1 原発事故により葬儀費用が増加したことが損害として認められた和解事例があります。
・原発事故による避難中に夫が死亡したため、避難先での葬儀を行わなければならなかったことによる葬儀費用増額分が賠償された事例(増加分として20万円)(295)。
・避難指示解除準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人らについて(中略)避難によって自宅で葬儀をすることができなくなったことによる近親者の葬儀費用の増加分等が賠償された事例。(増加分として約31万円)(1460)
2 遺体捜索ができなかったことについての慰謝料が認められたものとして次の事例があります。
・自宅付近(南相馬市小高区)が警戒区域に指定されたために津波にさらわれた親族の捜索を継続できなかったことによる精神的損害として、家族3名に各60万円合計180万円が賠償された事例。(各60万円)(955)
和解契約書の精神的損害の項目には、「①故人に対する敬愛・追慕の情、②自ら又は適切な捜索機関に求める等して迅速に故人らを捜索する権利又は利益及び③適切な時期・方法により故人が発見・収容されることにより尊厳を保つ形で故人を葬ることができるよう求める権利又は利益が侵害されたために生じた精神的苦痛」とある。
・親族(未成年者)が津波にさらわれ、自宅付近(南相馬市小高区)が警戒区域に指定された申立人らについて、警戒区域の指定前に当該親族の遺体が発見されたものの、同じく津波にさらわれた当該親族の両親の捜索が制限されたこと等により葬儀の実施が遅れたことに対する、精神的損害の賠償が認められた事例。(各40万円)(1061)