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法話 悲しみを乗り越えて その2






昔、インドのお話です。

没落した旧家の商人の家に 
ゴータミーという 貧しい家の痩せた娘が嫁いで来ました。

ゴータミーは働き者で、
彼女の努力のお陰で 商家はだんだんに盛り返し、
やがて以前にも増して 繁栄するようになりました。

すると、商家の主人は、
家柄の良くないゴータミーを 何かと疎んじ、
下女のような扱いをするようになりました。

ゴータミーは 自分の苦労が報われないことに悩みました。



しかし、数年後、彼女に男の子が生れると、
後継者誕生という事で、
ようやく 名実ともに 
老舗の大店の女将さんとして認められるようになりました。

ゴータミーは幸せでした。

ところがある日、突然 男の子は死んでしまいます。






彼女は 悲しみのあまり 気が狂い、
死んだわが子を抱いて 
「この子を生き返らせる薬をください」と、
鬼のような形相で町中を徘徊しました。

町の人々は 

「死んだ子を生き返らせる薬など あろうはずがないじゃないか」

「ゴータミーは 子供が死んで、
 また下女になるのが嫌で 芝居をしているのだろう」

と 嘲笑します。



しかし、子を亡くした親の悲しみ、ゴータミーの辛さは
今の皆さんには 痛いほどおわかりになるでしょう。

「哀れなゴータミー、
 私がその子を生き返らせる薬を作ってあげよう」

お釈迦様が 彼女を呼び止めました。





                     続きます


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法話 悲しみを乗り越えて その1

これも お子さんを亡くされた方への法話です。

以前に書いた「法話 お子さんのご冥福を祈って」と似ています。

似ているどころか、切なさは全く同じです。






ただ今は、〇〇ちゃんのご冥福をお祈りして、
ご両親さまに代わりまして、
読経のご回向をさせていただきました。

その無邪気な笑顔、愛くるしいしぐさ、
〇〇ちゃんに出会った皆さんは 
その時 どんなに優しい心になれたか。

本当に短すぎる時間でしたが、
〇〇ちゃんは わたしたちに、温かさとか、爽やかさとか、
そういった計り知れないものを残してくれたような気がしてなりません。

そだけに、本当に残念です。





アルゼンチンのある地方のお葬式は、
いろいろな楽器を鳴らして にぎやかに執り行うのだそうです。

そして、子供が亡くなった時、
親は絶対に涙を流してはいけないという決まりがあるのだそうです。

それは何故か?

天使になって天国へ行く子の羽が 親の涙で濡れて、
飛べなくなってしまっては困るから。

にぎやかなお葬式の行列の中、
父と母は 子供が無事に天国へ行けるように祈りながら、
じっと涙をこらえているのだそうです。

悲しみは ただひたすら こらえる歩かに無い、
それがわかってはじめて 悲しみを乗り越える事ができるのです。






                     続きます。


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八つの煩悩 その4

以上、八つの煩悩は、
人がこの世に生れたときから持っている
心の中の3つのウイルスによって起こる病気だ、
と 仏教は考えました。

いわゆる、≪三毒≫です。






まず、貪り・欲求不満の ≪貪(とん)≫ というウイルス。

「あれが欲しい」「これがしたい」という心の作用。



次に、怒り、のぼせの ≪瞋(じん)≫ というウイルス。

「頭にきちゃう」という心の作用。



最後に、愚かさ・不条理の ≪癡(ち)≫ というウイルス。

道理が解らない、解ろうとしない心。






これら三つのウイルスが 
ムクムクと心の表面に噴き出してくると、
八つのうちの どれかの煩悩が生れるのです。






ですから、逆に 自分が今 悩み苦しんでいるのは
四苦八苦の中の どの煩悩なのかを 冷静に見極め、
その原因となっているのは どのウイルスなのかを
はっきり認識して、
それを押さえ込む治療を施せば良いのです。



心の苦しみは いくら説明しても
他人にはわかりません。

ご自身が医師となり、
仏教という薬を使って、
大切なご自身の心の健康を保って下さい。






今日は、ここまで!


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八つの煩悩 その3

第五は、愛する人と別れなければならない事、 ≪愛別離苦≫。

皆さんは 百日前に 故人と死別したわけです。

また、もしかしたら、
皆さんの人生で 
今 お隣に坐っている人とは
二度と会えないかもしれません。

生き別れるにしろ 死別にしろ、
人には 必ず別れの時が来ます。

縁は 大切にしたいものです。






第六は、嫌いな人とも会わなければならない。
嫌なこともしなければならない事、 ≪怨憎会苦≫。

この時代、この社会で生きていく以上、
自分以外の人の個性を認め、
良きも悪しきも すべての物事は 
どこかで自分とつながっていて 助けになっているのだ
という優しい気持ち、
覚醒した心を持たなければ、
大切な人生を 阿修羅として送らなければならなくなってしまいます。





第七は、欲しい物が手に入らないこと、 ≪求不得苦≫。

ショーウィンドーの中のダイヤモンド、
有名国立大学の合格通知、
愛しい人の愛情、
永遠の命、

なかなか 自分のものにはなりません。

そして、百万儲けたら二百万儲けたくなる、
課長になれば部長になりたくなる、

よい意味でのハングリー精神とは紙一重なのかもしれませんが、
欲が先に立つ事の方が はるかに多い。

少欲知足は なかなか難しい事です。





第八は、自分の心と身体の欲求が強くて
いつも満たされない事、 ≪五蘊盛苦(ごうんじょうく)≫。

様々な悩みや苦しみなどから、
例えば 仕事に打ち込む事によって、
趣味に没頭する事によって、
宗教に助けを求めて
逃れようとしても、
そううまくは いきません。

どんな事態の中でも 冷静で客観的な目を持ち、
平常心で対処するためには
相当に強い精神力が必要になるでしょう。



                     続きます


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