木漏れ日の雑木林

金剛山の西山麓で里山の保全活動を行っています。自称若者集団ですが、実態は?

棚田のハザ掛け風景

2023年10月05日 05時20分54秒 | 棚田

当地も彼方此方で稲刈りが進行中だ。手法は2種類に分類され、コンバインとバインダーの使用機械によって大別できるかと。相違点は「機械乾燥」と「天日乾燥」との乾燥手法の違いだろうかと思う。機械の使用違いは、平野部と山間部とに区別できるかと。つまり平野部の田圃ではコンバインによる機械乾燥方式の稲刈り、山間部ではバインダー使用の天日乾燥方式の稲刈りといった案配だ。原因は田圃の地形にある。コンバイン使用の手法が効率的なんだが、山間部ではバインダー使用に頼らざるを得ないのだ。結果、山間部の棚田地帯では画像のような「ハザ掛け風景」の出現とあいなってくる。

無論、部分的には棚田といえどコンバインの使用が可能なケースも存在する。師匠の田圃などその典型だろう。従って山間部の棚田と言えば、全てに見られる現象では無く、手間暇の故か次第に減少中の風景だ。何とも牧歌的で農村風景を演出するような光景だが、絶滅危惧種に近いかも知れない。今のうちに瞼に焼き付けておくべきだろう。

我々が稲作に従事中もハザ掛け風景を出現させていた。手間暇の掛かること多大な作業だが、出来上がった光景にはしばしの自己満足に浸っていた。何とも絵になる風景なのだ。手間暇を厭わぬ作業にはそれなりのメリットもあり、一概に非効率的とも言い難い。稲穂を稲木に逆さまに掛けることによって、茎や葉に残る栄養分を余さず米粒に注入し、うまみを増加させる作用が存在する。つまり米の美味しさに拘る方は、あえてハザ掛けの手法を選択する事例も。個人的には、「水の相違」と「天日干しの採用」とが米の美味しさを決定づけるものと信じている。

コンバイン方式に比べバインダー方式は要する労働がかなり多めだ。従って若い衆はコンバインを好み、就農条件の一つとする者も。初期投資の拡大が続き、新たな就農を阻害する原因の一つかも知れない。但し、機械化の恩恵は計り知れず、作業スピードなど圧倒的だ。師匠の田圃も僅か1日で稲刈りが終了してしまった。使用する田圃の地形条件にもよるが、可能であればコンバインの採用が必然かも知れませんね。

当地でも数少なくなってきた「ハザ掛け風景」、今のうちに撮影を続けておこうと思っている。そのうちに郷土史の世界でしか見られぬ光景に変貌するかも。残しておきたい光景なんだが。

 

 

 

 

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