伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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私の終わらざる夏

2015-08-12 11:38:54 | 樺太
 終戦は三歳だったが


   旧ソ連兵から逃れて野宿した時のこと


   をまだ鮮明に憶えている・・・・


   三歳にして命におびえた日々だった。



    寡黙な父が兄が自衛隊に入りたい・・・


    と言った時烈火の如く怒った


    小学生の私は恐くて震えた・・・・。



 「どんな思いで家族が樺太から命からがら逃げてきたか

  忘れたのか・・・戦争が始まったら一番先に死ぬのが

  自衛隊なんだ・・・・」


  それっきり父は樺太での辛かったことは一つも語らず



    数々の思いを抱いたまま


    76歳で多難な人生を終えた。




  ことあるたびに


   引き揚げの時にお金を隠して持ってくれば

   良かった・・・あれもこれも持ってくれば良かったと


   愚痴っていた母も86歳で倒れ寝たっきりになり


   第二の故郷である大滝の病院でこれまた93歳で多難な人生を

   終えた。




   兄たち三人も70代の若さで次々と旅立ってしまった。




   樺太の地で恐怖におののき過した日々のことは


     決して忘れていない


     夏が来るたびによみがえり


     私の中では風化することはないのだ・・・・。



 

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