南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

和解事例1671から1675

2020年09月17日 | 原子力損害

原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)が公開した和解事例1671から1675までを紹介いたします。

1671=居住制限区域(浪江町)の精神的損害の増額等に関するもの
1672=栃木県の事業者の検査費用・逸失利益に関するもの
1673=居住制限区域(浪江町)所在の不動産の住居確保損害に関するもの
1674=旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)の建物の修繕費用に関するもの
1675=避難指示解除準備区域(浪江町)の就労不能損害・精神的損害の増額等に関するもの

和解事例(1671)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人ら(父母及び子)について、申立人母子の平成23年3月分から申立人子が小学校に入学する前月である平成29年3月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)として、申立人母が当時乳幼児であった申立人子の世話をしながらの避難であったこと等を考慮して223万円(平成23年3月分及び同年4月分は避難所生活のため離乳食の入手が困難であったこと及び泣き声等のため周囲の避難者に気を使うことを余儀なくされたこと等の事情を考慮し月額5万円。同年5月分以降は月額3万円)が、申立人父の平成23年5月分から平成24年3月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)として、避難により申立人母子と別離が生じたことを考慮して27万円(月額3万円とし、原発事故がなく
とも別離が生じていたであろう期間があることを踏まえ9か月分とする。)がそれぞれ賠償された事例。

和解事例(1672)
栃木県内においてきのこ菌床栽培用のおが粉を生産・販売している申立人について、販売先から放射能検査結果の提出を求められていたことや栃木県の放射能対策作業マニュアルにおいてもおが粉の購入時における汚染状況の確認が求められていること等を考慮し、平成31年3月までに実施した製品検査費用(測定費用、送料)及び原木の高圧洗浄作業に要した費用(人件費増加分、水道料増加分、フォークリフトのリース料。ただし、リース料の支払時期は平成23年5月から平成29年5月までのもの。)のほか、平成30年4月から平成31年3月までの逸失利益について原発事故の影響割合を2割として賠償された事例。

和解事例(1673)
申立人祖父と申立人父が共有する居住制限区域(浪江町)所在の不動産に係る住居確保損害について、東京電力の直接請求手続で支払われた不動産の財物賠償及び住居確保に係る費用の一部のほかに、原発事故による避難後に申立人祖父及び亡祖母が入居した老人ホームの平成25年12月分から令和元年10月分までの入居等費用が賠償された事例。

和解事例(1674)
旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住していた申立人の自宅建物について、避難中の管理不能によりねずみの糞尿や雨漏りによる被害が生じるなどしたことから、同建物が特定避難勧奨地点のある行政区に存すること等をも踏まえ、平成27年5月頃及び平成29年9月頃に実施した修繕工事に係る費用の2割(ただし、既払金30万円を除く。)が賠償された事例。

和解事例(1675)
避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人ら(母子)について、1.申立人母が高次脳機能障害を有する夫の介護のため再就職をすることができなかったこと等を考慮し、申立人母の平成27年3月分から平成29年2月分までの減収分(原発事故の影響割合として平成27年3月分から平成28年2月分までは5割、同年3月分から平成29年2月分までは3割を乗じた額)が、2.申立人らが、上記夫の介護を行ったこと及び申立人子は乳幼児の世話をしながらの避難でもあったことを考慮し、申立人母については平成23年3月分から平成30年3月分まで既払金(月額1万円)とは別に追加して月額2万円が、申立人子については平成23年3月分から平成27年11月分まで月額3万円が、それぞれ賠償された事例。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする