読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

瑠璃の契り-旗師・冬狐堂- 北森鴻

2009-03-03 23:38:41 | 読んだ
旗師「冬狐堂」、宇佐美陶子シリーズである。

長編「狐闇」「狐罠」を読んで、短編集「緋友禅」を読み、そしてこの「瑠璃の契り」と続いてきた。

この物語は主人公の宇佐美陶子の魅力もさることながら、骨董をめぐる人々の怪しい生き方も魅力である。

旗師とは店舗を持たない骨董業者である。
だから、骨董を求めて或いは誘われて宇佐美陶子はいろいろなところへ赴く。
舞台が変わるということはこの物語が広がることの自然さとを生み出し、もうひとつの魅力になっているのである。

さて、この短編集は4つの物語である。

「倣雛心中」「苦い狐」「瑠璃の契り」「黒髪のクピド」である。

骨董品を人はなぜ愛でるもしくは求めるのか、というと、二つの理由があるようだ。

ひとつは「魅かれる」ということである。それは「美」であったりするのだが、その人とその品の引力なんだと思う。
これは説明がつかない人と品の出会いである。

そしてもうひとつは「金」(金額)である。
このことが骨董品をいわゆる骨董品にしている大きな要因である。
その品に魅かれなくても、好きではなくても、価値があるから求める。

そして、価値があるからそこにニセモノがあらわれる。

つまり骨董品をめぐる物語は、その品に魅力を感じた人、価値に心奪われた人が登場し入り乱れるのである。
そこに、本物を作った人の心が残っていたり、ニセモノを作った人の怨念のようなものが絡むので、面白いのである。

宇佐美陶子は魅力的であるが、私には苦手な女性である。
だから物語の中にいてくれるだけでいい。

で、あまり無理と無茶をしないように、お願いしたいのである。

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