日々雑感

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阪田山遺跡

2013年12月08日 | Weblog
阪田山遺跡

この遺跡は一般に言われる遺跡とは、ちょっと趣が違うような気がする。
> 紀州和歌山の白浜にある遺跡であるが、普通の遺跡の感覚でいると中の展示物には度肝を抜かれる。
おおまかな言い方をすれば、この遺跡は白浜美術館とそれにつながる歓喜神社の事を言う。

入場料を払って中に入ると、左手にたくさんの絵馬がある。
読んでみると夫婦和合、子宝に恵まれますように、次は男の子が生まれますように、といった具合に夫婦和合と子宝授かりの絵馬ばかりである。

白浜美術館は美術館と言えばちょっと特殊である。どういう意味で特殊かと言えば、中に展 示されている像はほぼ全てミトーナ像である。
全部で120点ほどあるらしい。
初めて見るとちょっとえげつないかなぁと思うだろうが、僕はインドやネパールを旅していて、こういう類のものはしょっちゅう見ていたから、珍しいと言うよりもインドとネパールを懐かしくさえ思った。

おそらくこれらの男女和合神像はインドのヒンズー教から生まれたものだ。シバ神や妃のパールパーティーなどのミトーナ像が何体もあった。
> どうしてこういう和合像を作るのであろうかと、日本人だったらそーゆー風習がないから不思議に思うかもしれないが、インドでは僕は普通の町の中で何体も見かけたことがある。特にネパールのバクタプルの寺院では庇そのものがこのようなミトーナ像ら成り立っていた。

考えてみれば何も不思議では無い。この世には男性と女性がいて、お互いの性の力の和合において新しい命を生み出すことができる。
その様々な姿を神像にして展示してあるが、神を人間に置き換えればエロチックに思える。近頃はだいぶ解放されたが、日本では、やはりセックスの事は露にすべき事柄では無い。恥じらいというわけではないが、日本では、やはりまだまだ性はタブーの領域に属する。

心理学者のフロイトの説を引用するまでもなく、性の力の大きさは日常生活において実感するところである。またこのように、表面的にそのものずばりをあらわにすることにはちょっと気が引けるんだが…
まあまあ節度を持ってやる程度なら大目に見るほうがいい。

由緒書きによると、この遺跡は1300年以上も昔の事らしい。なんでも大津波に襲われてこの遺跡は埋没していたそうだが、それが昭和30年代に大学教授の力によって発掘されて現代の姿をとっているとの事である。1300年も昔の人が女陰と男根を見るも大きな姿に彫りこんでそれを祀ったらしい。
人間なんて1300年昔だろうと現代だろうとそんなに変わるもんじゃないなと苦笑した。
タイのバンコクにあるワットアルン「暁の寺」の高く聳える中央石塔は下半分が仏教で、上半分はヒンズー教を表しているということである。タイは小乗仏教だけれども、国民の仏教に対する信仰は篤く、その度合いは日本人の比では無い。

そういえば日本でも、この性に関することがお経に書かれている。それは司馬遼太郎さんの「空海の風景」を読めば、その中に詳しく書かれているからよくわかる。

そんなことを考えていると日暮れが近くなってきた。
さぁぼつぼつ宿の方へ帰ろうか。 冷たい夕風が通り過ぎて行った。

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