オール読物1月号・2月号に掲載された、新・御宿かわせみの物語である。
1月号のとき「前編」とあったので読まずにおいて、2月号で一気に読んだ。
できるならドーンと完結したい、という性格なのである。
さて、この物語は題名にもあるように牛鍋屋のあんじゅという店にまつわる話である。
神林麻太郎と畝源太郎の二人が「溺死体」にかかる事件性の話をしているときに、麻太郎の先生バーンズ医師の姉であるマギー夫人から「クリスマスに牛鍋屋に行ってみたいがいい店はないか?」と尋ねられて、心当たりがなかったことから人づてに聞いてみると「あんじゅ」という店が評判のいいことを知る。
お吉などは自分で食べたこともないくせに、そしてこれからも食べる気などないくせに
「そりゃあもう、この節、牛鍋屋と申しましたら、あんじゅが一番でございますよ。なにしろお味はいいし、お肉が柔らかくて、お勘定もそう高いことはもうしませんそうで・・・おまけに女中にがさつな所がないと横浜からお出での村井やさんも、そりゃあ賞めてお出ででございましたよ」
などというのである。
それから麻太郎と源太郎は6歳ぐらいの男の子・太郎吉と独楽を通じて知り合う。その母というのが『あんじゅ』の女主人なのである。
もうこのあたりに来るとなんだか大体想像がつくのであるが、溺死体と『あんじゅ』の女主人・お安との関係が、この物語の柱である。
今回は、前後編とあるいつもよりはちょっと長い話であるので、この事情が入り組んでいて、横浜に行ってみたり、佐渡にも話が及んだりして、なんというか「凝った」話の作りになっている。
だから、1ヶ月間をおいてしまうとなんだか前後の事情がわからない。(老人力がついてきた、といえる)
今回は、私のお気に入り「花世」の出番が少なくちょっと残念ではあったが、登場しなくても源太郎の心の中で・・・
御宿かわせみの物語は、一つ一つの事件の解決だけではなく、レギュラー陣の心のふれあいが縦糸となっているから、やめられない、のである。
追伸
オール読物1月号には特集として「<新・御宿かわせみ>明治編の世界」がついていて、参考になる。
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1月号のとき「前編」とあったので読まずにおいて、2月号で一気に読んだ。
できるならドーンと完結したい、という性格なのである。
さて、この物語は題名にもあるように牛鍋屋のあんじゅという店にまつわる話である。
神林麻太郎と畝源太郎の二人が「溺死体」にかかる事件性の話をしているときに、麻太郎の先生バーンズ医師の姉であるマギー夫人から「クリスマスに牛鍋屋に行ってみたいがいい店はないか?」と尋ねられて、心当たりがなかったことから人づてに聞いてみると「あんじゅ」という店が評判のいいことを知る。
お吉などは自分で食べたこともないくせに、そしてこれからも食べる気などないくせに
「そりゃあもう、この節、牛鍋屋と申しましたら、あんじゅが一番でございますよ。なにしろお味はいいし、お肉が柔らかくて、お勘定もそう高いことはもうしませんそうで・・・おまけに女中にがさつな所がないと横浜からお出での村井やさんも、そりゃあ賞めてお出ででございましたよ」
などというのである。
それから麻太郎と源太郎は6歳ぐらいの男の子・太郎吉と独楽を通じて知り合う。その母というのが『あんじゅ』の女主人なのである。
もうこのあたりに来るとなんだか大体想像がつくのであるが、溺死体と『あんじゅ』の女主人・お安との関係が、この物語の柱である。
今回は、前後編とあるいつもよりはちょっと長い話であるので、この事情が入り組んでいて、横浜に行ってみたり、佐渡にも話が及んだりして、なんというか「凝った」話の作りになっている。
だから、1ヶ月間をおいてしまうとなんだか前後の事情がわからない。(老人力がついてきた、といえる)
今回は、私のお気に入り「花世」の出番が少なくちょっと残念ではあったが、登場しなくても源太郎の心の中で・・・
御宿かわせみの物語は、一つ一つの事件の解決だけではなく、レギュラー陣の心のふれあいが縦糸となっているから、やめられない、のである。
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