黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

熱性けいれんを考える

2016-12-20 18:22:07 | 予防接種、育児法
       熱性けいれんを考える

熱性けいれんを考える
 熱性けいれんは、よくあることで、約一割の子どもに起き、ほとんどは一回で終わります。 
詳しくは後述します。そして、けいれんを止める注射、座薬は抗不安薬のジアゼパム(商品名はセルシン、ホリゾン)です。
それで私の友人の神経小児科医との話の中で、親の精神的な問題があるのではないかということが話題となりました。子どもは親の拡声器ですから、親が神経質になると、ますます起きやすくなるのではないかと言うのです。私の長男が初めて熱性けいれんを起こした時に、私は別に驚かなかったのですが、細君は驚いて声も出なかったのです。もちろん何もできずにいました。細君は元小児科看護師のベテランで、当時は養護教諭でした。幸い二度と起こさず、下の子二人も起こさなかったのです。また、私の友人の泌尿器科医は、子どもが熱性けいれんを起こしたら、あわてて救急車を呼んでしまいました。
 多くの熱性けいれんの子は、救急車できますが、連絡が入ると、来てから少し時間を待っていくと、ほとんど気がついてケロッとしています。救急外来に行った時にまだひきつけている場合は抗不安剤の注射をします。そうするように先輩から教えられました。あわてて行って、注射しなくてもおさまる子に、抗けいれん剤を注射することのないようにするためです。
 ですから、一度熱性けいれんを起こしたからと心配する必要はありません。
予防接種で熱が出ることもまれです。あまり神経質にならないで下さい。
神経質にならずに、なった時はなった時で適切な対処をすればよいのです。それは私がお話しします。
私の医療は、ワクチンだけでなく、日常の医療でもちょっとほかの医師と違い、かかった病気について正確な知識をもってもらうことを勧めています。そのための情報を紙に書いてお渡ししています。まれな病気については、口頭で話しますが、必要なら次の時までに印刷したものを渡すことを目指しています。次に、ノベル熱性けいれんの話は、患者さん向けのものです。少し、古くなっているかも知れませんが、多くは現代でも通用しますし、私に神経小児科の知識を教えてくれた有馬正高先生の話も一部入れてあります。


           熱性けいれんの話         

★熱性けいれんとは
   熱性けいれんとは、発熱に伴って生じたけいれん発作のことです。
           一般には単純性または良性の熱性けいれんを指します。
☆熱性けいれんの特徴
◇ 熱性けいれんは通常生後6ヵ月から2才まで(遅くとも4才までの)に始まり、6才過ぎたら起きなくなります。
◇ こどもの内8~12%の子が熱性けいれんを起こします。
◇ 一般には両親のどちらかにこどもの頃熱性けいれんを起こしたことがあることが多く、また兄弟にあることが多い。両親共にあると、そのこどもの80%に起きます。親にあって1人の子にあると、次の子には80~90%起きます。一人の子に、1~2回熱性けいれんがあると兄弟には18%、3回あると兄弟には29%の確率で熱性けいれんが起きます。
◇ 熱性けいれんを起こすこどもの3分の2は1回で終り、3回までで終わるのが90%で、その後は熱が出てもけいれんを起こさなくなります。多くても大人になるまでに6回以内で終ります。もちろんそれ以上のことも、極くまれにあります。
◇ 通常熱が急上昇する時に、ひきつけることが多いです。だから、ひきつける前は熱がなく、ひきつけた時には、熱が高かったということが多いようです。熱が高い程起こし易く、大脳に何らかの侵襲が起きるからなると考えられています。
◇ けいれん発作の型は左右対称性で、両腕をクックックッと屈曲させ、その直後に手足をのばして固くつっぱり、その後ピクピクふるえますが、固くつっぱっただけで終ることもあります。ひきつけの特徴は、意識がなくなることですから、すぐに目を見れば分ります。け
いれんの後は麻痺は起きません。(麻痺が起きるのは別の病気です)
◇ 持続時間は通常5~15分以内で終ります。1回の発熱する病気(1~3日間)でけいれんは1回が普通ですが、まれに2回くり返すこともあります。解熱剤を使って、一旦熱が下がり、しばらくしてまた熱が上がってくる時に、ひきつけやすいです。
◇ こどもに精神や運動発達の異常のないことが良性熱性けいれんの条件です。
◇ 繰り返し起こしていると、稀に(1%以下)てんかんに移行することがあります。

