「北の山・じろう」日記

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シリアの反政府勢力は、なぜ活動を活発化したのか❓<2024・12・07

2025-01-12 01:06:35 | アフリカと中東

中東情勢は、日本のメデイアを見てもほとんど分かりません。
大中小の様々な勢力が入り乱れ、離合集散を繰り返すので外から見ても、分からないと思います。
西アジアから中東やアフリカは、部族社会が残っています。ここに宗教と民族が絡んでくるので、特に縁が薄い日本から見ると複雑怪奇に見えてしまいます。

例えばアメリカ軍撤退時と撤退後のアフガンでは、短期間でアメリカの傀儡政権が弱体化し崩壊して、タリバンがアフガン全土を掌握しました。ここには部族社会が大きく関係していると思います。政府軍からタリバンに寝返るのは、部族のリーダーから命令が出ていると思います。だからある部族がタリバン支持を決めると、その部族の多くがまとめて親タリバンになってしまうのだろうと思います。タリバン優勢と見るやドミノ式にそれが起きて、オセロゲームのように石がひっくり返るという事情では、ないかと思います。

シリアの例を見ても、やはり出てくるのがまず民族です。
(1)クルド人は、クルド人グループを形成しました。ここはアサド政権から迫害されていたと思います。比較的すんなりとまとまりました。
(2)一番過激にシリア政府と戦ったのが、現在進撃中のシリア北西部を根拠地とする「タハリール・アル=シャーム」です。
以前はアルカイダと深い関係がありましたが、今はアルカイダではないと主張しています。しかしイスラム原理主義的主張は同じだろうと思います。どれだけ本当か・と言ったところです。
(3)隣国のトルコと親しいグループもいます。どこかの国から支援を受けないと勢力を維持することは不可能ですから、国境を接する地域にいる部族は、トルコを頼ったのだろうと思います。トルコもこのグループを支援するのには、大きなメリットがあります。
今もかなりトルコ・シリアの国境付近にはクルド人勢力が残ります。
トルコとクルドは不倶戴天の敵ですから、トルコとしてはクルド人を国境近くから遠ざけたかったのです。
そんな事情で以前クルド人の居住区だった国境付近は、かなり親トルコ系反政府組織の支配地になっています。
トルコには、もう一つの目的がありトルコ国内にいるシリア難民の受け入れは限界です。
だからトルコ国内のシリア難民の帰還先の土地を確保したいという、大きな理由があります。
(4)アサド政府軍
元々は、首都ダマスカス方面が根拠地なのだろうと思います。多分、一番大きな勢力を持っていたのでシリア全土を傘下に収めて独裁政治を始めたのだろうと思います。シリアが政府として出てくるのが、フランスの植民地から独立した1946年です。
フランスの植民地になる前は、オスマン・トルコ帝国の領土です。
1963年、バース党が軍事クーデターで政権を掌握し、これ以降かなり酷い独裁政治が始まり、現在も続いています。
このような経緯があり、フランスの植民地がそのまま独立したのであり、元々シリアと言うエリアが一つの国である意識が希薄だと思います。

ウイキペデイアの「シリア」の記述が詳しく書いてありますが、読んでも良く分かりません。
分かるのは、シリア政府はシーア派の部族です。ところが、これはシリアでは10%程度の少数派です。
イスラム教徒のうち90%は、スンニ派であるようです。
10%のシーア派が90%のスンニ派を強権で弾圧支配していた構図が見えてきます。
ちょうどイラクと反対の構成です。
イラクでは、サダム・フセインはスンニ派で、イラクでは多数派の南部シーア派を弾圧支配していた構図があります。
イラクのスンニ派政権は、アメリア軍の軍事侵攻で滅びました。
だから、イラクは今、南部シーア派親イラングループ、南部シーア派民族派グループ、スンニ派グループ、クルド人グループに分かれて大体勢力が均衡しているので折り合いがついて何とか政府が維持されています。

シリアの場合は、イラクよりもっと極端です。10%のシーア派が90%のスンニ派を弾圧するには、相当過酷な弾圧を行ってきたと思います。だから一旦独裁支配が崩れると、90%のスンニ派が政治権力を要求するわけですから、納まりが付かないと言うことのようです。
90%のスンニ派に対し、シリア政府は昔と同じように軍事力を利用して強権支配を復活させようとしているので、ほぼ無理だと言うことです。

そして内戦開始後、いったん危機的に弱体化して政府軍をテコ入れして支えたのが、ロシアとイランです。
ところが、ロシアはウクライナ紛争を抱えて以前のようにシリアを軍事的に支援する余力はないと思います。
イランにしてもイスラエルとの戦争に備えなければなりません、レバノンのイランの別動隊のヒズボラもイスラエルとの戦争で大きく戦力を失いました。
と言うわけでアサド政府軍は、ほぼ単独で反政府勢力と戦わなければならない事情があります。
そのアサド政府軍も、しばしばイスラエルに空爆されて弱体化しています。

それを見てヒスボラとイスラエルの停戦が成立したので、「アル=シャーム」が政府軍に攻撃を仕掛けたというのが、今の状況のようです。
しかも、「アル=シャーム」だけでなく親トルコ系反政府勢力とクルド人グループ、それに加えて西南部のダルアー県でも「自由シリア軍」に属するグループが行動を開始したようです。
(CNN>「シリア南部で新たに反体制派蜂起、北部攻勢から遠く離れた地域」)
クルド人グループ 東部の都市デリゾールを制圧
(ロイター>「シリア反政府勢力、4都市目制圧 ホムスにも迫る」)

つまり今回、軍事行動を起こしたのは「アル=シャーム」だけではなく、他の反政府武装組織が、示し合わせて同時に政府軍の攻撃を開始したような気配が見えます。

※関連記事
CNN 2024・12・06
『シリアの反体制派リーダー、目標はアサド政権の「打倒」 CNN独占インタビュー』
これは、「アル=シャーム」のリーダーのジャウニ氏です。
要は、外国軍は出て行ってシリアのことはシリア人に任せて欲しいと言うことです。

Forbes
2024/12/04
『シリア情勢の裏側で蠢く思惑 ロシアの弱体化とトルコの暗躍が中東勢力図を塗り替える』
https://forbesjapan.com/articles/detail/75567

当然、今回の一連の反政府組織の軍事行動開始には誰かが裏で動いているはずです。
トルコは当然怪しい。支援関係を見るならアメリカも怪しい⇒クルド人。
「アル=シャーム」に武器を提供し、支援している国は❓
ウクライナだけでは全然無理です。誰だ❓


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