教外別伝。
~菩提達磨「達磨四聖句」
〔解説〕
「教外別伝(きょうげべつでん)」は、達磨大師のことばとされています。その一般的な解釈は、
「文字や言葉にたよらず、師より以心伝心、直接心に伝えられるものの中にこそ、真実がある」
というもの。禅宗でもっとも重んじられる〔達磨の四聖句〕の中の一つで、それらは以下となります。
●教外別伝
●不立文字(ふりゅうもんじ)
禅宗では、経典などに書かれた文字の教えを重んじることはない。坐禅などにより自ら直接真理を体得することを教えた言葉。
●直指人心(じきしにんしん)
あれこれ思いをめぐらせず、坐禅により自らの心を直接見つめることが何より大事である。
●見性成仏(けんしょうじょうぶつ)
自らの中に本来備わる仏性に気づくこと。そしてそれを通じて真の悟りにいたることができる。
これらは、そもそも釈迦の教えであるともいう。多くの禅宗の伝書に見られるこれら四句は、達磨の没後に禅門各宗にて標語として掲げられ、唐あるいは宋代に〔達磨の四聖句〕として定められたと伝えます。
これら四句はその主旨により、2つのグループに大別される。もっとも大事な教えは文字や理論では決して伝えられない「教外別伝」と「不立文字」、そして、自らの中に仏性を見つけ悟りを得る「直指人心」と「見性成仏」の、それぞれ2句、2グループです。
さて、わが国曹洞宗の開祖、道元は「教外別伝」について以下のように解釈しています。
ある漢いはく、釈迦老漢、かつて一代の教典を宣説するほかに、さらに上乗一心の法を摩訶迦葉に正伝す、嫡嫡相承しきたれり。しかあれば、教は赴機の戯論なり、心は理性の真実なり。この正伝せる一心を、教外別伝といふ。三乗十二分教の所談にひとしかるべきにあらず。一心上乗なるゆえに、直指人心、見性成仏なり、といふ。
『正法眼蔵』「仏教」巻
三乗十二分教は、仏教哲学や経典など、釈迦の教えを言葉で伝えるもの。かたや摩訶迦葉のみに伝えられた「正伝せる一心」こそ理性の真実であり、一心ゆえに「直指人心」「見性成仏」と同じ見地である、と道元は説きます。
「教外別伝」の類義語として、「不立文字」のほかに
「以心伝心」
「拈華微笑(ねんげみしょう)」
があります。今日一般的な四字熟語として広く流通する「以心伝心」は、禅宗第六祖慧能の説法集『六祖壇経』が出典。
法は則ち心を以て心を伝え、皆自ら悟り自ら解せしむ。
上の文より引用され、今日、仏教の「真理」や「法」という原義をはなれ、「言葉を用いないコミュニケーション」として、通俗化、定着した熟語です。
続きはこちら↓
http://bit.ly/KyK53H
~菩提達磨「達磨四聖句」
〔解説〕
「教外別伝(きょうげべつでん)」は、達磨大師のことばとされています。その一般的な解釈は、
「文字や言葉にたよらず、師より以心伝心、直接心に伝えられるものの中にこそ、真実がある」
というもの。禅宗でもっとも重んじられる〔達磨の四聖句〕の中の一つで、それらは以下となります。
●教外別伝
●不立文字(ふりゅうもんじ)
禅宗では、経典などに書かれた文字の教えを重んじることはない。坐禅などにより自ら直接真理を体得することを教えた言葉。
●直指人心(じきしにんしん)
あれこれ思いをめぐらせず、坐禅により自らの心を直接見つめることが何より大事である。
●見性成仏(けんしょうじょうぶつ)
自らの中に本来備わる仏性に気づくこと。そしてそれを通じて真の悟りにいたることができる。
これらは、そもそも釈迦の教えであるともいう。多くの禅宗の伝書に見られるこれら四句は、達磨の没後に禅門各宗にて標語として掲げられ、唐あるいは宋代に〔達磨の四聖句〕として定められたと伝えます。
これら四句はその主旨により、2つのグループに大別される。もっとも大事な教えは文字や理論では決して伝えられない「教外別伝」と「不立文字」、そして、自らの中に仏性を見つけ悟りを得る「直指人心」と「見性成仏」の、それぞれ2句、2グループです。
さて、わが国曹洞宗の開祖、道元は「教外別伝」について以下のように解釈しています。
ある漢いはく、釈迦老漢、かつて一代の教典を宣説するほかに、さらに上乗一心の法を摩訶迦葉に正伝す、嫡嫡相承しきたれり。しかあれば、教は赴機の戯論なり、心は理性の真実なり。この正伝せる一心を、教外別伝といふ。三乗十二分教の所談にひとしかるべきにあらず。一心上乗なるゆえに、直指人心、見性成仏なり、といふ。
『正法眼蔵』「仏教」巻
三乗十二分教は、仏教哲学や経典など、釈迦の教えを言葉で伝えるもの。かたや摩訶迦葉のみに伝えられた「正伝せる一心」こそ理性の真実であり、一心ゆえに「直指人心」「見性成仏」と同じ見地である、と道元は説きます。
「教外別伝」の類義語として、「不立文字」のほかに
「以心伝心」
「拈華微笑(ねんげみしょう)」
があります。今日一般的な四字熟語として広く流通する「以心伝心」は、禅宗第六祖慧能の説法集『六祖壇経』が出典。
法は則ち心を以て心を伝え、皆自ら悟り自ら解せしむ。
上の文より引用され、今日、仏教の「真理」や「法」という原義をはなれ、「言葉を用いないコミュニケーション」として、通俗化、定着した熟語です。
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