉を続けていると語った。
ジャーナリストのビルスラーボの説明によれば、この2月M5Sの国会議員の一団(この中にはEmilio Carelli, Alberto Airola、 Gianluca Ferraraが含まれる)はローマで欧州担当のベネズエラ副大臣イバン・ジルと共に写真に収まっている。外務省も会うことは望まず、このことがグリッロ派の議員の怒りを買っていた人物だ。ジルは、資本主義の国々で今構造変化が起きていることとして、欧州の大衆運動の中にある現状の複雑さと分裂を支援することを明確に語っていた。
並行して、M5Sのエミリア・ロマーニャ地方相談役Giovanni Faviaも登場する。2010年当時ベネズエラの外交官からメールでFaviaに接触があったとFaviaは語る。「メールで私をベネズエラ大使館に招待した。そして知りたいこと、M5Sとコンタクトを採りたいことが書いてあった。だけど私は外国政府からのそうした接触には決して受け付けなかった。」
結局、3.5百万ユーロの問題をそのままにして、ベネズエラ政府に対するM5Sの好意的な態度を曖昧なままにすることは出来ない。この事件はますます混迷を深める危機となるだろう。
(原文)
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