南斗屋のブログ

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介護の一般的知識を弁護士が知っておく必要性

2007年10月03日 | 高次脳機能障害
 このブログでもときどき本の紹介をしますが、やはり医学的な書籍や論文というものは、訴訟をする上で必要になってきますので、普段からそういうことに意識して本屋さんを回ったりしています。

 訴訟では、実際に被害者(障害者)がどういう介護を受けているのかということと、それが一般的なことなのかどうかという両方を立証する必要があります。

 被害者(障害者)がどういう介護を受けているのかについては、実際に介護をしている方に聞き取りをしたり、その現場を見たりということで調査をし、まとめていきます。

 しかし、その前提として、やはり介護の一般的知識がないと、うまく調査できないということもあります。

 「どういう介護をしているのですか」と弁護士から尋ねて的確に答えていただける方もいらっしゃいますが、どこが訴訟のポイントとなるかわからない被害者(障害者)の家族側から話を聞き出すには、どのような介護が一般的に必要なのかという点をおさえておかないと、うまく質問できないということもあります。
 
 例えば、食事の介護ひとつとっても、遷延性意識障害の方の場合と高次脳機能障害の方の場合とでは、介護内容が全然違います、

 遷延性意識障害の方の場合は、食事は自力で食べることは全く不可能という点では共通していますが、例えば、口から物を食べることができるかどうか(経口摂取の可否)によって必要とされる食事の介護が違ってきます。

 高次脳機能障害の方の場合は、
 ・食事を自分ひとりで用意できるか
 ・自分で用意できないとすれば、どこまで介護者側が用意してあげないといけないのか
 ・食事が全く用意できないとして、お腹が減ったということを意思表示できるのかどうか(意思表示できなければ、声かけして確認する必要があります)
 ・目の前に食事をおいたとして、自分一人で食べることができるのか、麻痺などがあって食べることができないのかどうか
等々、細かくわけて聞いていくことにより、介護の実態があきらかになってくるわけです。

 このように分析して考えていきますと、普段何気なく自分が行っている「食事をとる」という行為自体、非常に難しいことの繰り返しのように思えてくることもないではありません。


  

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