サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」と「名もなく貧しく美しく」と「アイ・コンタクト」

2024年11月27日 | 手話・聴覚障害

先週(11月20日)、遅ればせながら「ぼくが生きてる、ふたつの世界」をやっと観た。
五十嵐大さんの原作「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」は3年ほど前に読んでおり、当然映画も観るつもりだったので映画に関する情報は極力入れないようにしていたが(観ると決めている映画に関しては先入観など持たないように情報を入れないようにしている)、漏れ聞こえる感想からも評判が良いということは伝わってきていた。
「ろう者役をろう者が演じていること」「ろう者スタッフの的確な指示と本人の努力もあって吉沢亮さんの手話もリアリティをもったものになったこと」「様々な家族を描いてきた呉美保監督が等身大の家族の話として昇華していること」等々。
実際観てもそう思ったし、付け加えるとすれば、映画全体のテンポ感が良く、母親役の忍足亜希子さんも予想以上に良かった。また夫役というか父親役の今井彰人さんとは何度か会って話したこともある(もちろん手話で)が、忍足さんとの年齢差を感じさせないよう、かなり工夫演出もされていた。

その翌々日、たまたま「名もなく貧しく美しく(1961年製作)」を再見した。高峰秀子生誕100年プロジェクトの一環として東京都写真美術館で上映されていたものだ。「ぼくが生きてる、ふたつの世界」との共通点は、ともにろう夫婦、コーダ(Children of Deaf Adults/聞こえない聞こえにくい親を持つ聴者の子ども)が描かれている点。
コーダの息子が、ろうの両親を拒絶する時期もあるが、最終的には受け入れていく様子も描かれている。その様が小学生の間に完結するので、現代から観れば少々類型的ではあるが。
「名もなく貧しく美しく」では、ろう夫婦を高峰秀子と小林桂樹が演じているが、この映画に向かって「ろう者役をろう者が演じていない」と批判してもあまり意味をなさないだろう。63年前にメジャーな映画でこの題材を取り扱ったこと自体が画期的であった。
高峰秀子の夫であり、この映画の監督・脚本松山善三は、フランスパリを訪れた際にフランス手話で会話するろう者たちを見たことが映画のきっかけになったという。私の記憶では、世界最古のろう学校であるパリ聾学校も訪れたのだと思う。
とは言え高峰秀子の口話が場面によって都合よく聞き取りやすかったり、そもそも補聴器もほぼない時代に口話があれだけ流暢であることは気になった。
ちなみにろう者を使い自主映画を作り続けた、ろう者の映画監督である深川勝三氏の第1作「楽しき日曜日」が制作されたのが前年の1960年だった。

表題にある「アイ・コンタクト」は私の監督作品。デフサッカー女子日本代表を描いたドキュメンタリー映画だ。
この3本の共通点は、聞こえない聞こえにくい人々を描いていることはもちろんだが、コーダが出ている点だ。
前2作は俳優が演じ、「アイ・コンタクト」はドキュメンタリーなので実際のコーダが出演している。
高校までろう学校に通っていたデフサッカー選手が、大学で初めて聴者の世界に触れ、その2つの世界の橋渡しをしてくれたのが、自身もサッカーをやっていたコーダの同級生だった。
コーダという言葉が、少し知られるようになったのは2009年10月刊行の「コーダの世界(澁谷智子著)」、それを読んで是非作品にも出てほしいと願い、出演してくれた。
彼は子供のときに親の通訳をするのは当たり前だったと語ってくれたが、その後出会ったコーダは親があえて手話を覚えさせず大人になって手話を学び始めたという人もおり、コーダといっても様々だ。


CPサッカーW杯 忘備録

2024年11月20日 | CPサッカー
CPサッカーのW杯がスペインで開催されていますが、今大会はあまりしっかりと観れていません。
観た試合のあとにFacebookに簡単に書き込んだものを忘備録としてコピペしておきます。
 
11月11日
CPサッカーW杯で日本代表は初戦でイングランドと対戦し0-6と敗れた。
イングランド強し。PKは惜しかった。
戦いは続く。次戦はカナダ戦
 
15日
CPサッカーW杯で日本代表はグループリーグ3戦目でブラジルと対戦。
ブラジルに回されていたけれど、しっかりブロック作ってGK柳も好守連発。30分には浦のボール奪取からチャンスを迎えたがシュートは惜しくも枠の外。
後半7分CKから失点し0-1で敗れた。
そして女子も始まった
 
