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(電撃文庫 「聖☆八犬伝」鳴海永行 著)
こっちも言うなれば「少年八犬伝」。ただし時代が違うけど。
年若いよ皆。村雨丸を持って出るときの信乃の年齢が13歳、浜路8歳。
「ロミオとジュリエット」よりも若い(14歳と11歳)。
信乃がスゴイ。浜路が「器量の良い娘」なのに対して、信乃は
「美姫にも見紛う稚児」
な容姿。行く先々で「色子」とか「稚児」とか言われたらそりゃ短気にも
なるし怒るわな。
電撃文庫の解説文では
『目的も無くストリートファイトに明け暮れていた
少年達が聖なる八つの玉にめぐりあった時、
胸躍る冒険活劇が始まる』
・・・血気盛んで、それぞれの武力・能力の「力」を更に高め、欲する少年達。
グレて(笑)更生したのが荘助。法術使いの血統の跡取りなのに能力が劣り
悩む道節、少女の姿に反抗しケンカにあけくれる信乃、捕物取りとしての
自分の技に慢心していた現八、荒くれの相撲取りの小文吾・・・・
年齢も、信乃13歳、現八15歳、荘助14歳・・・中学生か君らは。
さしずめ、ゝ大法師はヤンキー上がりの更生員のお兄さんといった感ありあり。
真面目な信乃の難しい質問に「まだ修行中の自分にわかるか!」と怒鳴っちゃう
ような人。人間味あふれすぎ(笑)
解説文もあってるような微妙なような。まあ、とにかく皆々強気でそれなりに
自分の技を持ってて突進していくようなタイプばかり。「八犬伝」なら大抵
「おだやか」なタイプの荘助でさえ「両親が死んだ後、グレてぼこぼこにされて、
屋敷の糠助じいに拾われた」という世間ずれし過ぎの不良少年だったりする
からもう。
政治的部分というか、悪人側の動きや国を動かしている側の見方も書かれて
いるので、おじさん率高いです。ジジイ出現率も高いです。
でも女の子は浜路くらいしかまだ出てきてないので華は少ない。
それが難点といえば難点かな。
戦国時代の少年達のジュブナイルって感じです。
翻弄されながらもしたたかに生きて生き抜いていく少年達。
「さらば星座」(黒岩重吾 著)という個人的にものすごく好きな小説が
あるんですが、それをちょっと思い出しました。少年向けのゲームノベルズの
多い電撃文庫と黒岩重吾氏の小説では比べる対象がちょっと違うんですが
それでも。
「さらば星座」は、戦後の復興時代を生き抜く少年たちの話。浮浪児狩り
など暗い描写も多く読むのにも力がいりますが、一読の価値アリ小説です。
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