読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

司馬遼太郎と城を歩く <司馬遼太郎> 光文社文庫

2009-03-07 23:59:07 | 読んだ
司馬遼太郎の書いた物語やエッセイ(主に「街道をゆく」)に登場する「城」を紹介し、そのデータを示しているものである。

最初は、一つ一つ司馬遼太郎が書いたものだと思ったので、ちょいとガッカリしたのであった。

全部で35の城が紹介されている。
そのうち8つの城に行ったことがある。
これって、どれくらいのレベルなんだろう?

さて、城というと「天守閣」があって、それを支える櫓や石垣がきれいに整っている。
つまり「姫路城」のようなものを想像してしまうが、実はそのような城は殆どない。
それから「天守閣」の最上階に城主が住んでいた、と思いがちであるがそういうこともない。(って思っていたのは私だけか)

時代時代によって「城」の性格というか目的は変わる。
だから、城を見るときは、何がしかの説明がほしいのである。

本書は、司馬遼太郎の物語とかエッセイからその城の性格とかこめられている「情」などがうまく紹介されているので、この本を読んでその城に行くと、なにかしらの「思い」に包まれるのではないかと思う。

司馬遼太郎が書いた次の文章が紹介されている。

-私は城が好きである。
あまり好きなせいか、どの城趾に行ってもむしろ自分はこんなものはきらいだといったような顔を心の中でしてしまうほど好きである。だからできるだけ自分の中の感動を外らし自分自身にそっけなくしつつ歩いてゆくのだが・・・


こういうところが、司馬遼太郎に魅かれるところである。

好きなゆえにそっけなくしてしまう。

子供のようにして大人だなあと思うのである。

私は「城」に行くと、心の底というか体の底からなんだかこみ上げてくるものに出会うときがある。
城というのはどこか「不幸」を抱えているようなのである。
一度も「戦」に出会わなかったような城でさえも、どっからか冷たい風が吹いてきて、城の持つ「孤独」のようなものを感じたりする。

これからもできる限り「城」を訪れてみたいと思うのだが、本書に紹介されている城に行くときはもう一度読んで出かけたいと思うのである。


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