航空万能論 2025.01.27
ブダノフ中将、早く交渉を開始しないとウクライナ自体の存在が脅かされる
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/lieutenant-general-budanov-ukraines-very-existence-is-threatened-if-negotiations-do-not-begin-soon/
ウクライナ国内には、二つの政治の流れがあるようです。
徹底抗戦派と停戦派です。
もちろん徹底抗戦派は、キエフ政府です。
一方で停戦論が出てくるときに名前が出てくるのが国防省情報総局・局長のブダノフ中将です。
ウクライナ大統領府で権力を握っているのは、アンドリー・イェルマーク大統領府長官であるらしいことは、以前書きました。
ウクライナの政治模様と二つのウクライナ<2025・01・21
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/fe02976cc78b8a670f67f0475e1da305
そのライバルと目されているのがブダノフ中将です。
背後にいる政治家は、前大統領のペトロ・ポロシェンコやキエフ市長のビタリ・クリチコだろうと思います。どっちも反ゼレンスキーです。
ビタリ・クリチコ
その実働部隊がブダノフ中将だろうと思います。どこを切ってもウクライナでは西ウクライナの過激民族主義者しか出てきません。ウクライナの不幸は、「まともな」政治家がいないことです。国民や国家のために奉仕する政治家がいません。独立後、ずっとそうです。私利私欲や党派抗争をするのが常です。そもそも国家意識すらないのではないか❓と、個人的には思います。
実は、去年の5月にもウクライナで一時停戦論が持ち上がったことがあります。
この時もブダノフ中将は、「ウクライナ軍には予備兵力が枯渇している・・・」などと戦争継続が不利である趣旨の発言をしていました。
その後、8月にウクライナ軍はクルスク侵攻作戦を発動し、1か月は占領地を拡大して成功しました。
これによりゼレンスキーの支持率は回復し、躍り上がって喜んだウクライナ人からは停戦論など消え去りました。
この意味でクルスク侵攻作戦は、政治的意味の濃い作戦であると思われます。反対の言い方をすると軍事的合理性に欠けると言うことです。
クルスク侵攻作戦の負の影響は大きく、ドネツク州ではウクライナは敗勢です。他の戦場でもジリジリと領土を削られています。これは誰にでも分かります。
航空万能論が引用するウクライナの軍事サイトのDEEP STATEの情報は、敵味方問わず公開されています。ウクライナ国内でも、この情報をもとに戦況判断されています。国防省の発表は、誰も信頼していないでしょう。
そう言った意味もあって「最高議会の派閥指導者らが本当の戦況を把握するため軍司令部の指導者を招いた非公開の会合を開催した」と言うのが、ウクライナの新聞のUkrainska Pravdaが報道した内容です。
記事には、多少「尾ひれ」が付いているようです。
あるいは、会議に参加した誰かがリークしたのかもしれません。
最高議会のオレクシー・ホンチャレンコ議員のコメント
「ブダノフ中将はウクライナ自体の存在が脅かされるとは言わなかった。彼は何も変わらなければ戦線が崩壊して問題が起きるかもしれないと言った」
これは表向きの話で、実際には相当突っ込んだ意見を述べていると思います。
それ以前の話としてキエフ政府には、トランプ政権から非常に厳しい要求が届いています。
2025.01.13
トランプ次期政権も動員年齢引き下げを要求、ウクライナも全力を尽くせ
https://grandfleet.info/us-related/trump-administration-also-demands-lowering-of-military-age-ukraine-should-also-do-its-utmost/
安全保障問題担当補佐官に指名されているウォルツ下院議員
『13日「重要なのは戦場の安定化だ。我々がウクライナに求めるものの一つが兵力で、彼らは18歳からではなく26歳(実際は25歳でウォルツ議員の誤認)から徴兵している。ウクライナが民主主義のため全力を尽くせと我々に言うなら、ウクライナにも民主主義のため全力を尽くしてもらう必要があり、人的問題が解決されるのを見届ける必要がある」と述べ、ロシアと交渉を始めるには前線の安定化が必要で、そのためには新たな援助や武器パッケージだけでは不十分=兵士の数が重要だと主張した。』
ポイントは、この部分です。
【ロシアと交渉を始めるには前線の安定化が必要】
つまり逆の言い方をすると、前線が安定化しない限りロシアとの交渉を開始しない・とも聞こえます。
そして『ウクライナ人ジャーナリスト、ロマン・ボチカラ氏は「ペンタゴンでウクライナを担当していた人は全員解雇された。完全に再起動だ。必ず変化はあるだろう」』との情報もあります。(Hara blg X投稿)※この情報は根拠を確認していません。ペンタゴンのウクライナ担当の人員の総入れ替えは、当然必要でしょう。戦争を遂行するスタッフから停戦するためのスタッフへの入れ替えです。下院の重要ポストも複数、ウクライナ支援支持議員から支援反対議員に入れ替わりました。
トランプ氏は、マスコミへのリップサービスでロシアに厳しいことを言っているように見えます。実際には即・出来るようなことは発言していません。口先で軽く脅しているだけです。既にバイデンさんが相当厳しい制裁を発動しているので、更に出来ることは限られています。
トランプ氏の口先とは反対にウクライナに対する支持体制は、停戦に移行する体制に変化しています。ウクライナもトランプ政権に対してはロビー活動をしていますから、戦争継続支持は得られないことを知っていると思います。(ロビー活動は失敗しています⇒色好い反応はない)
このままゼレンスキーが主張するように戦争を継続すれば、トランプ政権は「前線の安定化が出来ていない」ことを理由にロシアとの停戦交渉開始を遅らせることは、十分あり得ます。
シカゴ大のジョン・ミアンシャイマー教授の推測では、ウクライナの継戦能力は、6~7か月程度だろうという話です。
『ウクライナの継戦能力について(シカゴ大ジョン・ミアンシャイマー教授)<ウクライナ紛争2025・01・08』
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/f7f1c10bf204015297f9f06378b3f7a1
アメリカ軍(ペンタゴン)内部の冷静な状況判断も似たようなものだろうと思います。
このような事をブダノフ中将は、軍事音痴の議会の派閥幹部に詳細に説明したのであろうと思います。
夏を過ぎて無条件降伏するのか❓
今すぐ停戦交渉を始めて、多少なりとも自分たちの取り分を確保するのか❓
政治的な部分ではロシアは譲歩しないと思いますが、今なら領土的な部分は4州割譲で折り合えるかもしれません。
数か月後にはロシアは4州以上の領土を占領するのではないか・と思います。
ウクライナ取っては事態は、それほど切迫していると言うことです。
一番、いいのはゼレンスキーに因果を含めて大統領を辞任させることでしょうね❓
今すぐ始めるには、これしかないと思います。
(ゼレンスキーが法律で停戦交渉を禁止しています。自分が法律で禁止しておいて、今更自分で停戦交渉に臨むのは無理でしょう❓ゼレンスキーが恐れているのは、ゼレンスキーを外して停戦交渉が行われることです。この部分に対しては異常に猜疑心が強いです。)
※関連日記目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑧
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27