「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

シリア革命で、見えてくること(イランの弱体化が中東の平和に繋がる)<2025・01・27

2025-01-27 15:52:09 | アフリカと中東

シリア革命後、新政府は様々な苦労があるようです。まず第一に旧シリア政府の金庫がカラッポでした。旧シリア政府は欧米から制裁を受けています。
幸いにして内戦が再燃することは、今の所回避されています。内戦が再開されれば、もうシリアは国として存在しなくなるでしょうね。その危機感が各勢力の摩擦の激化を抑えていると言えます。
そして、やっと取り戻した平和を失いたいシリア人は、居ないと思います。

革命の指導者のアル・シャラア氏は、元はアルカイダの所属でありイスラム原理主義的思想を持っていると思います。しかしイスラム色を強く出せば、欧米の支援は受けられません。世俗路線を取るのでは、ないかと思います。その後、ニュースが少なく現状は良く分かりません。湾岸諸国と相談しているようです。取り敢えずの資金は湾岸諸国が提供しないと新政府が運営できないと思います。

(2)シリア革命の結果、劇的な変化が起きました。
イランの勢力が、シリアから排除されました。
旧アサド政権が最後に頼ったのがイランです。ほぼイランの傀儡国家化していました。これを好機にイランは、イラン~イラク~レバノン=ヒズボラの陸の回廊を作ることに成功しました。
ガザ紛争からレバノン紛争の過程でイスラエルは、イラン勢力を叩きまくりました。これがシリア革命を陰から援助しました。
シャーム機構がダマスカス制圧後も、イスラエルの徹底的な空爆がシリア政府軍を襲いました。多分、旧政権下にいたアラブ過激派民兵組織も相当叩きまくっているでしょうね。これが一番危ない組織です。
その後、イスラエル軍はゴラン高原で停戦ラインを超えて少しシリア領に入って監視しています。監視対象は旧政府軍の残党とアラブ過激派民兵組織です。これは種々雑多でかなり数があります。

流れを見ると4回の中東戦争後、アラブ諸国はイスラエルに敵対するのを止めてイスラエルに折り合いました。
折り合わず徹底的にイスラエルと対立したのが旧アサド政権です。国力のあったときはレバノンに内政干渉してレバノンを傀儡化しました。その後、イスラエルとの戦争に敗北します。この後、レバノンは内戦状態に陥り長く続きます。
この過程でレバノンに浸透してきたのが、イランです。

イランは、革命後の憲法に「イスラエル撲滅」を書き込んでします。そのためイランは、イスラエル撲滅を国是としています。イランの支援を受けて勢力を拡大したのが、ヒズボラです。
ヒズボラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%BA%E3%83%9C%E3%83%A9

最近ではヒズボラが強力になりレバノン政府の中にヒズボラ政府があるような状態でした。
こうなったのは、イラン・イラク・レバノンの陸の回廊が完成し、イランのヒズボラ支援が容易になったからです。
当然、陰に隠れてハマスも支援しているでしょう。

結局、見てくるとシリア弱体化後はイランが中東地域の平和を乱して混乱状態を作ってきたと言えます。
こうして2023年のガザ紛争後、周辺の紛争も激化しレバノン紛争まで起きました。ヒズボラはイスラエル軍に徹底的に叩かれました。ついでにイスラエルはシリアの反イスラエル組織や政府軍も徹底的に空爆しています。
ヒズボラとイスラエルの停戦後、シリアの反政府勢力は一斉に攻撃を開始して政府軍は崩壊しました。

こうしてイスラエルに対して闘争を挑み2023年からこの地域に戦争をもたらした各勢力は徹底的にイスラエルが弱体化しました。当然、レバノンからイランの勢力は大方追放され、ヒズボラも弱体化してイスラエルと戦うどころではなくなりました。イランはレバノンへの陸の回廊を失いました。仮にレバノンのヒズボラを支援するにしても、今度は地中海経由になります。海上にはアメリカ海軍が「バッチリ!」監視の目を光らせています。

結局、中東に不安定をもたらしていたのは、イランです。イランの策動の余地はイスラエルが排除しました。イスラエルも相当、国力を消耗しましたが、何とかやり遂げました。
今度は、アメリカの大統領は「イラン大嫌い!」のトランプ氏です。イランが何事か策動すれば、容赦はしないでしょう。
弱体化したイランは、当分アメリカには逆らえないと思います。
イラン諸勢力対イスラエルの戦いは、終わってみればイスラエルの圧勝でした。

そしてシリアも蔓延っていた外国勢力が、大体いなくなりました。
後は、まだISが残っていますが、各勢力が新政府に参加して統一を保てれば、ISは封じ込めると思います。
トルコもクルド人問題は残りますが、新政府を支援すると思います。トルコは平和になればトルコにいるシリア難民の帰還事業に取り掛かりたいでしょう。今360万人~370万人いるそうです。これだけの大人数を抱え込んでいるのですからアラブ(イスラム)の同胞意識の強さには、感心します。

イランも憲法にイスラエル撲滅を書き込むようでは流石にやりすぎだと思います。イランはアラブではありません。おまけに宗派はシーア派です。だからイランがアラブ諸国の支持を集めることは、ないでしょうね。むしろアラブ諸国からは異民族であり宗派の違いから警戒され嫌われているだろうと思います。
イランは、中東への関与は止めるべきだと思います。
何というのか、日本人には理解不能な中東情勢では、あります。

※関連日記目次
項目「アフリカと中東」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/8e2281cde3859a8659b62d9f1680c9d2



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