お買い物をして、トイレに行きたくなったので…
この近くの公衆トイレって何処だったかしら?と。
頭の中の記憶を掘り出して…
え〜っと…
ああ、そうそう、ここを曲って…
歩いて…
テナントの奥の奥…
女子トイレの個室が2個しかなくて、ほとんど人気が無いようなトイレ。
張り紙には
「従業員も利用します」と書いてあります。
あまり知られていない場所です
トイレの扉を開けて、先に手を洗っているとふっと人の気配がするので…
ゆっくり後ろを見ると…誰もいないし…
あ、もしかして…ここ、ちょっと形が変わっているから…と奥を覗き込むと…
20代前半の髪の長い女の子が膝を立ててうなだれて座り込んでいるので、
え!
どうした?
体調不良?
私もしゃがみ込んで
「大丈夫?」と聞くと、
「…」
「体調悪いの?」
「…」
顔を覗き込むと…泣き出す寸前のわなわなしている表情をしている。
あ…
もしかして…この近くの店員さんかな?
柔らかくて、壊れやすい物に触れるように静かに、ゆっくりと彼女の頭の上に手を乗せて…
う…ちょっとピリピリするイメージが入って来る。
あ…誰かに攻撃されてるわ、この子…
少〜し頭を撫でてあげながら
「辛かったんだね」と静かに言うと、
彼女は堰を切ったように泣き出しました。
静かに彼女の肩に手を回して…
「コロナの時代だからあんまり触れないけど…抱きしめてあげられなくてごめんね」と肩を抱くと、溜まったものがまた溢れ…
その泣き声を聞いていました。
嗚咽になっているので背中をさすり…
ただ泣くのを止めずに泣かせてあげていました。
しばらくしていると、トイレの入口ドアが開き…
「え!どうしたの!」と女性の声がして、見ると
あ、同じ制服の…先輩ね、と解りまして…
「ちょっと…胸が痛くて辛いんだよね」と言うと、彼女は少し頷き、それを見た先輩は、
「え、どうしたの?どうしたの?何かあったの?」としゃがみ込んで彼女のそばに座ったので、私は
「それじゃ…私はこれで…」とその場を離れることにしました
良かった、先輩が来てくれて。
あの人なら彼女の話しを聞いてくれそうだし
ちなみに彼女を触った手のひらはやはりピリピリしていて、
ある先輩にきつく言われてるみたい
彼女なりに…何とか精神的に避けて来たけれど、やっぱり…優しく扱ってほしい…
彼女の繊細な心根の部分。
繊細だから接客の気遣いも出来るのよね…
逃げる事も大切よ。
でもその前に助けを呼ぶのも大切。
きっとあなたのことを気遣って傘をさしてくれる人がいるはずだから
だって…誰もが傘を持っているはず。
その傘の下に入らせてもらいましょうね