再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

三枝氏の三部作

2010-02-13 09:40:23 | 読書感想

若くして企業再生コンサルタントや企業再建を任された経営トップを経験し、その後、株式会社ミスミ(東証一部)という上場企業の経営を創業者より託された「三枝匡(ただし)」氏の実践的経営書・三部作を手にしました。

それらは、すでに新刊本として20から10年以上前に発刊されたものであり、それぞれに文庫本化がされている。結構有名な書籍らしい(不明を恥じる)。

19913月初版の「戦略プロフェッショナル」(ダイヤモンド社)

19949月初版の「経営パワーの危機」(日本経済新聞社)

20019月初版のV字回復の経営」(日本経済新聞社)

それぞれに文庫本は、日系ビジネス人文庫より、2002年から2003年、2006年と第一刷が発行されています。

おそらく新刊本が出された頃に、それらを手にしておれば、著者の意図の半分も理解できなかったのではないか。20年前の自分は、「経営」や「経営者」がなんたるか、考え及びもつかない世界で生きていた。

それが今この時期に出会ったきっかけは、本から本へのつながりであり、現在の自分自身の抱えている問題意識や取組んでいる課題によるところが大きい。

著者の主張している「日本のビジネス界での40代における経営プロフェッショナルの育成が急務」という熱いメッセージは、今もまったく色あせることはなく私の心に浸み込んできた。

すでに50代も半ば近くの自分自身を冷静に見つめるとき、著者のような有能かつ経験豊富なビジネスマンとのとてつもない大きな格差を感じつつも、なんとか10年遅れぐらいではその後を追いかけていきたいものだ。

コンサルタントのような第三者的立場ではなく、実際に企業経営を経験した人間にしか掴めない智慧に溢れた良書であり、物語的な構成が時を忘れさせ、同時に興奮と感動を覚えることができる。

つい夢中に字句を追いながら、ふと気付くと今の自分自身の身近な課題と置き換えて考えたりしている。このような経営シミュレーションは、経営に携わる者やこれから経営者を目指すビジネスマンには、極めて有効なトレーニングの一つではないかと思う次第である。


沈まぬ太陽

2009-11-14 12:49:42 | 読書感想

急な出張が入り、自宅から大阪までの往復6時間の列車内をどう過ごそうかと、思わず東京駅構内の書店で「沈まぬ太陽(山崎豊子著)」を購入した。平積みで目立つところにあり、文庫本で携帯しやすく、今映画で話題になっているなどなどが、衝動買いの理由。

