交通事故の被害者・その家族にとっては、加害者がどのような刑事罰を科されるのかというのは非常に関心の高いテーマだと思います。
しかし、実際のニュースとして、刑務所でどのようなことをしているのかということはそんなに情報提供されているわけではありません。
以下の記事は、朝日新聞に載っていたもので、交通事件専門の刑務所である市原刑務所(千葉県)で受刑者がグループワークをしているという記事です。
見出しは、
「交通事故遺族、受刑者と対話 更生へ手助け」
となっており、一見すると加害者と被害者が向き合っているのかとも思わせるものですが、記事をよく読んでみますと、受刑者と対話をしている交通事故遺族は、別件の被害者のご遺族のようです。
このような試みがさらに被害者と加害者の距離を縮めるものであってほしいと願うばかりです。
(記事)
交通事故遺族、受刑者と対話 更生へ手助け
2007年09月29日13時36分
交通事故で家族を失った遺族たちが、交通刑務所の受刑者たちと直接対話して、遺族の苦しみや罪を償うことの意味を問いかけるグループワークが千葉県市原市の市原刑務所で行われている。受刑者たちは、遺族の話を聴き、被害者への「手紙」を書き、事故を起こした自分の罪を認識する。「同じ苦しみを誰にも味わってほしくない」という遺族の取り組みは、受刑者たちの意識に変化を与えている。
8月末、市原刑務所の一室で、5人の受刑者と飲酒運転の事故で子どもを亡くした母親2人が向かい合った。
「飲酒しても大丈夫だろうと判断して事故を起こしました。遺族に手紙を書きましたが、反応はありませんでした」
遺族側は、家族を亡くした苦しみや一変した生活環境を訴えかける。「私は一度も謝罪を受けていません。遺族は刑期を終えた後を見ています。出てからが本当の謝罪と償いですよ」
グループワークは05年9月から、犯罪被害者の支援に取り組む被害者支援都民センター(東京都新宿区)と全国唯一の交通犯罪対象の市原刑務所が始めた。この2年間で約90人が受けている。
出所間近の受刑者のうち、希望者のみ、月に1度、計2回(計6時間)実施する。
1回目と2回目の間には、亡くなった被害者や遺族を想定して、受刑者は手紙を書く。グループワークに参加する遺族がそれを読み、遺族の気持ちを理解していない点や罪の認識が十分できていないと感じる点を指摘する。受刑者は悩みながら書くことで自分の罪と向き合う。
男性受刑者(23)は「手紙を書こうとすると、罪悪感を感じて気が重くなり、時間がかかった。でも、まだ反省できていなかったことにも気づいた」と話した。ノートに書き留めた遺族の気持ちを忘れないよう、時々読み返すという。受刑者が、実際に自分が起こした事故の遺族に謝罪の手紙を書くかどうかは、本人の意思に任されている。
同刑務所教育担当の新藤勉刑務官は「直接、生の声を聞くのは本で読むのとはまったく違う。1回目と2回目で受刑者の様子もがらりと変わり、一過性にならない」と話す。
受刑者に自らの体験を話す遺族の1人、浜松市中区の清沢郁子さん(49)は、7年前に高校生の長男を交通事故で亡くした。加害者の男は無免許の居眠り運転で前科14犯だった。「加害者は被害者のことをよく分かっていない。本当の更生とは、被害者の痛みに、苦しくても向き合わなければできないはずだ」。取り組み続けてそう確信したという。
■受刑者が書いた手紙
●皆様がいつもいつもあの時の苦しみを忘れられるはずもなく、日々悩み苦しんでいるように自分も悩み苦しみ生きてゆかないといけない。(中略)そんな当然なことを知りながら、苦しみから逃れようとしているのが自分です。情けない自分です。でも、今日こうして手紙を書くことで、自分と向き合うことができました。今のままの自分ではいけない。皆様に恥じぬように、一生懸命に生きようと思います。(危険運転致死傷罪の20代男性)
●私はあの日以来、ご遺族に何かできることはないか考えてきました。しかし考えれば考えるほど、できることはほとんどないのではないかと思うようになってきました。もうお酒は飲まないこと、車の運転も二度としないことは決めましたが、そういうことがご遺族にできることとも違うと思います。でも本当にどうすることもできないのだろうかと考え続けてきたこと、そしてそのことにずっと悩んできたこと、そしてこれからも悩み続けていくことがまず必要なのではと考えるようになってきました。そして毎日毎日そのように思い続けることで、その気持ちの中から自然と出てくる行動が本当に心から償うということにつながるのではないかと思いました。(業務上過失致死罪などの40代男性)