15日
CPサッカーW杯、女子日本代表の初戦はオーストラリアに0-6で敗れた。
浜田美弥妃のポストに当たったシュートは惜しかった。是非、次戦ではゴールを!
女子の次戦は明日19時半(日本時間)デンマーク戦。
男子は順位決定戦へ。
 
16日
CPサッカーW杯、女子日本代表第2戦デンマーク戦は5-1の勝利!
豊田美来、浜田美弥妃、黒木咲生と1タッチでつながっての浜田の先制ゴールに始まり、豊田のハットトリック、最後は黒木がいったんはPKを外したが押し込んで5点目。
3点目のGK大田麻衣が持ち上がって、黒木、豊田と1タッチでつながったゴールも見事だった。
次戦は明日アイルランド戦。
 
17日
CPサッカーW杯、女子日本代表はアイルランド相手に豊田が先制、GK大田の直接ゴールで2点のリードを奪うものの、4点を奪われ逆転負けを喫しグループステージ1勝2敗に。残りは明後日のアメリカ戦。
グループステージ1位2位が決勝へ。3位4位が3位決定戦へ。
他チームの戦績を把握していないのだが3位を目指すということになるのだろうか。
 
19日
CPサッカー女子W杯の3位決定戦、日本代表はアイルランドと対戦。
この試合ではこれまでGKだった大田麻衣がピヴォ、フィクソだった浜田美弥妃がGKに入った。浜田が怪我か何かで、フィールドプレイヤーとしては動けないということなのだろうか?
9分、その大田がCKからのカウンターで先制点を奪う。
しかしその後、前半のうちに4失点。大田もアイルランド選手が蹴ったボールが当たり負傷退場してしまう。
後半2点を奪われ、6-1と敗れ、CPサッカー女子日本代表は5チーム中4位で大会日程を終えた。
ともかく、お疲れさまでした。
 
追記
21日
男子の最終戦の相手はタイ。13~15位決定リーグ第2戦 ということになる。
GKは柳英行、DFは三浦良介、戸田哲也、その前に久保善暉、左に影山寛仁、右に大野僚久、トップには浦辰大。2・1・2・1と言えばよいのだろうか。
最初のチャンスは日本、7分影山が左サイドでボールを奪うと浦へ、その浦のシュートはタイのGKの好守に阻まれる。
14分にも影山がゴール前に詰める。
しかし25分、タイは自陣から1タッチでパスが小気味よくつながり最後はループ気味のシュートがGK柳の頭上を越え、タイが先制。
後半、元々攻撃力がある戸田が上がり目のポジションを取り再三チャンスを演出するものの、ゴールを奪うことはできず、タイに1-0と敗れた。
 
その結果、日本の14位以下が決まった。明日のオーストラリアvsタイ戦の結果次第で15か国中の14位か15位となる。タイがオーストラリアに2点差以上で勝てば日本は14位、1-0で勝った場合は日本とオーストリアが勝ち点、得失点差、得点でならぶことになり、同率14位? それ以外は15位となる。
日本の戦績は以下。
グループB
第1戦 0-6 イングランド
第2戦 0-2 カナダ
第3戦 0-1 ブラジル
9~15位決定トーナメント 0-2 スペイン
13~15位決定リーグ第1戦 1-1  オーストラリア
13~15位決定リーグ第2戦   0-1 タイ

選手、スタッフの皆さま、お疲れさまでした。
 
さらに追記
オーストラリアがタイに2-1で勝利。日本、オーストラリア、タイで13~15位を争っていたが、オーストラリアが1勝1分けで13位、タイが1勝1敗で14位、日本が1分1敗で15チーム中の15位となった。
 

デフリンピック1年前のJヴィレッジで デフサッカー女子日本代表 実り多きアメリカとの対戦

2024年11月19日 | ろう者サッカー
デフリンピック開催まであと1年、サッカー競技が開催される福島県Jヴィレッジで11月15日と17日、デフサッカー女子日本代表とアメリカ代表との試合があり取材、記事を書きました。
全日本男子ろう者サッカー選手権大会、福島県主催の1年前イベントにも触れています。
是非ご一読を。