読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

湯布院・産土神(うぶすながみ)の殺人<作家六波羅一輝の推理> 鯨統一郎 中公文庫

2012-06-08 23:15:38 | 読んだ
鯨統一郎の小説の中では「まとも」の部類に入る『作家 六波羅一輝の推理』シリーズの第5弾である。

「まとも」というのは、鯨統一郎の他の推理小説では、直感や屁理屈や的外れな推理によって解決するものが多い。
しかし、この六波羅一輝シリーズは、ちゃんとした(という言い方もなんだが)推理によって事件は解決するのである。

これまでの事件は

白骨の語り部(遠野)
ニライカナイの語り部(沖縄)
京都・陰陽師の殺人(京都)
小樽・カムイの鎮魂歌(小樽)

である。
ちなみに「白骨の語り部」「京都・陰陽師の殺人」はテレビ化されている。 

今回は題名からわかるように「湯布院」が舞台である。
であるが、宇佐八幡宮や青の洞門、羅漢寺なども重要な舞台であり、大分県北部を六波羅一輝と編集者の北村みなみが歩く。

主人公の六波羅一輝は、作家であるが、評判の良かったデビュー作以降小説を書けないでいた。北村みなみは六波羅一輝のファンであるがその後の作品が出ないでいることから、編集者になってもう一度彼に小説を書かそうとする。

そして小説の構想を練るために取材旅行に二人で行く。
そこで出会った事件が小説になっていく。
というのが、このシリーズの「幹」である。

で、今回は宇佐八幡宮・出産がテーマである。
なのに、北村みなみは湯布院温泉を取材先と強引に決定したのであった。

さて、今回発生した事件は、大分の資産家・三石建設の財産をめぐる殺人である。
アッと驚くトリックはないものの、なかなかに面白い展開である。

また、このシリーズは「民俗学」についても多く語られている。
今回は、宇佐八幡宮、五百羅漢、産土神のことから、三石建設の名のもととなった三石伝説などが書き込まれている。

ところで、この物語のなかで思わず笑ってしまった場面がある。

一輝とみなみが「青の洞門」に行ったとき、一輝が青の洞門は菊池寛の「恩讐の彼方に」のモデルになったという話をすると、みなみが、菊池寛といえば「真珠夫人」、昼ドラで横山めぐみがでていた。というところだ。

テレビシリーズは「北村みなみ」の役を横山めぐみが演じている。テレビ化の時このセリフはどうなるんだろう?
このためだけで、テレビ化をしてほしい。

もう一つテレビ化で期待できるのは女子高校生のコスプレである。(どういうことかは物語を読んでください)


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