従来の家庭では、単独機器が殆どで、外部電柱から家屋内へは配電盤へ電力が導入されていて、各部屋へはコンセント(アウトレット)が電力の取り出し口となっている。地上波TVアンテナとBSCS用はパラボラアンテナから受信していた。各部屋のアウトレットにはTVを受信できるコネクターがついているが、原則、単独使用である。
この他、インターホン、パソコン、煙感知器、各窓に設置した防犯スイッチがあり、更にエアコン、ふろ、ガス検知器、玄関の電子キー、ドアホーン等の機器が備わっている。しかし、連結されているのはごく一部で、ほとんどは単独使用である。これらを一か所でコントロールするという概念が、ホームバスシステムといえる。家庭内LANといえるもので、多様なメディアや機器を結合し、様々なサービスを可能にすることが期待されている。
基本的なサービスはホームセキュリティ、ホームバンキング、テレショッピング、ホームケアサポート等であり、例えば、ホームバスでは、通信・放送メディアが、独自の経路で家庭内に接続され、ホームバスで、一定のルールによって、整備統合され、任意の情報を出し入れできるものである。現在多くのメディアは標準化されていないし、機器の互換性等、ホームバス使用とはなっていない。
ホームケアサポートについては、高齢社会となった今、24時間体制での見守りや介護の必要性が問われているところであり、健康の維持、健康相談、急病への対応、疾病への対応、緊急時の対応、リハビリテーションの対応等、症状の違いによる対応ばかりではなく、在宅における医療の充実も喫緊の課題である。個々の専門医が常駐し、的確な指示とケア体制がとれるかが成功のカギを握っているといえる。そのためには、一定の地域ごとに、サポート体制が取れる組織とシステムの構築が必要となる。情報端末や相互交信に必要な機器類は整備可能としても、果たして理想どおりにいくかどうかは今後の検証によるところが大きい。特に人体の複雑な機能や、病気の治療には、いまだその原因を特定できていない難病等もあり、自動解析装置等の高度化や簡便性が求められ、徐々に対象を広げるといった試行錯誤的な状況が残っているといえる。
実現可能性については、将来を予測することは家族の状況によって様々であり、居住地域、職業、世代、家族構成、年収等によって、異なってくるが、サポートセンター等のサービスの提供側と受け手との間に共有する相互信頼の醸成が根底にある。そのうえで、サービスを受ける側の対価に対する割安感と、満足度があってはじめて現実味を帯びてくる話である。