☆ひきつけた時の処置
 ①けがをしないように周囲の危険物を取り除くことです。
 ②安静にし、刺激をさけ、抱きしめたりしない。刺激で、ひきつけが長引きます。
 ③顔を横に向け、口内の唾液をガーゼかティッシュペーパー でふきとります。
  吐き気がある時は、吐いたものを気管に吸い込まないように、顔を下に向けて吐かせます。
 ④衣服をゆるめ、呼吸を楽にしてあげます。
 ⑤高熱があれば、氷枕やタオルで冷やします。下熱剤は使わないこと。
 ⑥口に何も(割り箸、タオル、指、スプーンなど)入れてはいけません。舌が後ろに落ちて呼吸が止まることはありませんから。
 ⑦10~15分以上続いている時は抗けいれん剤を注射してひきつけを止める為に、小児科医のいる病院へ救急車でつれて行きましょう。けいれん止めの坐薬を入れて様子を見てもよいです。大抵はそれでおさまります。ひきつけが止まれば、あわてて行く必要はありません。

☆熱性けいれんの予防
 通常は3回以上熱性けいれんを繰返した場合に、予防を始めます。普通4~5才まで、年長ではじまった場合は6才まで続けます。
〇予防として下熱剤を薦める医者も多いですが、実際にはひきつけてから熱に気付くことが多く、間に合わないことが多いです。下熱剤に副作用があることや、熱が出るのは人間の身体が病気と闘っている為で、下熱剤は闘う力を薬で抑えてしまうため、使わない方がよいです。
〇予防の方法は、
 最近はジアゼパム(ホリゾン、ダイアップ)という抗けいれん剤(精神安定剤)の予防投薬で、発熱時に間欠的に坐薬または飲み薬で、使用する方法がアメリカのNIHから1980年に熱性けいれんの管理に関する見解として出され、日本でも普及しています。(0.3~0.5㎎/㎏/日)しかし、この量だと多すぎて、翌日にも残り、ふらふらすることが多く、私は、もう少し少なめに使っています。坐薬を希望の方は申し出て下さい。
 そのやり方は、熱が37.5゚C前後になったり、寒気や頭痛がして熱が出そうだったりした時に、すぐ薬(1回目)を飲ませるか、坐薬を入れます。その後5~10分後には効き始めます。
 その後38゚C以上の熱が出たら、1回目から8時間後に2回目の坐薬を入れるか、薬を飲ませます。もし熱が出なかったならば、2回目は使わずに終ります。
 熱が続いても、2回で終りにし、2回薬を使えば2回目から36時間以上効いていますので、その間ひきつけません。熱性けいれんは、熱の出始めに多いので、ある程度時間がたてば、ひきつけないことが多いです。
 普通の病気で、48時間以上熱が続くことは稀ですし、熱が長引く時は熱の原因を確かめる必要があります。

★熱性けいれんを繰返した時に、脳波検査が必要な場合は
 ①熱性けいれんを3~4回以上起こした時
 ②1回の発熱する病気で2回以上起こした時
 ③無熱か、38.5゚C未満でひきつけた時
 ④症状が、対称的でない時や持続時間が20分以上と長い時、
 ⑤ひきつけ後入眠したり、麻痺が残ったりした時
  以上のどれかが見られたら、専門医をご紹介しますからご来院下さい。紹介状を書きます。
                                           以上
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

予防接種を考える時に

2016-12-20 18:12:29 | 予防接種、育児法
      予防接種を考える時に

 皆様に、ぜひ考えて頂きたいことは、あなた個人のことでなく、日本の社会についてです。日本の社会がどうなっているか、予防接種をめぐるいろいろな社会状況がどうかを知ってほしいですし、私が日本の子どもたちに思っていることを知ってほしいのです。

予防接種を考える時に
1.予防接種を考える時に、まず皆さんの心の中に自分の子どものことだけを考えているのではないでしょうか。
 私は、子どもは「社会の子ども」と考えています。子どもはいつから一人の人権を有するかと言うと、私は、本来は「受精した時から」と考えますが、そこは早すぎると言う意見もあり、その次は「妊娠中絶ができなくなる時期から」となるか、次は「おぎゃーと生まれてから」となります。そして、人として生まれるからには、人は社会無くしては生きていけないので、「社会の子ども」なのです。
 人は、社会的に人間になるのです。ロビンソンクルーソーの様に一人で生きていくことはできないのです。ロビンソンクルーソーは夢または憧れなのです。
 人は、社会的存在なのです。ですから私は人を「心と体をもつ社会的存在」と考えます。
心と体は表裏一体のものであり、心は社会的に作られるものです。社会無くしては、人は存在できないのです。

