作詞家のなかにし礼さんがお亡くなりになった。先日、中村泰士さんの訃報を耳にして日を置かずしての悲報である。少し前は筒美京平さんを亡くして昭和平成時代を彩ったこれら3人を同時に失った歌謡曲界は大きな穴がぽっかりできたのではないだろうか。なかにし礼さんは82歳、中村泰士さんは81歳、筒美京平さんが80歳といずれも似たような年齢での死去だが共通点はお生まれが昭和12年から15年で太平洋戦争突入直前の異様な日本社会時代である。なかにし礼さんの代表曲は「石狩挽歌」だ。ニシン漁は御殿が出来るほどのぼろ儲けが出来たがそれが今はすっかり過去のものとなりあの頃が懐かしいというものだ。細川たかしさんが歌った「北酒場」は大阪キタ新地の模様を歌ったもので中村泰士さんの作曲でカラオケでよく歌われたヒット曲だ。
なかにし礼さんの長男中西康男氏は「最期まで恰好よく色気を失わずよい男でした」と感想を述べておられる。色気があったからこそ数々の名曲が生まれたわけだしその色気をもっと活用してもう少し活躍して欲しかった。3人の方々は80歳前半で欲を言うならば少し早死にと言えないか。それだけ過去の激務があったのではと思えて仕方がない。いずれも逸材でもうこのような作詞家作曲家は生まれそうにない。偉大な昭和時代がますます遠のいてゆく思いがする。