あっという間に師走
岩合さんの日本猫カレンダーの暦も最後の一枚になった。
津軽には七つの雪が降ると、雪上を歩いたら冷たい肉球を舐めて温めます
(カレンダー)より・・・弘前市
さん津軽に降る七つの雪って知っている?
粉雪 淡雪 みぞれ雪 ???
ネットで調べてみた。
あおもりゆきだより２０２２ 第３号 今号の話題②
津軽の七つの雪
１ はじめに
「津軽の七つの雪ってどんな雪ですか？」
青森地方気象台には、冬になるとこんな問い合わせがあります。今回は「津軽の七つの雪」
について、内容とその経緯を紹介します。
２ 「七つの雪」
太宰治の小説「津軽」の冒頭には「津軽の雪 こな雪 つぶ雪 わた雪 みず雪 かた雪
ざらめ雪 こほり雪」と書かれています。また、新沼謙治の「津軽恋女」の歌詞としても使
われています。ところが、小説「津軽」の中では、それぞれの雪がどのような雪なのかは一
切説明されません。説明が無いことが気象台への問い合わせとなっているようです。
小説「津軽」では、七つの雪の名前を並べた後に「東奥年鑑より」と出典が示されていま
す。「東奥年鑑」は、青森県の１年の出来事をまとめた総合年鑑で、昭和 3 年以降、青森県
内の新聞社の東奥日報社から刊行されています。1941 年（昭和 16 年）の「東奥年鑑」に
は、「気象」の頁があり、気象の常識として「雪ノ種類」、「風ノ種類」、「地震ノ種類」が掲
載されています。この「雪ノ種類」が、太宰治の引用した東奥年鑑の七つの雪となります。
東奥年鑑 1941 年（昭和 16 年）より
雪ノ種類
「積雪ノ種類ノ名称」
こなゆき 湿気ノ少ナイ軽イ雪デ息ヲ吹キカケルト粒子ガ容易ニ飛散スル
つぶゆき 粒状ノ雪（霰ヲ含ム）ノ積モツタモノ
わたゆき 根雪初頭及ビ最盛期ノ表層ニ最モ普通ニ見ラレル綿状ノ積雪デ余リ硬
クナイモノ
みづゆき 水分ノ多イ雪ガ積ツタモノ又ハ日射暖気ノ為積雪ガ水分ヲ多ク含ム様
ニナツタモノ
かたゆき 積雪ガ種々ノ原因ノ下ニ硬クナツタモノデ根雪最盛期以後下層ニ普通
ニ見ラレルモノ
ざらめゆき 雪粒子ガ再結晶ヲ繰返シ肉眼デ認メラレル程度ニナツタモノ
こほりゆき みずゆき、ざらめゆきガ氷結シテ硬クナリ氷ニ近イ状態ニナツタモノ
「降雪ノ種類ノ名称」
こなゆき つぶゆき わたゆき みづゆき
この説明があれば、七つの雪がどのような雪かおおよそ理解できます。七つの雪とは降り
あおもりゆきだより２０２２ 第３号 今号の話題②
積もった雪（積雪）の状態を指し、降る雪ではないことが分かります。
なお、昭和 16 年の東奥年鑑は、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧することが
できます。（URL : https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1070948/56）
３ いつ、誰が決めたのか
「東奥年鑑」に記述されている七つの雪は、昭和 15 年頃に東北地方の気象台・測候所が
協議して定めたものです。以下では、昭和 15 年前後の雪の種類を決めたときの経緯を紹介
します。
① 積雪地方農村経済調査所による「雪の種類」
山形県出身の国会議員松岡俊三代議士が、「雪害」の克服のために雪に関する調査機関を
設置することを提唱しました。その結果、昭和８年に農林省の「積雪地方農村経済調査所」
（「雪調」）が山形県新庄市に開設されます。そして「雪調」では昭和８年から積雪地方の道
府県に積雪の調査を委託し、雪に関する科学的な調査が本格的に開始しました（新庄市ホー
ムページ「雪の里情報館」）。青森県でも、昭和９年に青森測候所で「風雪・雪質調査」を行
うことが計画されるなど、雪に関する調査が始まりました（昭和 9 年版東奥年鑑）。
「雪調」は昭和 12 年 12 月に「積雪の分類及名称」の暫定案を決定します。このときに
決められた雪の種類は、6 種類（小分類は 16 種類）（表１）で「津軽の七つの雪」とは異な
るものでした。また、昭和 13 年 1 月には、「雪調」から青森測候所宛てに、「積雪の分類及
名称」の資料（写真１及び図１）が送付されています。
結果 津軽の七つの雪とは
積もった雪（積雪）の状態を指し、降る雪ではない
ということが分かった。
勉強になったわぁー。
