読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

黒澤明という時代 小林信彦 文春文庫

2012-04-03 22:44:05 | 読んだ
黒澤明とその監督作品を中心に時系列で論じている。

小林節というのか、独特の論理による評論である。

私は黒澤明の映画をそんなに見ていないのに、なぜか面白く読めるのである。

一つには、自分で見たことしか書かないということ、また見たことであっても隠さなければならないことは隠し続けること、このあたりが強いのだとおもう。
その強さが、この本を面白くさせている。

黒澤明のデビュー映画『姿三四郎』を、著者は小学4年生から5年生にかけての春休みに見て
「生まれて始めて<文化的事件>を経験したことになる」
と感じたという。

なんという早熟。
翻って自分が小学4年生から5年生の春に何を思っていただろうか。さらに言えば「文化的事件」を経験しただろうか。
なんだか惨めである。

以後、黒澤映画とつかず離れずの関係を持っていく。
「つかず離れず」といったって、相当濃厚な「つかず離れず」なのである。

第1章から最終章の21章まで、映画を追い続けて黒澤明論が続く。

私が黒澤明という映画監督を知ったのは、すでに「天皇」と呼ばれた頃であったと思う。

そもそも、あまり映画に興味がなく、さらに映画に芸術を求めるものではなく、映画とは面白いか面白くないか、興味があるのは物語の「スジ」だけな私には、こんな風に映画を見るのか、という驚きがあった。

黒澤明という人、そしてその作品を通じて、著者は昭和を語りたかったのか、あるいは自分史をつづったのか。
その真意は知らないが、というか知りたくもないのだが、私にとっては映画というものはある面「難しいもの」なんだということがわかった。

難しく芸術性があるものだから、東大をでて映画監督になる人が多かったのだろう。

まあ、なんだあれ、面白く読んだのであった。

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