しかし、実際のニュースとして、刑務所でどのようなことをしているのかということはそんなに情報提供されているわけではありません。
以下の記事は、朝日新聞に載っていたもので、交通事件専門の刑務所である市原刑務所(千葉県)で受刑者がグループワークをしているという記事です。
見出しは、
「交通事故遺族、受刑者と対話 更生へ手助け」
となっており、一見すると加害者と被害者が向き合っているのかとも思わせるものですが、記事をよく読んでみますと、受刑者と対話をしている交通事故遺族は、別件の被害者のご遺族のようです。
このような試みがさらに被害者と加害者の距離を縮めるものであってほしいと願うばかりです。
(記事)
交通事故遺族、受刑者と対話 更生へ手助け
2007年09月29日13時36分
交通事故で家族を失った遺族たちが、交通刑務所の受刑者たちと直接対話して、遺族の苦しみや罪を償うことの意味を問いかけるグループワークが千葉県市原市の市原刑務所で行われている。受刑者たちは、遺族の話を聴き、被害者への「手紙」を書き、事故を起こした自分の罪を認識する。「同じ苦しみを誰にも味わってほしくない」という遺族の取り組みは、受刑者たちの意識に変化を与えている。
8月末、市原刑務所の一室で、5人の受刑者と飲酒運転の事故で子どもを亡くした母親2人が向かい合った。
「飲酒しても大丈夫だろうと判断して事故を起こしました。遺族に手紙を書きましたが、反応はありませんでした」
遺族側は、家族を亡くした苦しみや一変した生活環境を訴えかける。「私は一度も謝罪を受けていません。遺族は刑期を終えた後を見ています。出てからが本当の謝罪と償いですよ」
グループワークは05年9月から、犯罪被害者の支援に取り組む被害者支援都民センター(東京都新宿区)と全国唯一の交通犯罪対象の市原刑務所が始めた。この2年間で約90人が受けている。
出所間近の受刑者のうち、希望者のみ、月に1度、計2回(計6時間)実施する。
1回目と2回目の間には、亡くなった被害者や遺族を想定して、受刑者は手紙を書く。グループワークに参加する遺族がそれを読み、遺族の気持ちを理解していない点や罪の認識が十分できていないと感じる点を指摘する。受刑者は悩みながら書くことで自分の罪と向き合う。
男性受刑者(23)は「手紙を書こうとすると、罪悪感を感じて気が重くなり、時間がかかった。でも、まだ反省できていなかったことにも気づいた」と話した。ノートに書き留めた遺族の気持ちを忘れないよう、時々読み返すという。受刑者が、実際に自分が起こした事故の遺族に謝罪の手紙を書くかどうかは、本人の意思に任されている。
同刑務所教育担当の新藤勉刑務官は「直接、生の声を聞くのは本で読むのとはまったく違う。1回目と2回目で受刑者の様子もがらりと変わり、一過性にならない」と話す。
受刑者に自らの体験を話す遺族の1人、浜松市中区の清沢郁子さん(49)は、7年前に高校生の長男を交通事故で亡くした。加害者の男は無免許の居眠り運転で前科14犯だった。「加害者は被害者のことをよく分かっていない。本当の更生とは、被害者の痛みに、苦しくても向き合わなければできないはずだ」。取り組み続けてそう確信したという。
■受刑者が書いた手紙
●皆様がいつもいつもあの時の苦しみを忘れられるはずもなく、日々悩み苦しんでいるように自分も悩み苦しみ生きてゆかないといけない。(中略)そんな当然なことを知りながら、苦しみから逃れようとしているのが自分です。情けない自分です。でも、今日こうして手紙を書くことで、自分と向き合うことができました。今のままの自分ではいけない。皆様に恥じぬように、一生懸命に生きようと思います。(危険運転致死傷罪の20代男性)
●私はあの日以来、ご遺族に何かできることはないか考えてきました。しかし考えれば考えるほど、できることはほとんどないのではないかと思うようになってきました。もうお酒は飲まないこと、車の運転も二度としないことは決めましたが、そういうことがご遺族にできることとも違うと思います。でも本当にどうすることもできないのだろうかと考え続けてきたこと、そしてそのことにずっと悩んできたこと、そしてこれからも悩み続けていくことがまず必要なのではと考えるようになってきました。そして毎日毎日そのように思い続けることで、その気持ちの中から自然と出てくる行動が本当に心から償うということにつながるのではないかと思いました。(業務上過失致死罪などの40代男性)