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イタリア大統領選について(関連)

2022-01-21 16:47:16 | 政治
Financial Times

イタリア議会の無所属議員であるローラ・グラナート氏は1月、電話を受けて唖然(あぜん)とした。「ハロー、ブンガブンガさんですよ」。聞き覚えのある声の主は、元首相のシルビオ・ベルルスコーニ氏(85)だった(注:「ブンガブンガ」は同氏が好むジョークのフレーズとされ、参加した地下パーティーを指すこともある)。
「大統領府はブンガブンガでない」と書かれたベルルスコーニ氏のポスターの前に立つ男性(4日、ローマ)=ロイター

注目を集める大統領選を前に、(多数の報道機関の経営に関与してきた)メディア王のベルルスコーニ氏が政界への復帰を模索している。大統領を目指す野心をあからさまにして、超党派での支持を獲得できるかどうか、瀬踏みを始めた。

右派政党の「同盟」や「イタリアの同胞」は、かつて右派連合を率いたベルルスコーニ氏への支持を表明済みだ。同氏は無党派層、中道派、ポピュリズム(大衆迎合主義)の左派政党「五つ星運動」の一部の関心を引こうとしている。

かつて「五つ星運動」に所属していたグラナート氏はラジオのインタビューで、ベルルスコーニ氏との会話の内容を明らかにした。2人は新型コロナウイルスのワクチンとイタリアの司法制度について話したという。これについて、ベルルスコーニ氏のコメントは得られていない。

1990年代半ばから2011年まで何度か首相を務めたベルルスコーニ氏は、性的スキャンダルや汚職疑惑にまみれ、イタリア政界ではなお深刻な対立の火種となる人物だ。

ベルルスコーニ氏による政界復帰の画策は、ドラギ首相の下で左右両派が団結している現在の挙国一致政権の先行きとからみ、中道左派の政治家や政治アナリストの顔を曇らせている。
議会解散と総選挙を早める可能性

アナリストらが懸念するのは、ベルルスコーニ氏が事実上、大統領候補になると表明したことで、次の大統領(最有力候補はドラギ氏)の擁立を巡る超党派の合意に向けた努力が頓挫し、選出のプロセスが複雑になることだ。連立政権が揺らぎ、議会解散と総選挙が早まりかねない。

民主党のペッペ・プロベンザノ副書記長は取材に対し、ベルルスコーニ氏が大統領になれば「国際社会におけるイタリアの政治制度の信用にかかわる問題に発展し、政界を揺るがす極めて深刻な事態に発展するだろう」との見通しを示した。

イタリアの日刊紙「ラ・スタンパ」のマッシモ・ジャンニーニ編集長は、仮にベルルスコーニ氏が大統領に就けば、イタリアが「快楽と忘却」の国になってしまうとの危機感を表明した。そのうえで、同氏が関与してきたたくさんの不祥事を列挙した。

イタリアの大統領は上下両院議員と各州代表の投票で選ばれる。当選には3分の2の支持が必要だ。だが、3回目までの投票で決まらず、4回目になれば、過半数の得票で勝利できる。
最有力候補は現首相のドラギ氏

ドラギ氏は、イタリアの次期大統領について、同氏が率いる挙国一致政権の対話と協力の精神を尊重し、求心力のある人物であるべきだとの条件を示している。正式な候補指名の手続きはないが、ドラギ氏は大統領を目指すレースの先頭を走っている。

仮に大統領選出を巡って政界の対立が深まれば、改革案の可決や、新型コロナの感染拡大を抑えるための苦しく不人気な決断が難しくなるかもしれないとドラギ氏は指摘する。
大統領就任を目指すベルルスコーニ氏の旗色は悪い(2021年10月、ミラノ市長選での投票後)=ロイター

ベルルスコーニ氏の政党「フォルツァ・イタリア」の複数の議員によると、25年間の公職生活を経験した同氏は、今回が最後の大きなチャンスだと確信している。同党の議員の一人は、匿名を条件に「ベルルスコーニ氏は正面の門から出て行きたいと願っている」と語った。

ベルルスコーニ氏は、一族で所有する日刊紙「イル・ジョルナーレ」に自分の若いころの写真を載せ、これまでの功績の一覧を添えた。精力的な動きだが、盟友の多くもベルルスコーニ氏の大統領就任は難しいと考えている。

