徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

番指風寸伸び短刀拵え(パート2)

2011-07-02 14:24:31 | 拵工作
2ヶ月前に「番指風寸伸び短刀拵え」(2011年4月11日)にてご紹介した鞘の塗りが完了しました!

前回の様子↓
http://blog.goo.ne.jp/kosiraeshi/e/8881386ef42f3805a7358bfd881d38f6

当該お刀は、寸伸びの平造り、典型的な末備前刀です。
相当働いたと見えて、大分痩せていますが糸直刃調の焼刃はしっかりと残っており、武士でしたら「ご一代は大丈夫」と表現するでしょうか?まだまだ美術品としても武器としても価値あるお刀です。
また、長船らしくザックリとした地肌には、古研ぎながら映りも見え、鑑賞の魅力ある一振りと感じます。

今回、長らくお時間をいただき、鞘の塗りを実施いたしました。



ご依頼内容は、黒の蝋鞘でしたので、特に研ぎだした時に黒が際立つ様に漆を調合しました。(職方用に調合されて発売されている黒漆では、少し赤が強い気がします。)

鞘の形状は、居合の添え差しとしてお使いになることを想定し、長時間脇に指しても身体に負担が無いよう、できるだけ細重ねに仕上げました。
鯉口には水牛を用い、くり型は使用時の強度を考えて銘木を用いました。コジリは丸。



ついに完成です!



この拵えの工作期間には、いろいろな出来事がありました。
結果、工作がかなり遅くなってしまいましたが、首を長くしてお待ちいただいているお客様には、毎度ながらご迷惑をお掛けいたします。
一日でも早い工作を心がけていきたいと思います。