読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

廃墟に乞う 佐々木譲 文春文庫

2012-04-08 22:13:38 | 読んだ
オール読物に掲載された物語である。

連載時に読んだ覚えはあるのだが、何しろ毎月掲載ではなかったので、連作の物語なのかどうかわからなかった。

ちなみに「小説新潮」は毎月連載物が多くて、何が何だかよくわからない、という状況に陥るし、「オール読物」は連作が多くて、しかも決まった間隔ではないので、前に読んだものを思い出すのが大変で、いずれにしても『どうにかしほしい』のである。

閑話休題
というわけで「廃墟に乞う」である。

物語は6つの短編の連作である。

オージー好みの村
廃墟に乞う
兄の想い
消えた娘
博労沢の殺人
復帰する朝

である。

主人公・仙道孝司は、北海道警察本部捜査一課に籍を置く刑事である。
この「籍を置く」というのが問題。

仙道は「抑鬱性の感情不安定」で休職中である。
その症状は公務によるものらしく(どういう事件で何があったのかは最後の物語で明らかにされる)、本人は、もう回復してきているので復職したいのだが、まだ医者からの許可が下りていない。

それなのに、仙道は事件に首を突っ込む、というか、首を突っ込むようになってしまう。
それは、過去の事件で知り合った人や、昔一緒に働いた刑事からの依頼によるものである。

そういう設定なので、仙道が事件の謎を解き犯人を逮捕するというものではない。また、科学的な物証を突き付けて謎を解くこともできない。
あくまでも、状況を調べて考えて、謎を解くのである。

主人公が警察官(刑事)であるのに、警察組織による捜査でなく、あくまでも個人の操作であることが、この物語の特徴である。

それゆえに、制約を取り外した行動と推理が新鮮である。

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