フォルツァ・イタリアの元議員で政府高官を歴任し、ベルルスコーニ氏の古い友人でもあるジャンニ・レッタ氏は「(大統領を選ぶ)選挙人はどこかの(政治)陣営の利益でなく、国益を重視しなければならない」と強調した。政界でのもう1人の盟友、ビットリオ・スガルビ氏は、ベルルスコーニ氏が哀れだと話した。「(同氏にとって)とても厳しい状況だ」と言い切った。

ベルルスコーニ氏が政府を去ったのは、イタリアの債務危機の最中だった。格付け各社や欧州中央銀行(ECB、当時の総裁はドラギ氏)から圧力を受けたからだ。
大統領選出の手続きが始まる前に撤退も

ローマを拠点とする政治リスクコンサルティング会社ポリシー・ソナールのフランチェスコ・ガリエッティ創業者兼最高経営責任者(CEO)によると、現状では欧州連合(EU)とロシアの緊張が高まっているため、ベルルスコーニ氏は(大統領に就いた場合に)ロシアのプーチン大統領との関係構築にも苦慮することになりそうだ。

「ベルルスコーニ氏は原罪を負い、意見の対立を招きやすい。ロシアに接近する傾向があるということだ。ロシアに近すぎると見なされており、そのイメージは払拭できない」とガリエッティ氏は説明する。

18日の報道によると、ベルルスコーニ氏は十分な支持を得られるかどうかわからないと認識している。正式な大統領選の手続きが始まる24日を前に、野心を捨てる可能性もある。

「ベルルスコーニ氏は自分の限界、つまりレッドライン(超えてはならない一線)がどこにあるのかを知っている」とガリエッティ氏は語った。

同盟のサルビーニ党首も「代替案」があると述べ、(大統領選出に臨む)党の姿勢を見直し始めた事実を示唆する。

複数のアナリストによると、右派政党は、イタリアの将来を巡る市場の信頼を維持できると判断し、ドラギ氏の大統領就任が好ましいと考えるかもしれない。23年には次の総選挙が予定されているので、なおさらだ。サルビーニ氏は「ドラギ氏がどんな決断をするのかは知らないが、現状ではドラギ氏が首相でいてくれることで、安心して改革を断行できているのは確かだ」と話す。

(ドラギ氏が首相にとどまるという)この解決策ならば、中道左派陣営の支持を集めることができ、挙国一致の精神も守れるかもしれない。だが、ベルルスコーニ氏が政界復帰の意志を持ち続けるのか、あるいは周囲の説得で思いとどまるのかで、状況は大きく変わると考えられる。

By Silvia Sciorilli Borrelli & Amy Kazmin

(2022年1月19日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

月曜から始まるイタリア大統領選挙。どんな仕組みだろう。

2022-01-21 16:15:45 | 政治
Corriere della sera 20 gennaio 2022 - Aggiornata il 21 gennaio 2022 , 01:15

Quirinale, come si elegge il presidente della Repubblica: quello che c’è da sapere

Grandi elettori, quorum, scrutinio segreto: la guida al voto al via lunedì a Montecitorio
Renato Bendetto / CorriereTv

イタリア大統領はどのようにして選ばれるのだろうか?大統領選挙、投票者、秘密開票。モンテチトーリオ宮殿(イタリア下院議事堂)での投票ガイドを紹介しよう。

大統領選挙秘密投票の定足数から話しをしよう。投票は来週月曜からスタートだ。投票は上下両院議員と地方選出議員58人を合わせて総計1009人が行う。投票は最初の3回の得票で少なくとも673票を得票する必要がある。投票権者数の3分の2という高いハードルだ。4回以降の投票投票ではそのハードルは下がる。最低得票数は505票。しかしここからはちょっと違う。今回は予測不能なコロナ対応が必要だからだ。1992年以来、伝統的なフェルトの天蓋の付いた投票ルームが投票の秘密を守るために議事堂の真ん中に据え付けられてきたが、今回は衛生上の問題から天蓋無しの小ルームに代わった。投票回数も一日に1回となる。議事堂内の最大人数も200人に制限、投票人は1度に50人しか入れない。投票は時間毎に区切られ、アルファベット順に投票する。最初は上院議員が、続いて終身上院議員、下院議員、地方選出者の順だ。各回の投票は開票も含め、4時半までに続く。招集は1回だけ行われる。24日の月曜日にスタート、次の大統領が決まるまで続く。

(原文)
https://video.corriere.it/politica/nuovo-presidente-repubblica/quirinale-come-si-elegge-presidente-repubblica-tutto-quello-che-c-sapere/130b27be-7a11-11ec-8e5a-46f0afadec3f?vclk=video3CHP%7Cquirinale-come-si-elegge-presidente-repubblica-tutto-quello-che-c-sapere