2.予防接種を推進している小児科医の中に、年間千人以上接種している医師がいます。医師一人で、パートの医師も使って、30人くらいの職員をかかえ、多数の患者さんを診ています。そういう医師が少数ですがいて、数人の医師で予防接種が年間1万人をこえるのではないかと思います。驚くことに、そういう小児科医では、予防接種事故または過誤の報告がないのです。どうしているか推察すると、問診や診察で、危なそうな子どもをふるい落として、健康な子どもだけにしていると思うのです。ちょっと問題があれば、次の機会にまわします。小児科専門医でワクチンを受けることを勧めるのは、そこにあります。
 予防接種事故を起こしているケースを見ると、問題を抱えているのに、接種しているのです。手術して10日しかたっていないとか、いろいろな薬を飲んでいるとか、調子が悪くて部活を休んでいる時とか、風邪気味とか、何らかの健康上の問題をかかえている状態で接種してしまっています。小児科専門医以外でも予防接種できることに問題があります。しかし、小児科医が少ないので、医師会が反対して、小児科医だけで予防接種をするとなると大変で、まして乳幼児健診も、学校医や幼稚園医などもすべて小児科医がしなければならないとなるとお手上げになりますし、小児科医がいない市町村も少なくなく、今でも予防接種をする医師がいない市町村が全国で30くらいありますから、小児科医に限定するとその何倍にもなると思います。

3.小児科医が少ないのは、小児科医が大変なからです。「小児科医にゴルフのうまい医者はいない。小児科医で学校医の仕事で良い仕事をした医者はいない。」とこんなことが言われています。それは、小児科医は忙しく、暇がなく、しかも稼ぎが少なく、ゴルフも学校医での研究などの仕事もする余裕がないのです。私の友人で、小児科医の息子なのに、小児科に行くなら学費を出さないと父親に言われて、産婦人科医になった人がいました。

4.私が国立埼玉病院にいた時には、予防接種はすべてほかの医師に断られた人だけにしぼっていました。当時の基準では多くの人が接種の適応外としてはじかれていたのです。その方が安全でもあるのですが、受けられない子も多かったのです。それで、私はそういう子のために、予防接種をしていました。しかし、他の医師から回ってきたりした子どもに接種しても、何も問題は起きませんでした。てんかん、心臓病、腎臓病などの慢性疾患の子どもたちがその対象でした。
 ワクチンは、良い健康状態の時に受けて下さい。親の都合で決めないで下さい。それが安全な受け方なのです。

5.なぜ私の考え方が変わったかというと、

○ 私の病原環境論の一端を述べると、(デュボスによる)
 あなたは、アメリカ先住民(インディアン)が白人に銃で負けたと思いますか。違います。アメリカ大陸に各地で、先住民が白人の侵略者に負けたのは、一つは侵略者を敵と考えなかったことと、もう一つは病気を持ちこまれたことです。アメリカ大陸に今から1万5千年かです。ら5千年前くらいの間に、アジアからモンゴロイドがベーリング海峡を歩いて渡ったのです。
つまり、アメリカ大陸の先住民は、私たちの祖先と同じモンゴロイドでした。日本人の祖先が日本に定住したのも1万年前と言われています。
 アメリカの先住民たちは、白人に持ち込まれた結核、天然痘、発疹チフスなどによって滅ぼされたのです。代わりに梅毒がヨーロッパに持ち込まれました。歓迎しておもてなしをしたのは女性たちでした。
 しかし、スペイン人は戦いの時には、船旅の間に発病した患者の衣服をわざわざ残して逃げ、それによって先住民がかかり、次々と死亡したのです。例えば結核では、結核がアメリカ大陸にはなかったので、初めてかかった一代目は、粟粒結核や結核性髄膜炎などの全身結核になり、それを生き延びた二代目は「るいれき」という頚部リンパ腺結核になり、三代目にして肺結核になったのです。それは、結核菌と先住民との適応関係がしだいに出来上がっていったのです。これが、インディアンが白人に負けていった理由です。生き残った人々は少数で、もう武力で太刀打ちはできなかったのです。3万のメキシコの大軍が、たった600人のスペイン兵に負けたのも同じことでした。こちらは天然痘でした。
 それで先住民の神は、現地人を救ってくれず、白人の神は白人たちを救ったと考えて、現地の人がキリスト教に改宗していったと思われます。
 これを日本人と日本脳炎ウイルスとの関係に当てはめると、よく判ります。もう日本人は高齢者か免疫が低下した人しか日本脳炎を発病しなくなったのです。

6.また、デュボスはロックフェラー結核研究所所長で結核の研究者でしたので、結核菌の研究をし、重症の結核の人と軽症の人の結核菌の違いを調べましたが、どこにも違いがなく、結局かかった人の健康状態に違いがあると考えたのでした。
 私は、それで健康な状態を維持すれば、ワクチンが要らない病気が少なくないと考えます。そこで、私の考えでのワクチンの要否は、お子さんの健康状態にあると考えています。
それで私の新著には、そのことが書いてあります。


 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする