「グラスについたルージュを指先でそっとぬぐって、こんなに賑やかなパーティ、ひとりだけ海の底みたい、一人きりなんて馬鹿みたい」そんな歌詞が出てくる篠原美也子『パーティ』を口ずさみつつ、見上げた夕方の空はすっきりとした台風一過とは言えずどこか塞ぎ混んだような青い空だった。そしてどこかひんやりとしていて、季節が1つ先へ進んだか?と言う感じだが太陽の光に力強さはしっかり残っているので、また暑くなるのかなと吹き抜けていく風を感じながらそう思う。
どこか淋しくて、どこか哀しくて、苛々して、でも、声を上げても誰にも届きはしない、そんな心境のままに時は過ぎていく。
何時もの事じゃない、と言われれば確かにその通りだが、言い様の無い物が心の中で沸々と沸き上がる。
置き去りにされた世代、と、引用した『パーティ』が入った彼女のアルバムの歌詞カードにあった「あとがきにかえて」。置き去りにされた世代は28だったが今の私は、「見えないものがないから夢を見ることも出来ずに、少年たちは今夜も眠れない拳をもてあます」の30代。精神的に未熟なままに、歩んで来てしまい世間知らずなままがもはや許されない所に来ているのが恐ろしくてならない。