勤め先のショッピングセンターでは、コロナになってから撤退するお店が相次いでいます。
お客さんが、生活必需品以外、なかなか買わなくなったのかもしれません。
実際、宝石屋さん、時計屋さんなどが真っ先に無くなりました。
でも、コロナ以前に、お米屋さんが撤退してしまっていたんです。
従業員の60代だったSさんは、とてもお話の上手な明るい方で、仕事で暇なときなどよく話し相手になってくれて、また情報の早いかただったので、いろいろ教えてくれて楽しかったのを思い出します。
ショッピングセンターが出来た時から入っていた老舗なので、顔も広かったし、隅から隅まで分かっていたので、私としてもとても頼りにしていました。
顔見知りのお客さんが来ると、「あらぁ!」と明るく出迎えて、上手にお相手が出来て、お客さんを明るくしていました。
とてもSさんのようにはなれませんが、見習うことの多い方でした。
全然飾らない人柄で、ショッピングセンター内のすべての店長、古株の従業員に愛されていました。
お客さんも、Sさんを慕って買いに来る人がほとんどで、まさに「看板娘」でした。
お米屋さんは、私のほうの町に本店があり、そこには社長一家がいて、若旦那が出張して来ていたのです。
たいてい、17時くらいまでSさんが店番をして、その後若旦那が20時までやって店を閉めていました。Sさんが休みの時は、本店から従業員が手伝いに来ていました。
Sさんの人柄と、若旦那の人脈があれば、店を閉める必要などなかったと私は思っているのですけど・・・
もう、時効だから言いますけど、若旦那が不倫で商売に身が入らなくなってしまったんです。
相手の女性も隣の店舗の既婚女性で、商売そっちのけでずっと二人で話をしており、八百屋さんから注意されても、事務局から注意を受けてもやめないので、結局、女性はクビ、お米屋さんも撤退せざるを得なくなったんです。
最後はSさんも状況は解っていましたけどね、私はSさんにお茶屋に来てもらいたかったので、誘ったのですが、Sさん、もう年金をもらう年まで働いたのだから、あとは好きなことをして暮らすんだと言ってさばさばと辞めていきました。
うちの部長もSさんに来てもらいたかったようで、ひどく残念がっていました。
若旦那は、Sさんに、
「もう、コメの時代じゃない」
と言って、店を閉めたとか。
私はその言葉で、すごくモヤモヤしたのを覚えています。
お米屋さんが、コメの時代じゃないなんて、言ってほしくない。
むしろ、それならまた、コメの時代を作るべきだったんじゃないかと。
確かに売り上げは落ちていたみたいですけど、お米を買う人が少なくなってただけでしょうか。
お米屋さんが、お米を売る努力をしなくてどうするのでしょう。
我が家は米農家です。
お米を食べる人が少なくなってきたのは敏感にわかってはいます。
でも、日本人がご飯を選ばなくなってしまうことが、本当に自然なことでしょうか。
他に、お米を排除するような風潮はないでしょうか。
例えば、炭水化物抜きダイエットなどの悪役にされていたり。
食べるものの種類はたくさんありますが、お米を見直してほしいなと思うんです。
日本人の文化とお米って、切り離せないと思うんです。
また、日本人の身体に合った食べ物ではないですか、お米って。
それに、田んぼがどんどん使われなくなり、休耕田が増えれば、雑草が生い茂り、治水の面でもマイナスです。
様々なところに影響が出てくるのが、お米の問題です。
それほど、日本の生活に深くかかわっていますよね。
お米屋さんだけの問題では無いんです。
その後、Sさんはどうしたかというと、同年代のお茶屋のスタッフAさんや、仲良くしていた別の店舗のパートさんと3人で、よくお食事したりして楽しくやっています。
ウォーキングや花の世話、孫の面倒、旦那さんのお食事作りと、とても忙しい毎日だと言っていました。
いつまでもお元気でいてください。