日々雑感

心に浮かんだこと何でも書いていく。

アッチ向いてホイ0

2014年09月18日 | Weblog
アッチ向いてホイ
      (一)
 八ッ目ホルゲンは八ツ目鰻油配合の栄養補給剤である。効能書きをみてみると、滋養強壮・虚弱体質・肉体疲労・病中病後・栄養障害等々、しるされているが、実際に服用してみると確かに視力はよくなるようである。夜寝るまえに飲んだら翌朝は目がよく見えるようになった気がする。
 なべて、五十歳を過ぎるころから目がしょぼしょぼして書物の字はかすむし、老眼鏡をかけないと、ものを見るのに不便を感じるというのが標準的な五十歳代の実態のようである。  
       (=)
知り合いの、薬局の奥さんとはカラオケ仲間である。彼女は歌うほう、私は歌いかたの指導をするほうで、特別に心やすい仲でもある。
「奥さん。やつめホルゲンある」
「あら、先生。どうしたのですか」、
「近ごろ、とみに目が悪くなったようで。老眼だけでなく目がショボショボして。 歳はとりたくないもんですな。真っ暗闇でも分かるのは、あれ、たった一つですわ。 アッハッハー」
「まあ、いやらしい。先生ったら。アッハッハー。それは皆同じですよ、先生。あれは近眼・老眼、関係ありませんよ。八つ目ホルゲンで精つけて頑張ろうと言うのですな。わかりました。」
「ところで、奥さん。ご主人はお元気ですか。」
「まあ、いやだったら、先生。うちの主人ときたら“あっちむいて、ホイ”ですよ。お父さんはもう六十に手た届く歳ですもの。」
「奥さん、それじや、私と同じ世代ですよ。 “あっちむいてホイか”わびしいなー。まだまだ現役でないと。」
 それにしても六十歳ごろになるとひとは皆、男も女も、あっちむいてホイぞくになるらしい。
「奥さん、お互いに頑張ろうと、ご主人にいっておいてください」。       (三)
 この手の話や、雰囲気で喧嘩になったという話は、私は聞いたことがない。クスクス、ゲラゲラ、の笑いばかり。目尻がヤニ下がっているかどうか、そんなこと知るよしもないから、お構いなしで、話は一直線に降下して、語るにおちるところまで落ちていく。
 私も夢中になって話にとけこみ、胃の痛くなる世界の住人であることをしばし忘れる。 アメリカとイラクの、一触そく発の危機もどこ吹く風である。砂漠の兵隊さんはアメリカ兵にせよ、イラク兵にせよ、ご苦労さんですな。
かくて、現在の日本は平和である。
かって騒然とした世の中で、世情とはまるで無関係に、「捜し物は何ですか、」と歌った御仁がいたが、その社会への無関心振りに驚き怒りすら感じたが、近ごろは社会の出来事に、敏感に反応しなくなった自分に、ハッと気ずくことがあり、空恐ろしく思うことすらある。
“あっちむいて ホイ”ぞくに近づいたせいかもしれない。
いや、総理大臣経験者が、二人も、リクルート事件に関係する程に、政治倫理は失われさらに、庶民には夢に見る事すら出来ないような高額の所得隠しをして、株屋がまちがって、大臣にまでなったと嘲笑された政治屋がでたりして、政治不信に追い打ちをかけるなど、昨今の政界の退廃振りから世の中がいやになり、無関心にならざるを得なかったせいかもしれない。
何事にたいしても “あっちむいて、ホイ”になるのはこういう事にも一因があるのだろう。世相はこんなだし、体力・気力もおとろえて自然に社会の出来事に関心を失っていくし、いやな世代に入ったもんだ。