ただ長編全五巻だったので、まとめ買いしてしまったので、結局1冊の新刊本より重くなってしまった。

とりあえず第一巻だけ買って、後から残り4冊を買えば良かったなと、新幹線に乗ってから気づきました。

その時の日帰り出張では、第一巻をほぼ読み終え、それからは通勤やちょっとした空き時間を見つけては、読みふけっております。

現在は、第三巻目の終盤であるが、この巻のテーマは、例の「御巣鷹山事故」である。

1985812日夕方。もう四半世紀前のこととなったが、私自身もはっきりとあの瞬間を記憶している。

お盆休みの初日、独身寮から田舎に帰省し、久しぶりの両親・家族との夕食前にテレビを見ていた時。123便の機影がレーダーより消えたという第一報がテロップで流れた。

それからの1週間ほどの夏休みは、ほとんど事故関係のニュース報道にくぎ付けとなってしまった。

そんな昔を思い出しながら読み進めると、電車の中であるにも関わらず、思わず涙を抑えることができないほど、鬼気迫る筆致に引き込まれる。

極めて今日的な企業の話題でもあり、また当時の自分には考えも及ばなかった企業経営上の教訓を得ることができるすばらしい著作である。

事故は起こるべくして起こる。そして、企業の盛衰もまたしかり。

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リーダーは半歩前を歩け

2009-09-20 09:36:04 | 読書感想

「リーダーは半歩前を歩け」

この本の著者は、政治学者の姜尚中(カン・サンジュン)氏であり、前著の「悩む力」がおもしろかったこともあり、日経広告を見て即注文した。

新しい切り口のリーダーシップ論として、こちらも大変興味深く一気に読み終えました。

今のような混迷の時代だからこそ、「リーダーシップ」という古くて新しい問題を問い直す意味がある。というのが、筆者の問題提起である。

日本人をある意味冷静に見ることのできる著者だからこそ、今の日本のリーダーシップ論を鋭い洞察と批判に満ちており、納得するところも多かった。

小泉元首相のリーダーとしての厳しい分析と評価については、日本人および日本社会全体への大いなる警鐘にも思える。

われわれ自身が、ただ劇を見るように観客としているだけでは駄目であり、自ら能動的に行動していくことの必要性をあらためて感じさせてくれる。

今求められるリーダーシップとは、超人的なものではなく、まさに半歩前を歩く属人的なものであり、同時にリーダーシップは、先天的なものではなく、後天的なものである。

私のような日常の瑣末なことに日々格闘している平凡なビジネスマンにも勇気を与えてくれる書である。


夏休みの読書:1Q84

2009-08-22 10:05:09 | 読書感想

出張と夏休みと連続したため、本ブログも2週間ほどお休みをいただきました。

今回は久しぶりに読書感想を載せたいと思います。

今年の夏休みは、お陰様で1週間取ることができましたが、休み前から読む本を決め、事前購入しておきました。

それが話題のベストセラー、村上春樹氏の「1Q84(Book1&Book2)」です。確か6月頃でしたか、なかなか書店では手に入らないということで、アマゾンで予約しておき、何週間後に届き、そのまま夏休みまで積み置かれていました。

私自身、村上氏の著作を手にするのは初めてでした。また、今回の著作については、すごい人気という風潮につられて、中身など事前の知識は全くないままに購入したというものです。

休み初日の前夜からスタートしたのですが、それからというもの、約1000ページにおよぶ全2巻を必死に追いかけることとなりました。

確かに、一度読み始めると、次はどうなるのかという好奇心から、寝ることを惜しんで読み進めてしまう。実家への行き帰りの電車の中はもちろんのこと、まだ夜の明ける前から目が覚めると、早朝散歩前の一読とか、寸暇を惜しんでページを手繰る。

こういう読み方を強いられる著作には、久しぶりに出会いました。一度手にしたら、止められない。売れる理由が分かった気がしました。

とはいうものの私自身の読後感はというと、必ずしもスッキリしたものではなく、読み進めるにしたがってなにか心に重いものが圧し掛かるような気分になりました。暗いモヤモヤ感というべきでしょうか、ある種の不安感というものでしょうか。

心身のリフレッシュを期した夏休みの読書対象としては、不適だったと思います。

また、村上氏の文章は、どうも私好みではないようです。確かに流麗かつ華麗な表現ではなりますが、ちょっと味の濃すぎる食事のような感じでしょうか。歳のせいか、最近あっさり系になじんできたようです。

さらに、Book2で完結かと思いきや、まだまだ先があるようで、これもスッキリ感が得られなかった一因かもしれませんが。

でも、Book3が出れば、きっと買って読むことだろうと思っております。

あまり読書感想になりませんでしたが、まあ一度読んでみられたらいかがでしょうか。おもしろいですよ。


グリーン革命

2009-04-18 18:40:19 | 読書感想

グリーン革命(上) グリーン革命(上)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2009-03-20

グリーン革命(下) グリーン革命(下)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2009-03-20

世界的なベストセラーとなった「レクサスとオリーブの木」で有名な米国人のトーマス・フリードマン著の「グリーン革命(上・下)-温暖化、フラット化、人口過密化する世界」を読んでいる。

その中では、日本のグリーン・テクノロジーが世界をリードする日が近いと予言されている。日本は地球上でもっともエネルギー効率の高い先進国であり、エネルギー価格高騰の時代でも繁栄できる備えができていると高く評価している。

果たして、本当だろうか?本音だろうか?

米国人である著者は、日本を持ち上げて、米国人への警告としているのではないか。

折しも、オバマ新大統領は、「グリーン・ニューディール政策」を高々と掲げ、環境規制や省エネ基準を強化し、日本を追いかけようとしている。

目標ビジョンが明確な時の米国は強い。新しいことへの挑戦スピリットやベンチャー精神は、世界一であろう。この活力は残念ながら日本に最も欠けるところである。

一方、21世紀のもう一つの大国である中国も、米国に負けず劣らずアグレッシブである。中国もとにかく方向性さえ決まれば、すべてが早い。

1970年代のオイルショック後、環境分野では先頭を走り続けてきた日本も、うかうかしているとこの数年で米国や中国に追い抜かれるのではないか。いつの間にか、省エネ・新エネで米国や中国の後塵を拝してしまうのではないか。

そんな危機感すら感じさせる本です。

日本の有識者の中では、今の経済不況に警鐘を鳴らす人は多数いるものの、地球温暖化や省エネ分野でのリーダーシップを取ろうという覚悟を持った人の発言が少ないのが気になるところでもある。

高い理念と明確な将来ビジョン。そして、それに向かう国民的な高揚感。すべてが中途半端なような気がしているのは、私だけでしょうか。