日頃感じたこと、思ったこと事などを書きとめておきます。
野のアザミ
市房杉エコウォーク
2019-08-18 / 自然
今年の梅雨は当初晴れ続きで空梅雨かと思わせたが、中盤以降は雨また雨。それも九州を中心にどしゃ降り。各地で避難準備情報や避難勧告、所によっては避難指示(緊急)さえ出るほどの状況。いつもならとっくに梅雨もあけて天気も安定しているはずなのに、梅雨明けは大幅遅れ。
そんな中の7月22日、友人らと市房杉を見に出かけた。20日には五島や対馬に線状降水帯発生で大雨特別警報が出たばかりで、その後も九州には同じような状態が続いていた。21日夜の予報では市房山周辺に線上に降雨帯があり、延期すべきとも考えたが、当日の10時頃には雨があがる気配・・・。
ということで、小雨決行。連絡をとりあい宮崎市から西都市を経て、西米良村経由で集合場所の市房山キャンプ場へ向った。約2時間弱で到着する予定だったが、コンビニに寄ったり防災工事の交通規制にあったりして15分ほどの到着遅れ。人吉経由で早めに着いていた友人は、途中大雨に会い、前も見えないほどだった様子。こちらは西米良村手前で雨にあったがそれほどでもなかった。ほどなくもう一人も人吉経由で遅れて到着。人吉から水上村までが思ったより時間がかかったようだ。
天気は大雨があがったばかり。よかった!読み通りだ。参加者が出揃い、登山靴に履き替えるなどしていざ出発。目指すは市房山神宮参道に林立する市房杉。樹齢800年から1000年という杉の大木だ。キャンプ場から登山道入口に行くと、道路横にプレハブと1台の軽トラック。すぐに男性が出てきて、何やら話しかけてきた。聞くうち、希少動植物保護活動の方たちと分かった。こちらも自然保護に熱心な者ばかりなので、話は早かった。ここには絶滅危惧IA類 (CR)、国の天然記念物指定のゴイシツバメシジミがいるのだ。翅に碁石模様が入った小さなチョウだ。大雨が降ったばかりなので、見れないだろうということで、写真をみせていただくことになった。但しデジカメモニター。それをデジカメでパチり。そのため当然画質は悪い。
ゴイシツバメシジミ
アスナロも大きい
そうして、登山口の鳥居をくぐり、いざ出発。大雨の直後なので、歩きにくいのではないかと覚悟していたが、別に変わらず暑さもほどほど。登山道を登り始めるとすぐに幹が黒っぽい大きな木が現れた。アスナロだ。漢字で書けば「翌檜」。本州、四国及び九州に分布する日本固有の常緑針葉樹だ。名称の由来はヒノキに似ているので、「明日(はヒノキに)なろ(う)の意味」と言われているが、これは俗説との見方も。文学作品ではヒノキになりたくても決してなれない哀れな木として扱われることも。ヒノキより葉っぱが大きく、葉の裏が白っぽいのですぐ見分けはつく。登山道のあちこちでアスナロを見かけることになった。
さて、20分も歩かないうちに、最初の大杉が現れた。幹回り7m前後か。特に名前は付いていなくて、「市房杉」と書いた木札があるだけだが、やはり感動。以後、次々に大杉に出会うことになった。その中で特に特徴のあるものには、双子杉や平安杉、千手観音杉、新夫婦杉などと名前が付けられている。名前の由来等は以下のようだ。
双子杉(幹周り 8.06m)
幹回り8mを超える市房山最大の杉。幹の途中から二股に分かれているため命名された。二股に分かれた幹が協力して、一本の木を力強く支えている様は、団結力、協調性を連想させるとか。
平安杉(幹周り 8.02m)
市房杉を代表する杉として、市房山神宮の建立年(807年)が平安時代であったことから命名された。
幹が途中で分岐せず美しい樹形が保たれている杉としては、市房山で幹回りが最大の杉だ。
千手観音杉
八丁坂を登りきった石段から振り返ると見える杉で、左右に伸びた枝が、千手観音を思わせることから命名されたと言われるが、10年前より痛んでいる感じ。
新夫婦杉
地元では「お嶽さん」と親しまれ、古くから縁結びの神として知られる市房山神宮。その市房山神宮の象徴として大切にされてきた夫婦杉は平成5年の台風で倒壊、その後継として命名されたのが新夫婦杉。初代夫婦杉と同じく良縁・夫婦円満と言った縁結びとしてはもちろん、子宝に恵まれるともされている。
ゆっくりゆっくり八丁坂を登りきり、もうすぐ市房神社に着く頃だったか、先頭を歩いていた友人が、立ち止まって先の方をしきりに気にしている。その先方を木立ごしに見ると、何やら動いている。「写真!、写真!」と思っているうちに左手の森へと消えた。束の間だったが、目に焼き付いたのは、コシジロヤマドリ。キジに似ているが、キジとは違い赤っぽく尾は長い。わが宮崎県の「県の鳥」だ。夢ではなく現実。うれしい出会いだった。
そしてまもなく終点の市房神社。すぐ手前の参道では、大雨の後ゆえか水が小さな滝となって流れ落ちていたが、参加者みな余力を残して到着。あとは楽しいお昼ご飯となった。その前に、今年亡くなった仲間に「来たよ!」と黙して報告。存命であれば、本当はこの日も一緒だったはず。その仲間と私が下見でここに訪れていたのは、2008年12月のこと。市房山の頂上付近は雪を頂いていた。それから約10年半、やっと実現した市房杉エコウォークだった。ご冥福を祈る。
下りは滑ることを用心し、林道を選択。林道へ出る間際までは山道。あとは、舗装された林道をすたこらさっさでキャンプ場の駐車場着。解散した後は、来た者同士で帰路となったが、私のグループは西米良でちょっと寄り道。気になっていたシェブロン褶曲を見たかった。西米良役場交差点から椎葉方面へ。竹原トンネルを抜けるとすぐのところの対岸だ。上部は草木に被われてきれいに見えなかったが、川面の上にはしっかりと見えた。草木を取り払えば西米良の名所になるはずだが・・・。
ただ、この寄り道がいけなかった。西都への国道は度々崖崩れが起きて、通行不能や時間規制となる。行きは短時間の通行規制だったが、確認を怠っていたため、帰りに1時間余りの規制にかかってしまった。崖崩れ予防ネットの工事だ。高い崖の上では何人もの人が金属のネットを留めていた。この1時間、長そうで、そうも感じなかったのは作業に見とれていたせいか・・・。寄り道も、案外よかったのかもしれない。
※帰宅後、ゴイシツバメシジミを調べたら、「宮崎県版レッドデータブック」にも小林市に生息、宮崎県カテゴリーでも絶滅危惧IA類 (CR-r)に区分、須木村では絶滅した可能性が高いとあった。
川面の上のシェブロン褶曲
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