以前にも書きましたが、バフムトを制圧した後くらいからロシア軍の作戦に変化が見られます。それまでロシア軍の特徴であった支離滅裂な軍事行動が減りました。
ロシア軍全体としての整合性が見え始めました。
ワグネルが反乱して完全にウクライナ戦線から排除されロシア軍は、やっと普通の軍隊になりました。ワグネルがいた時期は、ロシア軍の中に二つ軍隊がある状態で互いに足を引っ張り合っていました。ワグネルと言う民間軍事組織に権力を認めたプーチン氏の失敗と言えます。
しかしワグネル排除後は、ロシア政府は以前より強固になったように見えます。内部で権力闘争を行うプリゴジン氏が排除された結果だと思います。
ロシア軍にしても同じで、やっとロシア軍として一体的な行動を取れるようになりました。
そしてそれを機にロシア政府は、戦争計画を変更したと思います。短期の戦争から長期の戦争に切り替えたと思います。同時に推測ですが、若手から有能な将軍を見つけて参謀本部に昇格させたのではないか・と思います。
バフムトの攻防戦以降のロシア軍の作戦には、意図が感じられます。
スロビキン将軍が策定した「南部は守り東部で攻める。」
この大前提は、今も同じです。
そこにもっと小さな範囲での作戦計画が具体的に立てられているように見えます。
今年の後半でロシア軍が攻勢に出る戦域は、ほぼ決まっています。
①ハルキウ州クピャンスクКуп'янськ方面
②ドネツク州リマンЛиман方面
③ドネツク州バフムト方面
④ドネツク州アウディイウカАвдіївка方面
ほぼ同じ戦域で攻撃を繰り返しています。
全体的な作戦計画を立てて、細かな戦術を決めている気配があります。
10月から損害を無視して猛攻を継続しているのが、④のドネツク州アウディイウカАвдіївка方面です。どれほど損害が出ようと攻撃を止める気配はありません。
つまりロシア軍は、アウディイウカАвдіївкаでバフムト方式の攻撃を行っています。バフムトの攻防でワグネルとロシア軍の出した損害は甚大です。しかし攻め切ってバフムトのほぼ全域を制圧しました。それは今後のロシア軍の全体計画に大きく寄与すると思います。
ロシア軍の冬の作戦計画で予想されるコンスタンチノフカКостянтинівка攻略の起点になります。
もう一つの起点が、アウディイウカАвдіївкаです。
二ルートからのコンスタンチノフカКостянтинівкаへの進撃を想定しているから、アウディイウカАвдіївкаはロシア軍にとって何が何でも攻め落とす必要があります。
アウディイウカАвдіївкаの攻略に関しては、今年の3月ごろから取り掛かっています。秋にはアウディイウカАвдіївкаを包囲する態勢を作り上げました。現在は三方向で包囲する態勢から全面攻撃が始まっていると思います。
ロシア軍、東部アウディーウカを「全方向から」攻撃 町長
2023年11月24日 20:51 発信地:キーウ/ウクライナ [ ウクライナ ロシア ロシア・CIS ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3493014?pid=26283059
ロシア、ウクライナ東部要衝に「人海戦術」 損失顧みず次々兵士投入
2023年11月24日 16:52 発信地:アウディーウカ近郊/ウクライナ [ ウクライナ ロシア ロシア・CIS ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3492952?cx_part=related_yahoo
この秋3回目の大規模攻撃が、既に始まったようです。もう市街地の南側はロシア軍が突破しています。あとはバフムト方式の人海戦術を用いて市街戦を勝ち抜くつもりだと思います。
町長が「全方向から」攻撃されていると発言したのは、それを現わしていると思います。
アウディイウカАвдіївкаでは最後の決戦が始まっていると個人的には思います。
この間、ウクライナ政府も西側もロシア軍の甚大な損害をあざ笑っていました。やがて撤退すると考えていたからだと思います。しかし、ロシア軍は撤退せず総攻撃を開始したようです。
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2023年11月20日 1:31
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