埼玉県深谷市にある
吉祥寺の住職のブログ
イチョウの下のよもやま話
ヤマアラシのジレンマ(その2)
平成5年の 年頭のご挨拶の続きです。
昨年十二月から 天気予報で有名になったパスカルは
「人間は 一茎の葦にすぎない。
自然の中で 最も弱いものである。
だが、それは 考える葦である。」
と言っています。
肉体的に ヤマアラシよりもっと弱い人間は、
一生懸命 知恵を出して
農耕や牧畜を始めました。
これは 一人では できないことです。
つまり、チームワークを武器にしました。
人間を『社会的動物』というゆえんです。
この武器によって、
人間は 地球上を支配し、
宇宙へも その行動半径を広げつつあります。
社会性を武器とした人間は、
本能的に孤独になることを恐れ、
他者に近寄ります。
そして 傷つきます。
対人関係のもつれによって 会社や学校を辞めたり、
病気になったり、
犯罪さえ 起こります。
対人関係によるフラストレーションやストレスは、
現代社会がかかえる問題の すべてに当て嵌まる
根本的要因なのではないでしょうか。
孤独を恐れ、社会のしがらみに傷を負う、
まさに『ヤマアラシのジレンマ』です。
この悩みを解決するには どうしたらよいか?
簡単です。
他人を他人として認め、
自分と他人の距離を 適当に保っていればいいのです。
あたりまえのことですが、
人は 生れた時も 死ぬ時も 一人なのです。
仏教では、
これを明らかに認識し、
納得しなさいと教えます。
死して後は
必ず仏様の世界に行けるのだから、
それまでの間、
この娑婆世界で 一生懸命 善業を積みなさい
というのです。
また、自分をめぐる人々に対して、
それがどんなに好きな相手でも、
親でも 子でも 親友でも 恋人でも、
ぴったりと一体になることは できないのです。
顔かたち・考え方はもちろん、
性別、年令、仕事、趣味、
各々の立場 等々
何一つ 同じものは ないのです。
これを明らかに認識し、
納得しなさい と教えてくれています。
続きは次回に!
今日はここまで!
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