南斗屋のブログ

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「示談」と「和解」

2007年10月26日 | 交通事故民事
先日、交通事故の被害者の方の相談をしておりましたら「示談と和解というのは、どう違うんですか」という質問がでてきました。
「示談」も「和解」も一般的に使われる言葉ですが、交通事故の民事事件の分野で用いられると、独特の意味合いが生じてきます。

まず「和解」というのは、正式には「訴訟上の和解」といいます。
「和解」というと"平和に解決する"という語感がありますが、法律上は"訴訟上でお互い譲り合って合意すること"しか意味しませんから、通常の語感とは異なります。

「訴訟上の」ということからもわかるように、民事訴訟という場での合意だけに用いられます。
訴訟外での合意だと「示談」という言い方になります。
つまり

示談 → 訴訟外での合意
和解 → 訴訟での合意

という図式になります。

次によくある質問としては「示談にするのがいいのか、訴訟をする方が良いのか?」というものです。
つまりこれは、"訴訟をしないで合意した方が良いのか、訴訟を起こした方が良いのか"という質問です。
これは、ケースごとによって違うので、一概にはいえませんが、一般的には次のように言えると思います。

任意保険会社が、示談を希望して被害者に金額を提示する場合、その会社の基準額の範囲内で提示となります。
この社内での基準と、訴訟を起こした場合裁判所が認める基準額は異なります。
任意保険会社の基準額は低く、裁判所が認める基準額は高いです。
そうであるならば、全ての件で訴訟を起こした方が良いようにも思えますが、訴訟となれば、弁護士費用を支払うなどの経済的負担や、訴訟をしていくことに伴う心理的負担等の様々な手間がかかってきます。

このような、メリット、デメリットをはかりにかけて訴訟をした方が有利か、示談をする方が有利かを決めることになります。


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