工作台の休日

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バンパイアよ、どこへ行く

2021年01月07日 | 飛行機・飛行機の模型
航空自衛隊のF4EJ改ファントムⅡ戦闘機の引退の話題は、これまで何度かこのブログでも書きました。先日、百里基地にいた440号機が退役し、航空自衛隊の広報施設である浜松広報館での展示が決まり、当地に運ばれたと聞きました。
この440号機、世界で5000機以上生産されたファントムのファミリーのうち、最後に生産された機体であり、ラストオブラストがこうして保存されることは、航空史に残る機体ということでもあり、意義のあることです。
さて、ファントムを受け入れるにあたり、浜松広報館ではそれまで屋内の展示格納庫で展示されていた8機を屋外に搬出、隣接する浜松基地の敷地内に設置することとなりました。
この中には昨春このブログで何回かに分けて書きましたバンパイア練習機、T28、T1、T6、T33などの固定翼機、H19、S62といったヘリコプターが含まれています。
航空自衛隊初期から活躍した機体や、戦闘機と違って脇役かも知れない機種が多いわけですが、これらの機体をいままでのように好きな時に見ることができなくなるのは、何とも残念としか言いようがありません。私以外にもバンパイアやマイナーな機種のファンがブログなどでこうした機体に出会えるのがここの魅力と言っており、行く末も含め、不安に思う方もいらっしゃるのではないかと思います。バンパイアはともかく、T33は浜松基地の代名詞だった時代もあり、何故広報館を追われるのか、と思っております。また、美しい塗装の救難ヘリを見るのも好きでしたので、いなくなってしまうのは残念です。
浜松広報館の良いところは過去にさまざまな役割を果たした機体を屋内で、いつでも見られる形で展示してきたところにあると私は思っています。バンパイアについて書いたブログでも触れましたが、バンパイア、T28、T1はあの場所で並んで展示されていることに意味があり、見る側にもそれぞれの機体が果たした役目と、戦闘機も含めて今日の機体との関係を理解してもらう「気づき」を与えていたのではないかと思います。また、救難ヘリも屋外、屋内の展示機で歴代の機体を見ることができ、変遷を実機を見て知る格好の機会でした。主役脇役を問わずこういった機体が積み重ねてきた歴史の上に、今のF35やF2、さらにはブルーインパルスでもおなじみのT4がいるわけです。言葉が乱暴かも知れませんので不快に思われる方がいらっしゃったら申し訳ありませんが、今回のように一般の方が入れない、しかも屋外に出してしまうのは大切な過去を切り捨てて、人目のつかないところに追いやるようなもので、甚だ遺憾に思います。
今回搬出される機種の中にはバンパイア、T28のように、日本に一機しかいないものや、T6のように美しくレストアされたものもあります。屋外保存で心配なのは昨今の災害の大型化であり、60年以上前の機体もありますので破損、損傷などが原因で解体、というのは一番考えたくない末路であります。岐阜や所沢などでは珍しい試作機も屋内で展示されております。コロナ禍もあり、余計なことにお金を使えないのは承知の上ですが、今回の移動が一時的なもので、近い将来広報館に格納庫が増設され、これらの古い機体が再び屋内で展示されることを切に願いつつ、本稿の結びとします。

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