平成27年12月18日
第10回目である。プロジェクトX「エベレストの熱き1400日間」と題して、NHKマネジングプロデューサー小原美和氏であった。多くの番組を企画されていて、生活ほっとモーニング、シリーズ日本のガン医療を問う、ハートネットTV(福祉番組)等を手がけていて、その番組紹介があった。プロジェクトXでは、既に187本が収録され、放映してきたが、女性の話は僅かに4本ということで、今回のテーマはその内の1本である。女性をテーマとした番組は、男女雇用機会均等法、女子ソフトボールチーム銀メダル、宝塚歌劇団の復活物語である。
エベレストの熱き1400日間放映後の反響について触れられた。山岳家田部井淳子氏がエベレスト8848メートルの高さに女性だけのグループで世界初登頂されたことには驚きを持って捉えたれた。夢を持つこと、それを実現するために果敢に挑む姿を見て、男女の差はないとし、人として感銘を受けたとの印象が多かった。また、男性側の意見として、共感を得た、登坂計画の企画、資金集め、組織の統率、目標達成に向けて実行する姿は仕事面と大変類似しているとのことであった。さらには、10名の仲間全員の登頂が夢であったが、途中、高山病や、シェルパの都合、雪崩の遭遇等の難局を乗り切り、リスクを避けて1名であっても登頂に成功したことへの賞賛が集まったとのことであった。
撮影班など協力者がどれだけいたのかという質問ではサポートするシェルパ、ベースキャンプまで50名はいたとの話で、撮影はカメラマン2名だけであったようである。費用については企業からの寄付や大学山岳部の負担などが得られずに、全体で4000万円を要した。ほとんどはグループメンバーの手出しで、最低150万円ほどを個人負担したようである。
後日、この番組のフォローアップが行われ、女性だけのグループによる世界初の快挙はその後も高く評価されていた。番組では様々な苦労話が披露された。家庭を持つ主婦や仕事を持っていることによる企業側の厳しい目があり、そのことが強く表現されていた。家族の協力の上に成功したわけであるが、ある種の男社会からの脱却が見え隠れするドキュメントでもあった。そのように感じるのは、企画者の本音が織り込まれた結果であろう。時として、強烈なアピールとなることもあり、視聴者への誘導的な考え方を強制する場合もあるとの印象を受けた。ノンフィクションは脚色され易いため、注意が必要であろう。