kebaneco日記

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上野de発見

2021年06月28日 | チェロ&アート

土曜日に、聖林寺十一面観音を見に東博へ。本堂の耐震工事に合わせて開催されたとのこと、工事にはお金がかかるのでクラウドファンディングも行っている。

 

東博へはバスで。今まで何度も通ったはずの池之端からのルートで、東京都選定歴史的建造物の上田邸(旧忍旅館)に気づいた。ちょうど上野動物園の動物医療センターと通りを挟んだあたり。いつも目的地があって歩いてたから、雰囲気のある洋館風建物だとは思ってたけど、そんな看板目に止まらなかった。

 

「花園町(今の池之端)の白さぎ城」と親しまれていて、珍しいので見学者が絶えなかったという昭和4年竣工の洋館。木造建築でありながらモルタルに目地を切って石壁風に仕上げられている。窓や柱が独特で、1階から3階の各層が段階状にセットバックしているので圧迫感がない、という特徴を持つとあった。

 

で、先を急ぐ。2時半から4時半までの入場時刻指定の券にしてあったにもかかわらず、入り口には特別展入場者の結構長い列ができていた。「最後尾」の立て看板を持ったお兄さんが「他の場所を見て戻ってきて列に並んだ方が、列が短くなっている可能性が高い」と声をかけていた。4:30は土曜日の最終入場時刻なので、たしかに列は短くなるだろうと判断して、「じゃあ」と一旦列を離れて本館へ。

 

実はお目当ての展示がもう一つあったのじゃ。6/22から「日本美術のとびら」という、東博のコレクションの名品を紹介する映像が上映されたり、高精度複製品をケースに入れられない状態で間近に見られる展示スペースができたのであった。

 

尾形光琳の風神雷神図屏風

 

その裏は酒井抱一の夏秋草図屏風

 

この二つの作品は今でこそ別々の屏風に仕立てられているけれど、かつては表裏一体だった。複製品だからこそかつての姿のように表裏一体にして展示できる、という不思議な感覚。日本の文化財は光や湿度に弱いから展示日数が少なく、例えば私が好きな長谷川等伯の松林図屏風は東博にありながらも、いつ行っても見られるわけではない。当分はこの二作品、その次には別の作品、そして秋には松林図屏風が高精細複製品としてガラスケースから出された形で展示される予定、と知って今からワクワクしている。

 

孔雀明王像(国宝)も高精細複製品が来年3月まで展示されるようだ

 

本物は明るい光の下では見ることができない。でも複製品なので半年以上の展示が可能。しかも↓のインタラクティブ・コンテンツにも加えられていて、拡大して見たい場所を手の操作で選べるようになっていた。

 

幅14メートルの巨大スクリーン

 

ワクワクポイントと床に印のある場所に立つと、いろいろ遊べおじさんでも楽しめる(笑)

 

と、楽しんだ後は列に戻って十一面観音像の展示を堪能

 

思ったよりかなり大きな観音菩薩像で、観音様に対して持つ女性的な柔らかなイメージを覆すような迫力に圧倒された。周囲には台座の蓮弁や光背のかけらなども展示されていて興味深いものだった。が、男性的な観音様は神々しくてほえぇ〜っと感動はしたけど少々の違和感を禁じえない、その違和感を頭の隅に感じながら鑑賞。

 

出口近くに並んでおられた日光菩薩と月光菩薩の像の前に立って、ようやく落ち着いた。そうよねこういう感じ、と腹落ちするというか落ち着くのを感じて不思議だった。

 

でもその違和感ゆえに、どういう風景の中にあるどんな伽藍のどんな雰囲気のお寺なのかしら、と逆に興味が湧いてきた。奈良旅行を計画してキャンセルした我が一族としては、じゃあ次回計画するときは1日伸ばして三輪山あたりにも足を伸ばしたら楽しいかもね、などと言う話をした。

 

帰ろうとして、東洋館の地下一階のシアターで「鳥獣戯画 超入門!」の最終回に間に合うことを発見。本物はもう見ちゃったけど、どんなのやってるんだろうね〜、とギリギリセーフで滑り込んだ。高精細のデジタルカメラで撮影した甲巻を、要所要所詳しく説明していく約30分のプログラムは、なかなか良くできていた。

 

終了後は撮影してSNSで拡散してね、と言われてみんな撮影会(笑)

 

お土産の数々

 

うちわは入場券もぎりの時に配られた。途中クイズがあり解答に使った。シールはSNSで拡散したことを画面で見せてもらえて、ポストカードはアンケートに答えていただいた。

 

正門横のポケモンマンホールの蓋

 

今回の東博、図らずもデジタル化を感じる1日となった。コロナ禍で海外の作品を借りてきてブロックバスター的な特別展を開催する目処が立たないいま、劣化しやすい収蔵品や国内の美術品を国内に住んでいる人に紹介する努力、子供たちにとってもとっつきやすいプログラムを提供する努力、大事だなぁと思った。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tsubone)
2021-06-28 06:33:37
いいですねー!

上田邸 いつも目の端で気になりながら通りすぎてたけどこんな謂れの建物だったんだー!
今度は立ち止まってみます

東博 鳥獣戯画展キャンセルされてから心くじけて再訪しておりません 友達からお土産もらって半分行った気になってしまった
長谷川等伯×酒井抱一屏風なんて贅沢の限りですね
こんな感じの再現でもいつでも身近に見られるのはいいことかもしれないな
デジタル化もこういう分野で進むの歓迎です
私もこの日は弥生美術館に行ってきました だいぶ違う分野の観賞でした(笑)
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おおーっ!! (みどり)
2021-06-28 10:43:34
こんな感じだったのですか。
いいですね!
私も行きた~い。

表裏一体になっている風神雷神と夏秋草図屏風も素晴らしい。
特に夏秋草図、どんな感じに描かれているかじっくり見てみたい。
本物を守りつつのデジタル化も悪くはないですね。
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tsuboneさま (keba)
2021-06-28 11:13:00
上田邸、素敵なんだけど「忍旅館」っていうのが怪しいでしょ(笑)

そうでしたね、鳥獣戯画展は残念でしたね。あたしは自分だけでも行こうと思っていたチケットが、閉鎖少し前に友人に譲っていたのでとっても感謝され、お礼として小さい風呂敷をいただき、主人のお弁当風呂敷として活躍してます(笑)。

松林図屏風は去年の10月に展示されていたので、今後の公開は未定です。キュレーターの知人は「日本美術は6か月展示して2年休ませるが常識」と言っているので、高精細複製でガラスケースに入れない展示、は歓迎です。

弥生美術館、あらま、そうだったんですね。土器関係かな?
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みどりさま (keba)
2021-06-28 11:28:28
新しいコーナーはデジタルを駆使した展示でした。夏休みに入ったら子供たちで賑わうかもしれないので、早めに見られてよかったかな、と思います。年間パスを持っているので、平日に時間ができたら予約をとってふらりと来てこういうのを見るのもいいかも、と思いました。

繊細なタッチでしたよ、ガラス越しじゃなくて見られるのもありがたいです。
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