アメリカのガソリンスタンドは、ほとんどの州でセルフサービス方式を採用しており支払いから給油まで全て自分で済ませる事になる。しかし僕が住むニュージャージー州においては雇用の確保の意味もあり全てフルサービスである。フルサービスだとお客さんは車から降りる必要は全くなく、窓を少し開けてクレジットカードを差し出し、『レギュラー20ドル』とぼそぼそっと小声で意思を伝えるだけだ。
しかし、ランドクルーザーFJ60はそういった現在の常識は通用しない。エンジンを止めてハンドブレーキを引き鍵を抜き取る。車から降りてぐるっと回って給油口をその鍵を使って自分で開けるという作業が必要なのである。少々面倒な作業でいまどき的ではないと思うかも知れないが、この動作を面倒だと思った事はない。それは雨の日も雪の日も。
こうやって体が車から出る事によってリフレッシュになるし、スタンドのおっさん達が暇だと無駄話を楽しむ事が出来る。つまり不便な故に人と人のコミュニケーションが生まれるきっかけが出来るという事でもある。
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最近のよく出来た車というのは移動する要塞の様でもある。外から中は見えない。中に入ってドアを閉じると完全な個室になってしまう。その点ロクマルは外から丸見えであり、移動においては交差点や歩道で運転者や歩行者とのやり取りが行われる。それはゼスチャーであったり顔の表情であったりするのだが、自分で言うのもなんだが、それも結構楽しんでいる。
こうしてみるとランクルロクマルに乗っているからこそコミュニケーションの機会をより得ているのだなと思う。
いや、ロクマルから降りているからこそ...。