あのときのことはよく覚えています。
すっかり腹ごしらえを済ませた僕と八雲さんが、寄席に戻ったんです。
そうすると、なにやら混んでいる様子。
そうか、そろそろトリだからかしらなんて思いながら、適当な席に着きました。
ところがそうじゃなかったんです。
高座に上がっている人を見てすぐにわかりました。
やっぱり違うもんですね。
プロですよ。
一目見ればすぐにわかる。
プロが上がっていたんです。
きっとOBさんなんでしょうね。
それはもう迫力が違うわけです。
オーラがぜんぜん違う。
普通にお金払って寄席にいる気持ちで見ていました。
ネタが終わって、あの人はどういう人なんだろう思い、隣に座っている八雲さんに訊いてみました。
「え?栗坊?読舎栗坊って、確か一年だよ」
確かに、あのときめくりは「読舎栗坊」になっていたんです。
後で聞くと、プロの人のめくりが用意できなかったため、前にやった「読舎栗坊」のままでネタをやっていたようです。
で、八雲さんは僕がめくりのことを訊いたと思った。
そして、僕は今のプロ並みの人が一年の「読舎栗坊」だと解釈してしまった。
ショックでしたよ。
農工さんとウチでは何とか勝負できるほどの実力差だと思っていましたから。
良きライバルだと。
ところがどっこい、あんなスーパールーキーを抱えていただなんて・・・
プロだと思ったんだ・・・
それが一年だったんだ・・・
しかもこの前普通に話したことがある・・・栗坊だったんだ・・・
正直、ぜんぜん違いましたよ?
顔とか体格とか雰囲気とかまったく違いましたよ?
でもね、高座に上がると感じが変わる人っているじゃないですか。
それで、すべての辻褄を合わせてしまったんです。
だからもう次に高座に上がった二年の八亭乱内さんが「夢金」をやっている中、いろいろと考えてしまいましたよ。
本当にいろいろと考えましたが、とりあえず出た結論だけ言うと「もう落語をやめよう」という。
なんだかすべてが嫌になってしまったんでしょうね。
あんな力の差を見せ付けられたら、そりゃあ嫌になりますよ。
さようなら落語という気持ちの中、次に出てきたのがこの日のトリ。会長の晴亭引退さん。その名のとおりこの日で引退のようです。
そういえば「夢金」の後に何をやるんだろうと思ってみていたら、なにやら「大晦日」だとか「亭主が働かない」だとか「借金」だとか言っている。
ま、まさか・・・「芝浜」か!?
「夢金」からの「芝浜」か!?
これはすごいことになった・・・と思ってまたみていると、何か違う。
亭主がなかなかお金を拾ってこない。
餅がどうの話している。
仕舞いには亭主がおかみさんのおしりを「餅つきだァ!」なんて言いながら叩き始めた!
ちょ・・・おま・・・そんなことしてないではやくお金拾ってこいよ!!
え?
え?
なにそれこわい
で、そのままサゲですよ。
どうやら「芝浜」じゃなくて「尻餅」というネタらしいです。
ばかばかしすぎる!
「夢金」の後のトリで、しかも晴れて引退ってときに「尻餅」をやるなんて、素敵です。
笑いました。
あんな絶望的な心理状態だったのに笑いました。
やっぱり落語っていいものですね。
でも僕は今日で落語を・・・
誤解が解けるのはその数分後のこと。
その後男四人で食べに行ったカツどんが美味しいこと美味しいこと。
これからも落語をやっていく決心が着いた一日でした。
目標:来年は鹿汁食べる。
すっかり腹ごしらえを済ませた僕と八雲さんが、寄席に戻ったんです。
そうすると、なにやら混んでいる様子。
そうか、そろそろトリだからかしらなんて思いながら、適当な席に着きました。
ところがそうじゃなかったんです。
高座に上がっている人を見てすぐにわかりました。
やっぱり違うもんですね。
プロですよ。
一目見ればすぐにわかる。
プロが上がっていたんです。
きっとOBさんなんでしょうね。
それはもう迫力が違うわけです。
オーラがぜんぜん違う。
普通にお金払って寄席にいる気持ちで見ていました。
ネタが終わって、あの人はどういう人なんだろう思い、隣に座っている八雲さんに訊いてみました。
「え?栗坊?読舎栗坊って、確か一年だよ」
確かに、あのときめくりは「読舎栗坊」になっていたんです。
後で聞くと、プロの人のめくりが用意できなかったため、前にやった「読舎栗坊」のままでネタをやっていたようです。
で、八雲さんは僕がめくりのことを訊いたと思った。
そして、僕は今のプロ並みの人が一年の「読舎栗坊」だと解釈してしまった。
ショックでしたよ。
農工さんとウチでは何とか勝負できるほどの実力差だと思っていましたから。
良きライバルだと。
ところがどっこい、あんなスーパールーキーを抱えていただなんて・・・
プロだと思ったんだ・・・
それが一年だったんだ・・・
しかもこの前普通に話したことがある・・・栗坊だったんだ・・・
正直、ぜんぜん違いましたよ?
顔とか体格とか雰囲気とかまったく違いましたよ?
でもね、高座に上がると感じが変わる人っているじゃないですか。
それで、すべての辻褄を合わせてしまったんです。
だからもう次に高座に上がった二年の八亭乱内さんが「夢金」をやっている中、いろいろと考えてしまいましたよ。
本当にいろいろと考えましたが、とりあえず出た結論だけ言うと「もう落語をやめよう」という。
なんだかすべてが嫌になってしまったんでしょうね。
あんな力の差を見せ付けられたら、そりゃあ嫌になりますよ。
さようなら落語という気持ちの中、次に出てきたのがこの日のトリ。会長の晴亭引退さん。その名のとおりこの日で引退のようです。
そういえば「夢金」の後に何をやるんだろうと思ってみていたら、なにやら「大晦日」だとか「亭主が働かない」だとか「借金」だとか言っている。
ま、まさか・・・「芝浜」か!?
「夢金」からの「芝浜」か!?
これはすごいことになった・・・と思ってまたみていると、何か違う。
亭主がなかなかお金を拾ってこない。
餅がどうの話している。
仕舞いには亭主がおかみさんのおしりを「餅つきだァ!」なんて言いながら叩き始めた!
ちょ・・・おま・・・そんなことしてないではやくお金拾ってこいよ!!
え?
え?
なにそれこわい
で、そのままサゲですよ。
どうやら「芝浜」じゃなくて「尻餅」というネタらしいです。
ばかばかしすぎる!
「夢金」の後のトリで、しかも晴れて引退ってときに「尻餅」をやるなんて、素敵です。
笑いました。
あんな絶望的な心理状態だったのに笑いました。
やっぱり落語っていいものですね。
でも僕は今日で落語を・・・
誤解が解けるのはその数分後のこと。
その後男四人で食べに行ったカツどんが美味しいこと美味しいこと。
これからも落語をやっていく決心が着いた一日でした。
目標:来年は鹿汁食べる。