4年に一度の知的障がい者サッカーの世界大会が、目前に迫ってきました。
知的障がい者サッカー日本代表は国内合宿(栃木県さくら市)の真っ最中、昨日(6日)合宿地まで最終強化試合を見に行ってきました。
対戦相手は栃木県内の高校サッカー部、相手はかなりリトリート(引いて守る)した戦い方だったので、いかに攻め切るか、またボールを奪われた際に攻から守への切り替えを速くしてカウンターから失点しないということがテーマとなり、試合自体は代表が勝利しました。
前々回の合宿で見た時より、各選手のパフォーマンスや連係も向上しているようでした。
得点の場面もいずれもすばらしいものでした。
例えばボランチの山内選手から裏に抜ける左MF安達選手へ浮き球のパスが通り、安達選手のシュートはいったんはGKに弾かれるものの押し込む。右サイドバックの峰選手の左足での見事なシュート。センターバックの野澤選手のいい上がりから中央の浦川選手へ、浦川選手が冷静にゴール右隅に蹴り込む。交代出場の左サイドバック村山選手のパスを受けた浦川選手が再びゴール。
そして90分を終えた後に30分行われた3本目には下村選手もゴールを決めました。
しかしサムライブルーの例を出すまでもなく、直前の強化試合の結果が本線の結果には必ずしも結びつきません。
小澤監督も「ボールや相手に対してもっと厳しく強くいってほしい」という思いがあったようです。
球際で激しく行けるかというのは課題の一つ。性格がやさしすぎるからか強引にいけないということも時折見受けられますが、世界で勝つためにはその壁も乗り越えなくてはならない。
実際、グループリーグ初戦での対戦が決まっているサウジアラビアは、2大会連続優勝の強豪。強化試合で対戦した相手よりかなり強い相手です。もちろんそのことは選手自身もわかっています。4年前には0-4で悔しい敗戦を喫した相手ですから(惜しいチャンスなどはあったようですが)。サウジのスピードのあるFWを止めるのはかなり難しいミッションになるようです。
フル代表の世界ではサウジアラビア代表よりサムライブルーの方が自力では上でしょうが、知的障がい者サッカーの世界ではサウジの方が格上です。サウジは毎回かなりの長期合宿を経て大会に臨むようでかなりの強化資金が注ぎ込まれているようです。(直接確認したわけではなく間接情報から想像しています)。日本は資金の問題や仕事・学業のこともあり、サウジのような長期合宿は不可能です。
しかしグループリーグ突破のためには初戦のサウジ戦で、何とか勝ち点1をもぎ取る必要があります。もちろん勝つにこしたことはありませんがそう簡単にはいかないでしょう。仮に負けるとしても最少失点におさえる必要がある。今大会は参加国は9か国と少なく、グループリーグも2試合だけ。初戦はより重要となります。
そして第2戦で対戦予定のスウェーデンには絶対に勝つ必要があります。スウェーデンはヨーロッパのなかでは多少力が落ちる国のようです。
知的障がい者サッカー日本代表は、12年前、8年前、4年前より明らかに強くなっています。総合力では史上最強と言ってもいいと思います。しかし世界に出ればまだまだチャレンジャー。勝ち上がるのは容易ではありません。そうではありますが、サムライブルーが成し遂げられなかったグループリーグ突破を果たしてほしい。あのブラジルの地で。
ところで今回の合宿を見て個人的に嬉しかったのは、GKの加藤選手のパフォーマンスが6月の合宿よりはかなり上がってきたこと。6月は正直言ってパフォーマンスの低下にショックを覚えたほどでした。私の監督作「プライドinブルー」で中心に描いた選手でもありますし思い入れがあります。もちろん同じく3大会連続出場の野澤選手と浦川選手もチームの大黒柱として頑張ってほしい。
野澤選手は今大会慣れないセンターバックをつとめます。合宿で少し話しましたが「センターバック、全然わかんないっす。自分なりの方法で止めるしかないっす」と頼りなさそうだが頼もしい言葉を聞かせてくれました。
客観的に見るとかなり慣れてきている印象ですし、是非、周りに的確な指示を出し深い“読み”を活かして守り、抜群の攻撃力も見せてほしい。野澤選手は大人になったからなのかキャプテンを任されたからなのか以前よりかなりしゃべるようになった印象で、サッカーが彼を成長させたのでしょうか。
そして浦川選手。「俺が決めなきゃ誰が決める」くらいの強い気持ちでゴールを決めてほしい。力があることははっきりしているんだし。
もちろん結果としては誰が決めてもいいんですが。FWの森山選手、あるいは安達選手や谷口選手が裏に抜けて、山内、木村、徳丸選手などのボランチ陣のミドルシュートや飛び出しでもいいのですが。
注目の日本の初戦は8月13日9時(日本時間同日21時)サウジアラビア。
第2戦は8月15日15時(日本時間の翌日AM3時)スウェーデン。
ちなみにグループAはブラジル、アルゼンチン、フランス。グループCはドイツ、ポーランド、南アフリカ。
各グループの1位と、2位の最上位国が準決勝進出。その他のチームは5〜9位決定戦に回ります。
南米開催で資金などの面で参加出来ない国もあり、以前の大会より参加国が少なくなったことが想像されます。
日本代表は明日(7日)ブラジルへ出発。
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