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東洋のナイアガラ「曽木の滝」


東洋のナイアガラとのフレーズだが、滝そのものをナイアガラと比べるとちょっとかわいそう。でもこの眺めはやはりいい。
ナイアガラと比較するなら、その基盤岩の方がスケールが大きい。約34万年前に破局噴火を起こした加久藤カルデラ火砕流の溶結凝灰岩でできている。巨大噴火の火砕流は谷を埋め、自身の熱と重量で溶融し圧縮して巨大な岩となり、やがて滝をつくった。曽木の滝は、加久藤カルデラからはちょうど西の方角だ。巨大噴火を想像しながらこの滝を望むと、スケールはナイアガラを数段しのぐかもしれない。

「霧島アートの森」に出かけたついでに、「曽木の滝」へと足をのばした。宮崎県平野部は台風の影響で曇りなのに、鹿児島県側は晴れ。夏の暑い日差しがあった。お盆休みのためか駐車場はいっぱい。でも、運良く空きスペースが見つかりセーフ。お土産店の前はどこもソフトクリーム等を求める客の列。腹ごしらえが先と店に入ったが、店前の客への対応などで、店員さんはてんやわんやの状況。待つこと約30分。どうにか腹ごしらえをして、ドウドウと水が流れ落ちる滝の方へ。近づくにつれ轟く音は次第に大きくなる。暑い夏こそ「曽木の滝」だ。この滝は古くは、秀吉も訪れたという。それとは別に、柳原白蓮の歌碑がここにはある。近くに白蓮の写真が掲載された説明板もあるのですぐわかる。


柳原白蓮


もののふの 昔がたりを曽木の滝
水のしぶきに ぬれつつぞ聞く


白蓮は「大正三美人」の一人だ。NHKテレビ小説「花子とアン」(2014年)で、仲間由紀恵が演じた葉山蓮子のモデルでもある。九州の炭坑王・伊藤伝右衛門との結婚の後、編集者で随分と年下の東京帝大生・宮崎龍介と駆け落ち。夫に公開絶縁状を出した後、宮崎と結婚。後に平和運動にも力を注いだ。「もののふの・・・」は、昭和32年に滝を訪れ、その時に詠んだ歌のようだ。
「水のしぶきに ぬれつつぞ聞く」とあるから、当時は、今のように整備されていなくて、流れの近くまで行けたのかもしれない。しかし今でも、右岸にある発電所への水の引き込み口付近に行くと、流れや轟音は迫力が増す。
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青木野枝 『霧と山』展 




青木野枝さんの作品が見たくて、「霧島アートの森」へ出かけた。青木さんの作品は宮崎県立美術館にも1点だけ展示されている。フラフープみたいな大小の丸い輪が幾つか組み合わさった大きな作品だ。丸い輪は一見すると、丸い棒のように見えるが、よく見ると鉄板が円形に溶断されたものだ。溶断後、丸い輪をひとつひとつ溶接して作品としている。鉄なのに、鉄が持つ重量感を感じさせず、滝をはじける水玉のような瑞々しさを感じさせてくれる。

今回は、会場が霧島の一角にあるだけに、「霧」と「山」がテーマの作品だ。展示会場に入ると丸い輪が組み合わされた円錐状の作品がすぐに目に入った。鉄板を円形に溶断された輪がたくさん溶接され、円錐状の山となっている。ところどころの輪には、ガラスがはめ込まれている。その作品をはさんで、背が高く厳粛で宗教的な感じの作品。上方から霧か滝をイメージしたのだろうか長い水色の波板が下げられていた。今まで感じたことがない宗教的な感じは、高さのせいかもしれない。私の感覚からすると、長い水色の波板より、薄い水色の布を垂らした方が鉄と相性がいいような気がした。とは言え、やはり都会的で女性的な感覚は感じていた。この感覚故か、青木さんを40歳前後の女性と勝手に想像していた。プロフィールをじっくり眺めてびっくり、私の想像は大きく外れていた・・・。
部屋を出ると、鉄とはうってかわった作品。石膏、麻布、新聞紙、鉄を使った山のような白い塊の作品が置かれていた。白い山、あるいは白く丸い岩のように見えたが、作品名は「曇天」。作品名にはなじめなかったが、作品の肌触り感はとてもよかった。多分、「自然」が持つ空気感が漂っているのかもしれない。

どの作品も触れたりすることは禁止だったが、写真はOK。作品数は思っていたより少なかったが、青木さんの感覚に触れて出かけた甲斐はあった。








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