理念論(5):志と野心の違い
志と野心は、似て非なるものである。
どちらも、到達が容易ではない高い目標であることにおいて、共通点があるかもしれないが。
野心は、私心または私欲につながる。つまり、自分のためだけに抱く大望である。仲間や社員のことは、その野心を達成するための道具に過ぎない。
志は、まったくその対極にある高み。高さにおいては、野心と変わらないかもしれないが、その立ち位置はまったく違う。
志の先には、「私」はなく、常に仲間や社員の存在がある。
では、一人のリーダーたる人間で、まったく野心がなく、純な志だけで仕事をする者が存在するだろうか。
おそらく、どんなに優れたリーダーでも、人である限り、野心や私心と志の間でのさまざまな葛藤があるに違いない。
それを乗り越えるためにも、自らの志を人前で公言し、自らにプレッシャーをかける。そのような創業者の心の葛藤からこそ、真の企業理念が生まれてくるのである。
次回からは、理念論を終了し、実践的起業論における第三のテーマである「営業論」に入りたい。
(次回に続く)
