読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

恋はさじ加減 平安寿子 新潮文庫

2008-09-16 22:57:13 | 読んだ
文庫の帯には
「食べ物の、好き嫌い。
 恋愛の、スキ、キライ。
 どっちも理屈じゃわりきれない!」
<おいしい恋愛短編集全6編>
とある。

こういう惹句がなくとも「平安寿子」という名前を見たらすぐ手にとってしまうほど、平安寿子の小説は現在(古い言葉で申し訳ないが)「マイブーム」のひとつとなっている。

いつでもどこでも読んでいたい、というほどではないが、そこにあれば必ず読む、というブームではあるが・・・

さて、帯にも書いていたとおりこの短編集は「食べ物」と密接な関係を持っている。

全ての物語の主人公は女性である。
この女性たちの食べ物の好き嫌いとであった男たちの食べ物の好き嫌いが、その恋愛の行方を左右するという、あってもよかったかなあ、と思う形の物語である。

ではどういう食べ物が登場するのか。
『野蛮人の食欲』では<焼き蛤>
『きみよ、幸せに』では<ポテトサラダ>
『泣くのは嫌い」では<たまねぎ>
『一番好きなもの』では<カレーうどん>
『とろける関係』では<バターご飯>
そして『愛のいどころ』では<梅干>である。

なんというかごくありふれた食べ物である。
ごくありふれた食べ物であるから、それぞれにいわゆる『こだわり』がある。

現代は『こだわり』の時代なんだろう。
それだけ豊かになったんだろう。

食べられればいい、という時代から、どうせ食べるならおいしいものを、そして自分だけのもの。
つまり『オンリーワン』なんだろうねえ。

「だからなんだって言うのさ!」
といいたくなるような、つまらない『こだわり』があふれている。

それは恋愛にも言えるわけで、多くのカップルは<割れ鍋に綴じ蓋>というのが他人から見たときの評価であるのに「なんだかなあ」と思われるような劇的なそしてオンリーワン的な恋愛を望んでいる。

本書に登場する女性たちも、それぞれに可愛く魅力的であるが、「そこまで考えるか!」という思考体系である。
そして脇役として登場する男たちの情けなさ、ため息ものである。

そんな、おっさん的な感慨を抱きつつ、面白おかしく読まさせていただいたのである。

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