南斗屋のブログ

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「裁判官の異動歴のチェック方法」のコメントを受けて

2007年05月28日 | 未分類
 先般、裁判官の異動歴のチェック方法 という記事を載せましたところ、コメントが入りましたので、コメントの中での疑問について、私なりの考えを書かせていただきます。

>裁判官の異動歴まで調べなければならない裁判とは、健全?なのでしょうか。

 これは裁判とは正義が実現されるべき場にあるという考えが前提にあるのかと思います。
 残念ながら、といいますか、現在の裁判は「当事者主義」といいまして、「当事者」、民事ですと、原告と被告ですが、この当事者が主張した内容及び証拠によって裁判官が判断をするという構造になっています。
 
 つまり、当事者が主張して、裁判官を説得するわけです。
 
 これを法律論と証拠に基づいて行うのが、弁護士の仕事であると思います。

 裁判官が人である以上、考え方の傾向というのは必ずでてしまうものであり、その考え方の傾向をつかんで、説得活動をするのは、弁護士にとって必要だと考えています。

>イヤな裁判官を避ける知恵はあるのでしょうか。

 当事者が裁判官を選ぶことは出来ません。
 逆に、裁判官も事件を選ぶことはできません。

>別の管轄のところに訴えを提起するのでしょうか。

 当事者は裁判官を選ぶことはできませんが、管轄を選ぶことはできます。
 ただ、どこでも自由にというわけにはいきません。
 交通事故の場合は、
ア 交通事故の起こった場所
イ 被害者の住所地
ウ 加害者等の住所地
の3カ所のどこかを選ぶことになります。
 これは裁判官を選ぶというよりは、どこに裁判を提起するのが、依頼者の利益にかなうのかという観点から選ばれるものだと思います。

>われわれ市民は、ただひたすらよい裁判官との出会いを祈るしかないですね。

 現時点で裁判を起こす方は、よい裁判官との出会いを祈るばかりです。
 もっとも、ひとつひとつの裁判例を積み重ねることで、裁判官の考えも変わってきますし、国会が動けば法律も変わります。
 交通事故の民事訴訟の分野も、被害者の方の努力のおかげで10年前と比べると大分変わってきたと思います。
 日本の裁判官は、世論の先をいくような判決は書きたがりません。
 世論のいくぶん後をおった判決を書くものです。
 世論がかわらなければ、裁判官もかわりません。

>交通事故のような民事訴訟でも、陪審制の導入もありなのかな、と思ってしまいます。

 民意や世論を反映するにはそれが一番だと思います。 
 実際、アメリカでは刑事だけでなく、民事も陪審制が導入されています。

コメント (1)
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